解雇規制の緩和は経団連の甘え

経団連は今回の自民党総裁選に合わせて「解雇規制の緩和」を自民党に依頼し、総裁候補では河野太郎、小泉新次郎が賛同している。しかしこれはいかがなものだろうか? 理由は次の通りである。

1)政府日銀はこれまで20年以上超低金利を継続してきた。これは預金者の受け取るべき金利を預金の借り手である企業に渡しているのに等しい。また、低金利による円安で輸入物価の高騰により国民は苦しんでいるわけだが、逆に円安のメリットにより企業は輸出を伸ばし増益している。
 言ってみれば、国民の犠牲により企業はダブルで利益を得ている訳である。

2)また、企業は従業員の給与を不当に削減している。例えば、「サービス残業」だが、これはいくら残業しても10時間程度の残業代しか払われないという全く無茶苦茶な話である。
そして、さらに今までの福利厚生に関しても削りに削っている。
さらにもう一つやっているのが下請けいじめで下請け価格を下げさせている。

3)そうやって上げた利益を使って新しい事業を起こしたり、既存の事業の生産性を上げているなら話も分からぬではないが、何もせずに単に内部留保を積み上げているだけである。さらなる企業収益の増加を目的に解雇規制の緩和によって人減らしを行い人件費削減をするならばお門違いだ。
 内部留保を利用して増益することができない経営陣の刷新が先ず必要であろう。

 しかし、解雇規制の緩和の目的は建前では企業収益の増加ではなく労働市場の流動化である。これは立憲民主の野田佳彦が言う通り「解雇規制の緩和と労働市場の流動化には相関関係は全くない」

 日本でも転職が以前より多くなったとは言え、まだ欧米のような転職社会になっているとは言えない。ここで「解雇規制の緩和」を導入すれば、著しい混乱が生じるのは必至である。結果としては、結婚率はさらに下がり、少子化はさらに進むことになるだろう。

 こんな自明なことが河野太郎と小泉進次郎はわからないのだろうか?
この2人は一体何を考えているのか?


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