たぬえもん

急に物書きがしたくなったので開設しました。30代女子の徒然なる日々を綴ります。

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最近の記事

歩道橋のマジックアワー

自分という「個」を超えて、「世界」に思いを馳せたくなる時がある。 国分寺崖線(都内のがけ地)のへりにそびえたっている中学校に通っていた。崖下の街に住んでいたので坂をくだって下校する。学校の正門から帰宅するときは、この坂道のルートを通ることになる。 でも私はいつも別の近道を使って下校していた。学校の裏門ルートだ。中学校の裏門から続く階段は、崖下を走る世田谷通りに降りることができる歩道橋と繋がっている。この裏門ルートの方が正門ルートより5分ほど早く世田谷通りに出られるのだ。

    • 流しながら生きる

      何かと流すようにしている。 流すことと言えば「流し」がある。今風の言葉ではないので、少し付け足すと、台所のシンクのことである。 私は流しの排水溝を掃除するのが嫌いだ。数週間放置すれば、ぬめって臭いを放ち、流れがよどむからだ。一度よどむと、次の排水が行き場をなくして、逆流する。ネットの中にあった食べ物のカスまで逆流してきて大変だ。 しょうがないから重い腰を上げて、 ぬめった排水溝の蓋をはずし、ネットがかけられた丸いゴミ受けバスケットをはずす。そのさらに奥には、下水道へと繋

      • 【感想文】三笘薫「VISION」ゆとり世代とプロサッカー選手を比較してみた

        私は、なまけ者である。 常々、こんな性格を変えたいと思っていた。怠け者の対極にいるのが、プロサッカー選手の三笘薫選手である。そんな彼が自伝を書いた。「VISION〜夢を叶える逆算思考〜」という本だ。この自伝をヒントにして、VISION(=目標)達成の極意を考察したい。 1.三笘薫はどんな選手かまずは三笘選手のこと。説明にあたって、私が大の川崎フロンターレのファンだということも付け加えておく。三笘選手は川崎フロンターレのユースの出身で、2020年、23歳の時にフロンターレの

        • 朝靄(あさもや)の気配

          漆黒の夜がじわりじわりと明けはじめて、空がゆっくりと白んでくる。朝靄(あさもや)の時間がおとずれた。 早起きは苦手なのだが、たまに朝方の早い時刻に起きられることがあって、この朝靄に出くわすと、えもいえない気持ちになる。 今回は、この気持ちの正体を明らかにしたい。 -- 瞼がひらく。そこに意思はない。おのずと、瞳がしかるべき動きをとる。 すぐ後に、無意識の奥からゆっくりと意識が顔を出し、世界が拓けていく。 カーテンの隙間から、白く淡い光が、静かに差し込んでいるのを認識す

        歩道橋のマジックアワー

          京浜島と板金職人

          東京都大田区にある京浜島(けいひんじま)をご存知だろうか。 夜間人口10人以下の、古くから製造業がひしめく工業団地、そして人工の島である。 京浜島へは、JR大森駅からのバスか、東京モノレールで向かう。住宅がないので、この島へ移動するほとんどの人が労働従事者である。そのため出退勤の時刻である朝と夕方のバスは混雑するが、真昼間はバスに乗る人もいなければ、島内を歩く人影もほとんどない。 島の隣には羽田空港があり、飛行機が飛び交っている。このあたりまでくると飛行機は離着陸の体勢

          京浜島と板金職人

          あこがれとフィクション

          どこか遠くの世界に憧れることはないだろうか。 受験勉強をしていた頃、単語帳を片手に、電車にどんどこ揺られながら、新宿駅にある予備校に通っていた。ある真夏の日、外はどうしようもなく晴れているのに、建物の中に籠ってしまうのが勿体無くて、予備校の建物の前でふと足を止めた。 一回くらいなら授業をサボって、季節感を味わっても怒られはしないだろう、とあまり深く考えず、直感的にもと来た道を戻って、小田急線に飛び乗り、片瀬江ノ島に向かった。なかば衝動だった。 片瀬江ノ島駅から路面電車・

          あこがれとフィクション

          俳句とフジファブリック

          高校時代は俳句部に所属していた。俳句は奥が深い。季語を含めて17文字で構成し「景(=景色)」を表現するというシンプルな体裁だが、その短い言葉の中に、自然のダイナミクス(=力学)が見て取れる。 春の海ひねもすのたりのたりかな 与謝蕪村 好きな句だ。わざわざ解説するまでもないのだが、これは、春ののどかな海で、波がちびちび浜辺にやってきては、のそのそと引き返していく、そんな景を歌ったものである。まるで写真、いや、映像ではないかと思えるほどのリアリティーだ。これが俳句の醍醐味だろ

          俳句とフジファブリック

          夏になると物書きをしたくなる

          じーわじーわじーわ。 蝉の声が岩に沁み入っている。 ここは都会だから岩ではなくコンクリートだけれども。 夏になると物書きの欲求が現れるので、 今までは自己満足で終わらせていた書き物を ブログに残してみることにした。 物書きの欲求はどこからくるのだろう?と 蝉のように急激に湧いてやってきた、 この気持ちの正体を探っている。 夏休みという言葉は、30代女子にとってもワクワクする響きだ。そのワクワク感とは裏腹に、夏休みの記憶といえば子どもの頃過ごした原風景に向けられる。今やそ

          夏になると物書きをしたくなる