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人生最初に刺さった音楽は絵本の付録だった...

 自分の人生で一番最初に「刺さった」音楽を思い出してみると、実はダークダックスの歌だったわけなんです。そのころ家にちっちゃな、おもちゃのようなレコードプレイヤーがあって、そこにソノシートをかけてよくその曲を聴いていたんですね。

ソノシート(Wikiより)

 曲は、「ビリビリ」というタイトルの軽快な曲で、メロディも良く覚えてます。ダークダックスの渋い歌声、コーラスで、こんな歌詞が歌われていたんです。

それービリビリ やれービリビリ
そろった、そろったよ 16そろった
走れビリビリ、ビリビリ
歌えビリビリ、ビリビリ
なんでもかんでもぶっとばせ

 
 いやいや、うろ覚えながら、60年近くたっても、まだこんなに歌詞を覚えてるんですよね。やっぱりよっぽど好きで歌いまくっていたんでしょうなあ。

 ところが、自分にとってこの歌は長らく謎だったのですね。いったいこの歌はなんの歌だったのか、まったく記憶にないのです。そもそも覚えていた歌詞も、一体何を歌ってるのかがさっぱりわからない。周囲の人に聞いてみても、この曲を知っている人にいまだ出会ったことがないんです。さらにインターネットが普及して何でもGoogle先生が教えてくれるようになってからも、しばらく全く情報がなかったのですよ。いまだにYouTubeにも音源としてアップされていないし、AppleMusicでダークダックスの曲を検索してもこんな曲全くヒットしないんです。

 ところが、最近になってついにこういうページを見つけたのでした。そうか、これは絵本の付録についていたソノシートで、絵本のストーリーに連動した曲だったのですね。絵本のタイトルは「物語の絵本 こどもの世界 1月号『びり*びり』」だそう。発行は昭和39年(1964年)の12月。ということは、わたしは5歳の時だ!

 出版社は、至光社という会社。聞いたことがなかったので、ググってみて驚きました。昭和25年(1950年)創業のこの出版社は、今も存続しており、さらにこの「こどものせかい」という絵本も今も続いているとのこと。よく見ると、この「こどものせかい」には、「月刊キリスト教保育絵本」というサブタイトルがついているじゃないですか。そうか、そういうことだったのですねえ。実はわたしはカトリックの幼稚園に通っていたのです。つまり、幼稚園で買っていた月刊絵本の付録のソノシートだったということがわかりました!

 しかし、昭和39年(1964年)にダークダックスを起用して、オリジナルソングを付録につけるなんて、かなり野心的な企画だったんじゃないでしょうか。Wikiによれば、ダークダックスは昭和26年(1951年)結成で、昭和32年(1957年)に大ヒットを飛ばしたそうなので、その時すでにキャリア10年を超えた大スターのはず。月刊絵本としては相当に気合の入った企画ではないかと思います。しかも、そのメロディーが今も耳に残っているなんて、きっと作曲家もかなりの有名どころが起用されていたのではないかと思うのですが、そこまではやっぱりわからないままでした。

 実はこのとき、もう一曲大好きな歌があったんです。これは、ソノシートだったか、ふつうのシングルレコードだったか記憶がないのですが、こっちはアンディ・ウイリアムスが歌っていたクリスマスソングでした。幼稚園児にして、なんでこういう渋い男性コーラスやボーカルにハマるのかはまるでわからないのですが、この曲も妙に好きで、英語の歌詞を訳もわからずに真似てめちゃくちゃに歌っていたのをよく覚えていたりします。

 まあ自宅でこんなことをしていたら、母親に「音楽の才能があるのじゃないか?」と勘違いされて、小学校に入ったらピアノを習わされたのですが、実は音楽の才能なんかこれっぽっちもなく、ピアノの練習はとんでもなく苦痛だったですねえ。結局続かずに2年でやめてしまい、音楽にはまるで興味のない小学生時代を過ごしました。ところが、中学に入ったところで突然ビートルズで音楽、というかロックに目覚めてしまったのですね。中学でビートルズにハマれば、必ずギターは手にするものです。当時は、今のようなギターチューナーなど存在しないわけで、音叉を使ってチューニングするというのが、ギター小僧の必修科目。ところが、これが全然できない(笑)。その程度だから、ギターフレーズやコードを耳コピすることなんて完全に不可能だったんです。ようするに、絶望的に音感がないということが、中学生のときに丸わかりになってしまったんですね。ところが、音楽にはもうどんどんのめり込んでビートルズからある日突然今度はプログレに目覚め、その後だんだんとフュージョン、ジャズあたりまで手を伸ばすのですが、絶望的に楽器の才能がないのはそのままなんですね。こうして、音楽はひたすら聞くだけ、という人生を、わたしは送るようになったのでした。

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