欠点の多い人、頑固な人に、上手に接するトリセツは?―『菜根譚』
人の欠点をむやみにとがめてはいけない
相手のことを思いやって、「太陽」のように接しているのに、その言動が相手には「北風」と受け止められてしまった。そんなことがありませんか。
不用意に人から怨みを買わないためには、どうすればいいのでしょう。
中国・明代に著された処世の名著『菜根譚(さいこんたん』に、そのヒントとなる言葉があります。人の欠点への対処法、そして頑固な人間への対処法について、著者の洪自誠が見解を述べています。
現代語訳から。
その1。人の欠点への対処法。
人の欠点は、できるだけとりつくろってやらなければならない。
むやみにあばきたてるのは、欠点をもって欠点をとがめるようなもので、効果はあがらない。
人の欠点というのは目につくもので、どうしてもそこに目がいってしまいます。
相手の成長を願って心を込めてアドバイスしても、本意が通じるとは限らないのが、難しいところです。
その2。頑固な人間への対処法。
頑固な人間に対しては、辛抱強く説得しなければならない。
へたに感情をむき出しにして突っかかるのは、頑固をもって頑固に対するようなもので、まとまる話もまとまらなくなる。
相手が一途な思いになっているところを、方向性や基本的な考え方が間違っているからと諭したり、考えを改めさせるのは、至難の業です。
自分の感情を押し殺して、相手の言い分に耳を傾ける。その人にとって最大の理解者という立ち位置に立つのが理想ですが、そこまでできなくとも、「うん、うん」とうなずき続ける。ただし、全面的な賛意は示さない。
「いい考えだと思うけれど、こういうケースはどうなんだろう?」と少し探りを入れてみる……そういうアプローチに時には有効かもしれませんが、必ずしもうまくいくとは限りません。
「北風」ではなく、とことん「太陽」であれ
相手がどうしてそういう言動をするのか。そのことに思いを巡らしてみる。意固地になっている理由、背景を探っていく、推論してみる、答えらしきものがみえてくれば、妥協点、落としどころが見えてくるかも。
とくに頑固な人間には、「北風」ではなく、「太陽」として接し続けないと、関係性や事態がよくなることは、まずありません。私もそれで何度失敗したことか。
「人間関係の達人」への道は遠いですが、ともあれ、先人の言葉に触れておくと、何かのときに拠りどころになるものです。
最後に読み下し文を。
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