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カフェでブランチを


まだ肌寒い日ではあったが、友人の好意に甘えてブランチを食べに茅ケ崎へと車を走らせた。
夏は海へ向かう人たちで混雑する海岸道路も、シーズンオフの今はすいすいと通り抜けることができる。
途中一度車をとめて、砂浜へ降りてみた。
夏場はさぞかし賑わうであろうこの海岸も人影さえ疎らで、ジョギング姿の中年男性や犬を連れて散歩風の人が、時々私たちの後ろを通り過ぎていく。
春の風が頬に少し冷たかったが、目の前には大きな円みを帯びた海原がこぼれそうなほどなみなみと水を湛えて広がっていて、その上から陽射しが柔らかく降り注ぎ、水面を宝石のようにきらきらと輝かせていた。
さて、本日の目的地であるダウ二-カフェというお店に到着すると、そこは赤い煉瓦造りのこじんまりとした建物の2階にあった。
 中央部分が吹き抜けになっていて、さながら北欧の住宅に見られるような中庭を思わせ、上階へは外階段から上がるようになっている。
 その入り口の左側が花屋さんになっていて、カフェのオープン迄少し間があるので覗いてみることにした。
すっきりと纏められている店内へ入ると、香しい花々の匂いが複雑に混ざり合って空腹の胃をちょっぴり刺激した。
 足元で目に付いたチューリップの花束の愛らしさに、思わず手を伸ばすと「お買い得ですよ」と、とても上品な感じの婦人が奥の方からでてきた。
実は今ここでお花を小道具にして写真を一枚撮りたいのだと説明すると、着ているコートの色に合わせて彼女が選んでくれたのは、少しオレンジ色がかった立派な薔薇が一凛。長さを調節して丁寧にラッピングを施してもらい、早速パチリ!
即席の演出にしては綺麗にとれていると思う。
 野菜たっぷりのボリュームあるサンドイッチにもご機嫌でしたし、食後のケーキも美味しく、コーヒーのお代わりのサービスも嬉しかったりで。
 僅か半日の小ドライブではあったが、日常を遠ざけてのハレの気分を味わうことのできたほっとしたひとときであった。

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