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英語のつまずき、先生と大人の役割。

断捨離の記事がとても好評で、私としてはびっくりしています。

さて、本業の先生は最近どうなのか?

中学一年生の、英語について書いてみたいと思います。


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一人ひとり、子供の考え方や性格は全く個性のオンパレードとしか言いようがないほど様々で、なんなら文房具の使い方まで性格が出る。

観察していて飽きない。
どの生徒もかわいい。
とこまでも付き合って、私の持てるものすべて、教えてあげたくなる。


資格試験に猛勉強する中1の男子学生に、昨日と今日集中講義を担当した。

約一時間ずつ、私自身の体験を織り交ぜながら、かなりの生命力を使って講義したと思う。

正直なところ、終わってから特効薬を飲むほど大変消耗した。

彼は持ち前の集中力と思考力で、一生懸命聞いて理解しようとしてくれ、胸を打たれた。

そんな中、先日頃から、彼のクラスは中間試験が返ってきていて、早速今日その結果も教えてくれた。

数学は天才的に出来る子でほぼ満点に近く、国語も申し分ない。
社会科と理科はまだ未返却。

問題は英語だった。

彼にしては、高めの全体平均点の割には伸び悩んでいた。
私が集中講義をしたのは、別件の資格試験なので、今回の中間試験の英語を含んでいない。

これはあくまで講師としての感だが、今後彼は英語の、それも容赦ない一学期の文法でつまずく予感がした。
先日会ったときに、板書したノートを見せてもらったときから、少し思っていたことだった。

中学生にとって英語は、新参者のテスト科目。

ノートを取ることもポイントをまとめることも、ほぼ初心者。

英語学習を小学生からしてきていても、中学生から求められるそれは全く中身が変わってくる。
そのシビアな変化に子供たちがついていけるのを待ってはくれず、容赦がない。

中1の一学期の英語は、大人でも難しい。

基本となるdo   doesは、主語や単語ごとに細分化された使用法と綴りを求められる。
そこを徹底して、今後ずっとテストされる。

話す、聞く、書く、読むにおいて、
とにかく英語はすべて「s/es」にうるさい言語だ。

私でも間違える。

そして、先に教科書で複数形を習うことが多いため、その「s」と三人称単数(he,she,itなど)に続く「動詞+s/es」の違いに頭を抱える子が多い。

何人も教えてきて、見てきた。
たいていの子がここを理解しきれないで学年をまたぎ、やっとその頃家庭教師を頼る。

すでに学年を経ているので、取り戻すためには努力と時間がいる。

そう見ると、ビギナーである13歳には大変な試練なのだ。


これは、あくまで私の話なのだが、
私は小学4年生からくもんに通っていた。
そして、5年生くらいで、このdo doesの難関にぶち当たった。

あまりにも分からず、泣きながら、終わるまで帰れず居残りをした覚えがある。

何度も問われる、似て非なる主語に当てはめる動詞の変化。
中学に入る頃にようやく理解した。

それくらい、辛抱のいる範囲なのだ。

中間試験の時期からして、まだくだんの彼はdo  doesを習ってはいない。

けれど、be動詞の否定文まですでに来ている。
おそらく来月には習うだろう。

そして、つまずく予感が当たりそうで、心配しているのだ。

英語特有の、数と動詞の形のうるささ。
それを、まず中1で使いこなさなければ、先に進んでも英語は理解できないようになっている。

大体、こんなに長く時間が掛かる訓練を中1の一学期で押し込む、というのに無理がある。

先生はカリキュラム(学習指導要領)があるため、分からない生徒を置いて、どんどん先に進む。

英語を難しいと感じて挫折する子には、永遠に辛い時間になりうるのではないか。

外国の言葉をせっかく勉強したのに、日本人は多くの人が英語が苦手と答える。
そして英語を話すというのは、さらに無理だという人が多い。

それは、学ぶ側のせいではない。
勉強の教え方が間違っているからだと思う。
それは、学生本人の問題ではなく、教える側の問題だ。
だから基本、学校の英語の先生以外の、置いてけぼりを食らった子を教える大人の力が、絶対必要だというのが当方の持論だ。

私も通信大学に通う50〜60代の方に教えてもいたが、どんなに大人であっても、皆さんまずここで苦労する。
文法が辛うじてわかっても、話すとなると、これはまた難しい。

今回の彼の英語の結果は本当に意外だった。
普段とにかく理解が早いから、私も楽観視していた。
中1の彼がdo  does の授業をどこまで歯を食いしばってやっていけるか、
外部の大人として、細やかに指導する覚悟だ。

ちなみにある理由から、彼と彼の弟には無償で教えている。

私は現在、家庭教師の方は体調面の理由から、100%のパフォーマンスが見込めない。

親御さんも知人なので、そのあたりゆるくやっている。

お金を貰ったほうがと言われるかもしれないが、色々大人の事情がある。

私はリハビリとして、彼ら兄弟に勉強を教えているし、なによりこの兄弟に精神的に助けられている。

主治医からのお達しである、2時間の労働制限を超えないよう、時には彼らとカードゲームなんかをして、リラックスしながらやる。

そうして彼らと共有する時間を生きることの嬉しさは、お金に変えられない。

まして思春期に入りかけている男の子たちが、○○ちゃんと呼んで慕ってくれるのが、私には何にも代えがたい報酬である。

さて、そんな私にも後悔がある。

あのとき、ああして教えてあげればよかったと、過去を振り返る女の子がいるのだ。

彼女は第一志望校(短大)に不合格で、専門学校へ進学した。
保護者の方も落ち込み、なにより本人がとてもショックを受けていた。

けれど、社会人になった彼女から先日来た手紙に、先生の教える英語は最後まで楽しかったですと書いてくれていた。
その言葉に、どれほど救われたか。

私も不完全な先生だから、いつも完璧には出来ない。

でも、ここまではやってきた。
教えてきたのだ。


勉強で助けられる子がいるのなら、希望を持ってくれるなら、と今日も体にむち打ち、ひたすら頑張っている。

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