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外務大臣会見記録 2023年10月12日(木)

17時34分


冒頭発言

(中略)
 最後に、情勢が厳しさを増すパレスチナ・ガザ情勢について一言申し上げます。
今般のハマス等のパレスチナ武装勢力による攻撃により、極めて多くの罪のない一般市民が犠牲となっていることに大変心を痛めております。
ここタイの国民の中からも犠牲者が出ており、誘拐をされそして人質となっている方々もおられます。

 日本は、このようなテロ攻撃を断固として非難します。
まずは事態のさらなるエスカレーションによって犠牲者が増えることを防ぎ、人質となっている人々が一刻も早く解放されることが必要です。

 このため、今回の東南アジア訪問中、私は、ヨルダン、UAEの外務大臣と電話会談を行い、この後もエジプトの外務大臣、カタールの国務大臣と電話をする予定としております、さらにイスラエル外相との電話会談を最終調整中であります。
今後も様々な関係者への働きかけしていく考えです。
また、在留邦人の保護について万全を期すため、今回の訪問中も随時報告を受けつつ、私から、出国手段の確保も含め東京の関係部局に対して様々な指示を出して対応に当たっています。

 外務大臣として、在留邦人の安全確保に万全を期するとともに、事態の早期沈静化に向け、あらゆる外交努力を尽くしてまいります。


質疑応答

【記者】
外遊中にはイスラエル・パレスチナ情勢を巡って、ヨルダン、UAEなどの各国外相とも電話会談されましたけれども、9月に林前外相が中東を歴訪されて、アラブ諸国パレスチナ支援での協力強化について確認した直後に、中東諸国パレスチナ問題について会談することとなりました。
日本政府に期待されている役割、果たすべき役割とはどういうことだとお考えでしょうか。
また、今回の停戦仲介に日本政府として取り組むお考えがあるのかどうか。
お聞かせください。

【上川外務大臣】
冒頭で申し上げましたところでありますけれども、今般のパレスチナ・ガザ情勢を受けまして、この東南アジア訪問中に、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)の外相とそれぞれ電話会談を行い、事態の早期沈静化に向けて、連携していくことを確認した、また、この後、エジプトの外務大臣、カタールの国務大臣と電話会談を予定しております。
さらにイスラエル外相との電話会談も最終調整中になっております。

 現地では既に多くの死傷者が出ておりまして、情勢は全く予断を許さない状況が続いているところでありますが、まずは人質となっている人々の即時解放を含む一般市民の安全確保が必要であります。
そして、事態の早期の沈静化に向けました外交努力が求められております。

 また、中東和平を巡りましては、その実現に向けてこれまで多くの国が様々な努力を積み重ねてまいりました。
日本も、「平和と繁栄の回廊」構想を始めとする具体的な取組を進めてきたところでございます。
そして日本は、長年の協力関係に基づきまして、イスラエル、パレスチナを含む中東諸国・地域と良好な関係を築き上げてきたところでございますが、これは我が国の貴重な財産となっております。

 こうした先人達の積み重ねの上に立って、公正で永続的な平和の実現に向けて、様々な関係者への働きかけを含め関係国と緊密に連携をしながら、自らの役割を果たしてまいりたいと考えております。

【記者】
イスラエル・パレスチナ情勢関連で伺います。
イスラエル・パレスチナ情勢をめぐっては、アメリカフランスドイツなど、欧米5か国は、イスラエルに対する結束した支持、これを打ち出しています。
大臣先ほどおっしゃったように日本は中東での独自の外交を展開していますが、今年日本がG7の議長国であるという中で、この問題についてどういう立ち位置で取り組みたいお考えか伺います。

【上川外務大臣】
今般のハマス等のパレスチナ武装勢力による残虐な無差別攻撃は正当化することはできず、日本として断固として非難をいたします。
特に、罪のない多くの一般市民に対する攻撃や誘拐はどのような理由であれ正当化しえないものであります。
刻々と動く現地情勢の中にありまして、人質となっている人々の即時解放を含む一般市民の安全の確保、そして事態の早期沈静化が極めて重要と考えております。

 このような観点から、日本政府といたしましては、二国間会談や国連、またG7を含む様々なチャネルや枠組みを活用しつつ、在留邦人の安全確保に万全を期するとともに、事態の早期沈静化に向けた取組を続けてまいります。

【記者】
アメリカブリンケン国務長官、それからイギリスクレバリー外務大臣はそれぞれイスラエルを訪問されておりますが、上川大臣御自身はイスラエル、あるいはパレスチナを訪問されるお考えはありますでしょうか。
また、岸田首相上川外相イスラエルの攻撃について「深刻な憂慮」と表明しましたが、昨日、岡野次官
「イスラエルは国際法に基づき自国と自国民を守る権利がある」
と言うふうに発言されました。
これは日本政府の立場として一歩踏み込んだ表現と捉えて宜しいのでしょうか。
日本政府としての立場を改めて整理してお聞かせください。

【上川外務大臣】
冒頭申し上げましたとおり、今般のハマス等のパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃によりまして、極めて多くの罪のない一般市民が犠牲となっていることに大変心を痛めております。
日本は、これを断固として非難いたします。

 人質となっている人々の即時解放を含む一般市民の安全確保、そして、事態の早期沈静化が極めて重要であります。
これが我が国の考えの基本であります。
刻々と動く現地情勢の中、その時々の情勢に応じて、我が国としての考え方を対外的に発信してきているところであります。

 昨日のコーヘン駐日イスラエル大使との会談における岡野次官の発言は、こうした政府の考え方に基づくものであります。

 私の訪問予定のお尋ねについてでありますが、現時点で何も決まったものはありません。
私自身、各国・国際社会と引き続き連携をし、様々な関係者に対して働きかけるといった意思疎通をしっかりと行い、在留邦人の安全確保に万全を期するとともに、事態の早期沈静化に向けた外交努力を続けていくということに尽きると思います。

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