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慢性疲労症候群/炎症性脳脊髄炎

小学生の時からの友達で
尊敬している人がいる

その子は学年上位の頭の良さで
明るくて美人の友達だった

休み時間にあすなろ白書ごっこをしたり(笑)
授業中に手紙を書いて
先生の悪口や好きな男の子のことを
回し読みした

その子は健康そのものだったけど
中学2年生頃から
学校を休みがちになった

体がだるくなり
立っていることも難しくなった

友人関係にトラブルはないし
ごく普通の中学生生活

成績は良かったので
高校受験は希望の高校に合格した

しかし結局
彼女は中退した

通学できなくなったのだ

高校一年目はダンス部に入って
体調のいい日は発表会に出て
みんなで見に行ったりした

彼氏もできたが
先のことを考えて
友達は自分から別れを切り出した

年々体調は悪化した
成人式にはなんとか出席

着物は体に負担で着ることができなかった

ついた病名は
「慢性疲労症候群」

体が鉛のように重くなり
常にインフルエンザにかかっているような
だるさと発熱
食欲不振

程度は軽症から重度まであるが
友達は重度

家で寝たきりの生活を
20代前半から今現在も過ごしている

友達は
自分の病気が
精神的な病と勘違いされることがあり
偏見や間違った認識をされるのが
すごくつらいと言っていた

メールを打つのも重労働で
送ったメールの返信が来るのは1か月後

食べ物も受け付けないので
限られたものしか口から摂取できない

訪問看護を受けていて
入浴やトイレも介助が必要
栄養は点滴で補っている

会うことはできない

でも時々
メールで甥っ子さんと撮った写真を
たくさん送ってくれる

「慢性」「疲労」「症候群」
このワードが
疲れやすいだけとか
みんなも疲れて動けないことくらいあるとか
そういうイメージを持たれやすい

原因ははっきりわかっていないが
研究の一説によると脳内物質の過剰反応

根本的な治療法は今のところない
現在難病指定もされていないから
認知もされにくい

疲労のレベルが違うのだ
たとえて言うと
自分の体の上に高層ビルが建ってるような
ものすごい重力を常に感じているとのこと

でもメールや年賀状で話す時も
友達は小学生の時のままの
優秀でセンスが良くて明るい女性

健康なまま人生を歩めていたら
きっとそう考えただろう

友達は何も変わってない
冷静に自分の現状を見つめている

そこが友達のすごいところだと
私は思っている

決して現状を悲観していないのだ

寝ながらたくさん映画を観てるとか
昔の思い出話や
甥っ子さんと私が好きな鬼滅の話
コロナの話とか普段話すようなことを
普通に話す

私には想像も至らないような思いを
しているかもしれない

友達はそれを全く感じさせないし
かわいそうに思ってほしくないと
きっと考えているのだと思う

だから私も
昔と同じように
話をするようにしている

体調どう?とは聞かない
いいはずがないからだ

この病気で命を落とすこともあると
割合的に短命であるという記事を見て
悲しくなって泣いたことがあった

送ってくれる写真は痩せて白くなった肌の友達
イヤリングをしたり
かわいい洋服を着たりと
おしゃれをしてご家族と過ごしている

友達が一度
慢性疲労症候群の資料を
送ってくれたことがあった

同じ病気で闘病している方の手記や
わかりやすくイラストで描かれた説明書き

この病気をちゃんと理解して欲しい
そういう思いを感じたので
知らない人とかよく分かっていない人がいたら
この資料で教えるね
と伝えた

最近では「炎症性脳脊髄炎」と
呼ばれるようになったこの病気

今年で私たちは40歳

学生の時に
手紙を回し読みしていたように
今も変わらずメールのやりとりを続けている

病気によって
友達の人生は大きく変わった

家から出ることができなくなり
自分で動くことにも手助けが必要

でも内面は何も変わっていない
大好きな友達

悲観して落胆して絶望してもおかしくない

でも彼女はそうなっていない

尊敬する友達

小学生の時のまま
今もずっと
これからもずっと



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