みずな

普通が一番と思っていて、日常を感謝してやるべきことをやったら、あとは神の領域、天命に従…

みずな

普通が一番と思っていて、日常を感謝してやるべきことをやったら、あとは神の領域、天命に従って生きております。 時々、ハレとケのハレがあったなと思った時に、書いていこうと思っております。 機械音痴で間違いもたくさんあると思いますが、多めにみていただけたら、嬉しいです(^▽^)/

最近の記事

ヨン様現象に見るある事情

アジア語を習いに大学の土曜講座へ通っている。期間限定ではあるが、楽しみのひとつになっている。午後からの授業開始前、ラウンジで昼食をとる。 清潔で吹き抜けの天井から入る光はやわらかい。お気に入りの席で大きなテーブルを独占しての至福の時間。時を同じくして、コーナーを陣取っている中年のご婦人たちがいる。当然ながら雑談が聞こえてしまう。彼女たちを意識するきっかけとなった言葉がこれだ。「悲しいとき、誰かの胸にすがって泣けたらいいのに」寝耳に水の言葉に、以後私の頭の中は彼女たちの話にくぎ

    • 父の誕生日

      法被装束に身を包むと、少し照れ臭そうにしながら父はカメラの前に立った。80歳という年齢相応ながら、誇らしくもちょっぴり嬉しそうでもあった。きっと遥か昔に、賑わう祭りの日のために揃えたのであろうその衣装も、母の管理が行き届いているためか、真新しい感じさえした。 紺色地のピーンと張りつめた木綿布から、しょうのうの香りが漏れた。 愛犬をだいて、満足そうな父の姿の数メートル手前で、シャッター音を数度聞いて、簡素な記念撮影は終了した。 その後、近所の馴染の鮨屋で、ささやかな乾杯の宴を催

      • ペーパードライバー

        春にペーパードライバーを返上した。まさに20年振りに快挙を成し遂げたわけである。また、随分と大袈裟な女も居たものだ、と思われるかもしれないが、運転免許を持っていたことすら忘れかけていたほど、無縁の存在になりつつあったものを目の前に浮上させることは、思ったより簡単なことではなかった。楽しさも怖さも知っているだけに、心情はより複雑だ。 むしろ、初めての挑戦のほうが気が楽だったかも知れない。 とにかく思い立ったが吉日。すぐにやるのが好きな私は、その日のうちに翌日の予約を取り付けた。

        • わたしの話

          皆さん、少しの間だけわたしの話をきいてくださいますか。 病気のせいでだんだんと声を出すことができなくなってしまいまして 言いたいことも言えなかったもんで。それが今なら出来るんです。 驚かないでくださいよ。実は私、ついさっき死人になったんです。 死人がしゃべるわけないって?そりゃそうですよ、今ここで私が 口を開けてごらんなさい。天と地がひっくり返ってしまいます。 肉体はすでに私のものではありませんし。 ただでさえ寒いこの時期に、身体はドライアイスでカチンコチンに固められて、まる

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          カフェでブランチを

          まだ肌寒い日ではあったが、友人の好意に甘えてブランチを食べに茅ケ崎へと車を走らせた。 夏は海へ向かう人たちで混雑する海岸道路も、シーズンオフの今はすいすいと通り抜けることができる。 途中一度車をとめて、砂浜へ降りてみた。 夏場はさぞかし賑わうであろうこの海岸も人影さえ疎らで、ジョギング姿の中年男性や犬を連れて散歩風の人が、時々私たちの後ろを通り過ぎていく。 春の風が頬に少し冷たかったが、目の前には大きな円みを帯びた海原がこぼれそうなほどなみなみと水を湛えて広がっていて、その上

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