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尊敬される人の条件。「知識」+「思いやり」+「品格」そして?―『論語』

いいポジションで仕事を続けるには

 自分は能力もあるし、仕事も人並み以上にこなしている。
 まわりのことも考えて一生懸命にやっている。
 それなのに、あまり尊敬されない。なぜか人望がない。

 人の評価というものは、自己評価よりもえてして低くなる傾向がありますので、周囲の評価をあまり気にしない方がいいのかもしれません。
 それでも、やはり人格者、信頼される人でありたい。

 そう思い当たることがあったときに、人の上に立つ人、リーダーの条件を、孔子が三段論法で語っている一文を参考にしてみてはいかがでしょうか。
 人の上に立つ人には、どういう要素が求められるか。
 *専門家の訳出を参考に、意訳しています。

第1段階

 学問や知識があっても、思いやりや気配りの心に欠けていたのでは、一時はいい地位やポジションにつけたとしても、それは長続きしない。

「学問・知識=知」 ◎
+すること「思いやり・気配り=仁」

第2段階

「知」と「仁」。
この2つが揃っていれば、リーダーの条件を満たしているといえるでしょうか。いえいえ、さらなる心得条件があるのです、と孔子は畳みかけてきます。

学問や知識。そして思いやりや気配りの心があっても、ゆるぎない強い信念を持っていないと、人々の敬意は得られない。

「学問・知識=知」 ◎
「思いやり・気配り=仁」 ◎
+すること
「威厳、品格、ゆるぎない信念=荘」

もう1つの条件。礼をもって接すること

第3段階

孔子の説く、リーダーの心得・条件はこれで終わりではありません。
最後の心得、条件として挙げているのが「礼」です。

学問や知識。思いやりや気配りの心、ゆるぎない強い信念、この三つを兼ね備えていても、礼をもって人々に接しなければ、まだ十分とはいえない。

「学問・知識=知」 ◎
「思いやり・気配り=仁」 ◎
「威厳、品格、ゆるぎない信念=荘」 ◎
+すること
礼儀=礼 ◎

 この4つを兼ね備えることが尊敬されるリーダー、信頼される人間の条件、ということです。

 孔子が唱える条件を兼ね備えるのは理想ですが、果たして、伝説上の人物は別として、そんな完璧な人間に到達できるのでしょうか。

 自分には何が欠けているのか、何がまだ足りないのか。
 あるいは、自分の強みと弱みは何なのか。

 それを測るモノサシとして、この4条件をいつも頭の片隅に置いておくこと。そういうふうに、孔子の言葉を受け止めたい。

最後に読み下し文を。

知これに及ぶも、仁(じん)これを守る能(あた)わざれば、これを得(う)ると雖(いえど)も、必ずこれを失う。
知これに及び、仁能(よ)くこれを守るも、荘(そう)以ってこれに涖(のぞ)まざれば、すなわち民敬(たみけい)せず。
知これに及び、仁能(よ)くこれを守(まも)り、荘(そう)以ってこれに涖(のぞ)むも、これを動かすに礼を以ってせざれば、未だ善(よ)からざるなり。

『論語』衛霊公篇




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