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外務大臣会見記録 2023年12月1日(金)

11時14分 於:本省会見室


冒頭発言

北朝鮮への追加制裁

【上川外務大臣】
私から2件ございます。

まず、北朝鮮への追加制裁についてであります。

北朝鮮は昨年以来、前例のない頻度と新たな態様たいようで、弾道ミサイル発射等を繰り返すなど、一連の挑発行動を続けています。
このような中で、北朝鮮は、11月21日に、衛星打ち上げを目的とした、弾道ミサイル技術を使用した発射を強行しました。
これらは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威です。
また、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。

こうした状況の中、我が国は、米国、韓国及び今回は豪州とも歩調を合わせ、本日の閣議において、拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的解決のための我が国の更なる対北朝鮮措置として、北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている核・ミサイル開発等に関与した4団体・5個人を、外為法に基づく資産凍結等の対象として追加指定することを了解しました。

我が国としては、拉致・核・ミサイルといった諸懸案に関し、北朝鮮が問題解決に向け、具体的行動を取るよう強く求めます。
引き続き、米国、韓国及びオーストラリアを始めとする関係国と緊密に連携し、国際社会とも協力しながら、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。


駐日中南米大使・駐日南部アフリカ共同体外交団による表敬 [アウトリーチ型外交]

【上川外務大臣】
続いて、アウトリーチ型の外交活動についてであります。

私は、国内で取り組むアウトリーチ型の外交活動の一環として、中東・ASEAN等取り組んできたわけでありますが、昨30日、駐日中南米諸国大使グループ21名による表敬を受けました。

来年は、ペルーがAPEC議長国、ブラジルがG20議長国であり、一年間を通じ、世界の注目が中南米に集まる、またとないタイミングであります。
私は、外交の核は人間同士の関係だと常々感じております。
こうして中南米諸国の大使との充実した意見交換を通じまして、人間関係を構築できたことは、来年に向けて、日本と中南米との更なる関係強化を図る上で、良いスタートを切ることができたものと考えております。

私からは、中東、ウクライナを含む国際情勢や核兵器のない世界の実現、WPS(Woman, Peace and Security) に関する、日本の取組を紹介をいたしました。
また、各大使からは、日本の取組への評価の言葉をいただき、二国間、そして国際場裡こくさいじょうりにおける日・中南米の一層の連携強化を確認いたしました。

また、私からの、ALPS処理水の海洋放出についての説明に対しまして、福島を訪問された大使の方々から、日本の取組及び福島復興への支持を表明いただきました。

そして、本1日でありますが、駐日南部アフリカ共同体(SADC)外交団による表敬を受ける予定であります。
政治的に安定し、法の支配や、また、民主主義の価値を共有する国も多い南部アフリカ諸国との連携の強化に向けて、充実した意見交換を行うことができることを期待しているところであります。

私からは、以上です。


米軍オスプレイ墜落事故 1

【共同通信 桂田記者】
米軍オスプレイの墜落事案について伺います。
米国防総省の副報道官は、30日
「日本側から "公式な飛行停止要請" を受け取っていない」
と会見で発言しました。
昨日、大臣は、エマニュエル駐日米大使と面会し、安全が確認されてからの飛行を要請されましたが、それは公式な飛行停止要請との理解でよろしいのでしょうか。
米国側から、オスプレイの飛行に関し回答を得られているのでしょうか。
また、把握されている最新の情報と、外務省としての今後の対応を教えてください。

【上川外務大臣】
まず、米軍のオスプレイ飛行につきましてお尋ねがございました。

昨日、私から、エマニュエル駐日米国大使に対しまして、11月29日に発生した屋久島沖でのCV-22オスプレイの墜落について、乗員の無事を祈るとともに、事実関係の確認と日本側への迅速な情報提供を求めたところであります。

その上で、オスプレイの飛行につきましては、捜索・救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから、飛行を行うように求めたところ、エマニュエル大使からは、米国にとって、米軍人と日本国民の安全こそが最重要事項であり、現在事実関係を調査中であるが、引き続き、日本政府と緊密に連携し、情報共有を行っていきたい旨の発言がございました。

なお、先ほど、在京米国大使館から、昨日の要請は正式なものであるとの認識を確認したところでございます。

続きまして、把握している最新の情報及び今後の対応についてであります。

政府といたしましては、米側に対しまして、事故の状況に関する事実関係の確認を求めつつ、人命の救出に全力を尽くすことを最優先に対応しております。

外務省といたしましては、防衛省、海上保安庁等関係省庁と緊密に連携してきており、米側に対しましても、引き続き、事実関係の確認と、日本側への迅速な情報提供を求めているところでありまして、昨日、私とエマニュエル大使との間でも、緊密に連携していくことで一致したところであります。

引き続き、今後とも、関係省庁及び米側と緊密に連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。


米軍オスプレイ墜落事故 2

【朝日新聞 高橋記者】
冒頭の質疑であったオスプレイの関連でお尋ねします。
昨日のエマニュエル大使との会談で、エマニュエルさん側から、安全が最重要だという旨返答を受けたということですが、これは、大臣が申し入れた、「安全が確認されてから飛行を」ということに対する直接の回答はなかったということでよろしいでしょうか。

【上川外務大臣】
私、冒頭に申し上げたとおりでありまして、また御質問をいただきましたけれども、昨日のエマニュエル駐日大使に対しまして、11月29日に発生した屋久島沖でのCV-22オスプレイの墜落について、乗員の無事を祈るとともに、事実関係の確認と日本側への迅速な情報提供を求めたところであります。

その上で、オスプレイの飛行については、捜査・救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように求めたところでありまして、エマニュエル大使からは、米国にとりまして、米軍人と日本国民の安全こそが最重要事項であり、現在、事実関係を調査中でありますが、引き続き、日本政府と緊密に連携し、情報共有を行っていきたい旨の発言があったところです。

また、さらに、先ほど在京の米国大使館から、昨日の要請は正式なものであるとの認識を確認したところです。
その意味で、この課題につきましては、引き続き、緊密に連携してまいりたいと考えております。

【朝日新聞 高橋記者】
お尋ねしたかったのが、エマニュエル大使は、安全確認が最重要事項だとは言ったけれども、安全が確認されてから飛行するという返事の仕方はしなかった、ということでよろしいかという点でした。

【上川外務大臣】
繰り返し申し上げますが、米国からは、米国にとって米軍人と日本国民の安全こそが最重要事項であり、現在、事実関係を調査中であるが、引き続き、日本政府と緊密に連携し、情報共有を行っていきたいと、この旨の発言があったところであります。

【朝日新聞 高橋記者】
あと、最後に1点だけすみません。
安全が確認されてから飛行を求めるという大臣の発言の趣旨としては、確認されるまでの飛行停止を求めたという理解でよろしいでしょうか。

【上川外務大臣】
私が 申 し 上 げ た と お り であります。


大臣の中南米訪問予定 [アウトリーチ型外交]

【産経新聞 原川記者】
冒頭で御発言されました中南米、これは、来年二つの国際会議があって大事だと思うのですけれども、国際会議とは別に、大臣が、個別に中南米をどこか訪問される計画は、今のところございますでしょうか。

それと、アウトリーチ型外交で、特に先方からいらっしゃるときに、前にコロンナ外相に提供されたような静岡茶を必ず提供されているとか、そういったことがありましたら教えていただきたいのですけれども。

【上川外務大臣】
まず、中南米が、来年は1年間、非常に大事な時期になるという認識はしておりまして、このことを外交の中で、どのような柱で進めていくかということについては、今、積極的に検討を進めているところであります。
様々な可能性がありまして、これまで私も、いろいろな地域を行かせていただいた折に、たくさんの学びもございましたので、そういう中で、更に考えていきたいと思っております。

今、具体的に、これだというような形でお示しするには、今は、まだ検討中という状況であるということを御理解いただきたいと思います。

昨日のアウトリーチ型の会談についてのことでありますが、静岡茶の提供というような形での部分は、今のところしておりません。
ただ、私自身、日本の文化、あるいは、おもてなしについて、できるだけ幅広く御理解をいただくことができるように、これからも、いろいろ工夫をしながら、取り組んでいきたいと思っております。


パレスチナの国家承認

パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
日本は、イスラエルとパレスチナの二国家解決への明確な支持を表明しています。
しかし、イスラエルは、ほとんどのアラブのメディアや政府関係者から、全てのパレスチナ人を絶滅させようとしていると非難されており、これはパレスチナの人々、特に子どもたちに対する先般の虐殺戦争に見られます。
私の質問は、日本はパレスチナ国家を承認するか です。

【上川外務大臣】
日本は、イスラエル・パレスチナ紛争の「二国家解決」及びパレスチナの独立国家樹立の権利を含む民族自決権を一貫して支持してきております。
その上で独立国家樹立に向け努力しているパレスチナ人を政治・経済面から支援をしてきたところであります。

パレスチナの国家承認につきましては、和平プロセスをいかに進展させるかといったことも踏まえ、日本として、引き続き総合的に検討してまいります。


岸田総理とアッバース・パレスチナ大統領との会談の可能性

【トルコ・アナドル通信 メルジャン記者】
岸田総理は、中東歴訪中に、パレスチナのアッバース大統領と1対1で会談するため、パレスチナを訪問する予定はありますか。
ガザ地区の中で、人道危機の緩和と新時代のガザ再建に、日本はどのような積極的な役割を果たせるのでしょうか。

【上川外務大臣】
ガザ地区においては、これまで多数の子供たち、また女性、高齢者を含む死傷者が発生しておりまして、我が国としては、こうした危機的な人道状況を深刻な懸念を持って注視してまいりました。

そのような現在のガザ地区においての人道的危機に関し、目下実施されている人質の開放及び戦闘休止の延長を歓迎し、我が国も、関係国と協力しつつ、人質の即時解放、人道状況の改善、及びそれに資する更に長期にわたる人道的休止の維持、事態の早期沈静化に向けた外交努力を、粘り強く積極的に続けてまいりました。

11月29日には、私自身が議長として、取りまとめて発出したG7外相声明におきましても、G7として、人質の解放及び戦闘休止を歓迎するとともに、今回の休止の更なる延長及び必要に応じた将来の休止を支持する旨表明しつつ、改めて、一般市民の保護及び国際法、特に国際人道法の遵守の重要性を強調したところであります。

今般、COP28出席のために、アラブ首長国連邦ドバイに出発した岸田総理は、この機会を利用して、イスラエル・パレスチナ情勢について、イスラエル、エジプト、ヨルダン、カタールといった、地域の平和と安定に重要な役割を果たす各国と率直な意見交換を行い、そして、事態の早期の沈静化、人道状況の改善等に向けて、連携を確認する予定です。

御指摘のアッバース大統領との会談につきましては、現在のところ決まっておりません。

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