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鬱の記録

こんにちは。せむです。
今回はせむという人間がどのようにメンタルダウンしたのかについて書いてみます。

冒頭では、鬱とは?から始まり、最後に経験談の構成をとります。

状況整理の過程で本noteを書いていますが、社会復帰を目指して鬱についてまだまだ勉強中の身でもあります。鬱についての記述で何か間違いなどありましたら、ご指摘頂けると幸いです。

鬱とは?

ストレスなどが原因で脳の機能が低下し、日常生活に支障をきたす病気です。抑うつ状態を含む気分障害の1つで精神疾患に分類されます。

精神疾患という表現から、鬱は「心の病」と表現されることもありますが、この表現だとまるで心がけ次第で何とかなるような誤解を招いていると感じます。私も無知ゆえ最近まではメンタル弱い人間が鬱になると思っていましたが、大きな間違いでした。鬱は脳の病気です。

厚生労働省の鬱を含む精神疾患患者数の統計データ(P.2 精神疾患を有する総患者数の推移 参照)では日本の人口を約1億2千万とした場合、2017時点では約3%が精神疾患を有している計算となる。H26 vs H29比においては精神疾患患者数が6.8%増加。過去15年の推移を見ても増加の一途を辿っていることから他人事と軽視できないだろう。私も鬱は自分には関係ないと高を括っていた人間の一人であり、現在は鬱で休職している身である。

鬱の兆候

一般的な兆候として、以下のようなものが挙げられます。あくまで例示に過ぎないため、チェックリスト的にあてはめて判断できるものではありません。

  • 食欲がない

  • 眠れない

  • 涙が出る

  • 今まで楽しめていた趣味が楽しめなくなる

鬱の症状

鬱とは「ストレスなどが原因で脳の機能が低下し、日常生活に支障をきたす病気」であると冒頭で説明しました。
鬱になると日常生活が崩壊します。睡眠・食事・運動といった生活の基盤がまず崩れます。睡眠は不眠の症状がでて、眠れなくなります。私は5日間眠れないこともあり辛かった記憶があります。無気力になるため、食事をとる元気もない。ベッドから動けず、食事をとるのも面倒で2週間食べなかった結果、25kg体重が落ちました。もちろん運動をする活力もありません。
風邪のように熱が出たり、咳がでたりなど症状は様々であるので、これ以上の記載はしませんが、日常生活に支障をきたすという点をご理解頂けたかと思います。

鬱の治療方法

重症度に応じていくつかあります。症状が重いと入院です。多くの場合は薬物療法による自宅療養です。
私は幸い入院まで至らず、自宅で薬物療法に取り組んでいます。ベッドから動けないような症状が重いときは薬を5種類服用。noteを書いている今は2種類服用しながら、毎日社会復帰に向けたリハビリを重ねています。リハビリといっても日常生活を送ることです。朝起きたら、洗顔に始まり食事、運動、軽作業、noteを書いたりして、夜になるとベッドで眠るという生活です。

休職中の生活

休職中の生活を参考に書きます。
鬱などで休職する場合の期間は就業規則などで定められています。勤続年数が10年未満は1年、10年超は3年などです。
休職中は無給ですが、健康保険組合などに請求すれば傷病手当がもらえます。例外はありますが、標準報酬月額の2/3がもらえます。1人暮らしなのか結婚されていて家族がいるのかなどによる状況は異なりますが、貯金は200万円程度あると安心できる水準だと感じました。盲点なのが、鬱で休職していることから、傷病手当の請求手続をする元気がないということです。休職して最初の4カ月程度は請求手続をするだけの体力がなく、ゴリゴリ貯金が減っていきました。傷病手当があるとはいえ、精神的に来るものがありました。1人暮らしの私の場合、傷病手当でなんとか生活できる水準ではあるので、そこは安心頂ければと思います。体調悪く終日ベッドから動けない時期はウーバーイーツなどの宅配サービスに頼っていたこともあります。こうなると食費がかさむので、傷病手当では賄いきれず貯金を切り崩していました。ですので、貯金は200万円程度あると安心できます。監査法人という平均以上の給料を頂ける組織で働いていたことから正直この点は救われました。

人それぞれ症状や回復スピードは異なりますが、大まかな休職中の過ごし方は次のような経過を辿ります。休職開始~2カ月目は比較的元気。2カ月目~5カ月目は一気に体調が悪くなり、終日ベッドで寝たきりなど。6カ月目以降から徐々に回復を始める。この辺りからようやく、食事をちゃんととれるようになってきたりして少しずつ日常を取り戻し始めます。日によって体調悪い日と良い日を繰り返しながら、徐々に回復していくイメージです。この時期の自殺率が最も高くなります。動けるだけの体力が回復してきて、希死念慮のある方は思いついたように衝動的に自殺してしまうのである。鬱で脳の機能が低下しており複雑な思考ができないからである。だからこそ、健常者から見ると極端な思考である「もうだめだ、死ぬしかない」などの思考に陥るのである。

休職中の過ごし方については各種制度情報含めて「マンガでわかる 休職サバイバル術」が簡潔に情報を網羅しているので参考にして頂きたい。

各種制度

鬱を含めた精神疾患の場合、公費負担医療制度などがある。
ここでは、色々と充実した制度があるんだな程度でいいだろう。
例えば、以下のような制度がある。

  • 自立支援医療制度(医療費負担が1割になる)

  • 障害者手帳(交通機関料金が割安になる、所得税が安くなるなど)

  • 就労移行支援事業所(社会復帰に向けた各種サポート)

セカンドチャンス

鬱で休職した多くの人はセカンドチャンスに賭けるだろう。
厳しい現実として、一度鬱になると再発する割合が約70%あり、一度再発すると泥沼化していき、どんどん鬱でメンタルダウンする期間が長くなり社会復帰が遠のいていく。険しい道のりですね。社会復帰できない人も少なからずいるので、鬱になる前に対策を講じてほしいです。
私はセカンドチャンスに賭けており、どうにか再発しないよう手を打って試行錯誤しております。

セカンドチャンスの選択肢としては以下の選択肢があります。

①復職
②転職(一般雇用)
③転職(障害者雇用)
④社会復帰できず障害年金生活

④はセカンドチャンスに賭けてダメだったケースを想定していますが、多くの方は①~③を模索します。転職活動の負担などがないため、①復職が無難でしょう。ただ、現職で鬱を発症していることから、②③の転職を選ぶ人もいます。障害者雇用は職場で自身の障害をオープンにするため、理論上は働きやすい環境といえるでしょう。鬱はいまだに偏見もあふれており、いじめの対象になることもあるようです。障害者雇用は健常者と比較しても月給などの待遇が劣るため、経済的な自立が厳しいのが現状です。一般雇用だとしても、鬱を発症する以前と同程度のパフォームが果たしてできるのか。やってみないとわからない側面があり、こちらも険しい道のりです。頑張って無理をしたから鬱になったのに、更なる努力が求められるわけです。険しいですね。私を反面教師にして少しでも鬱になる人が減ると嬉しいです。

どのようにメンタルダウンしたのか

特定を避けるため、一部はフィクションです。
前提:J2で会社法監査の主査デビュー。J3で金商法監査2社の主査兼務。

主査業務の状況

スタッフ業務と異なり、主査は高度な監査判断含めて間接業務なども加わり大変ですよね。それが初めてとなれば尚更。
ひどい話ですが、前任の主査がMとして継続関与するものの音信不通。私自身、主査業務は初めてなだけでなく関与することとなったクライアントも初めて。すべて手探り状態。辛いですね。ここで追い打ちをかけたのが、赤字クライアントでもあること。赤字クライアントの主査の話が来た時点で社内政治に負けてるのですが、社内政治の話はいいでしょう。監査報酬は計画に21h、実証手続に100hなど工数別の積み上げを行うことで決定しますが、赤字だと本来なら計画に21h必要なところ7hしか確保できず、アサイン外の稼働が前提となります。職階がスタッフだとスタッフアサインと並行してアサイン外での主査業務の稼働が生じます。突発的な会計事象の検証業務などもあるため、辛かったです。主査としてやるべき業務であり、腕の見せ所でもあるのですが、アサインに余裕がないとやはり大変です。主査を受け持っていたクライアントが変則決算であったことから、年間通して閑散期がなくほとんど繁忙期に近かったです。昨今の監査環境踏まえると、私と似た状況の人は多いのではないでしょうか。休日は泥のように眠り、平日が来れば仕事をする。疲れていたもののこの状況だけでは、メンタルダウンはしなかったのではないかと今では思います。

異変が起き始める

J3になって3カ月経った頃です。普段は7時に起床し、業務開始までの時間で自己研鑽をするのがルーティンなのですが、ベッドから起き上がれない。体が鉛のように重い。疲れが溜まっているのかな?とあまり深く考えませんでした。始業時間には主査としての責任感から起き上がり、仕事に取り掛かりました。手を動かし始めると先ほどまでの体の重さが嘘のようにいつも通り仕事ができたため、一時的な疲れかと軽く考えました。
今思えば、このような鬱の兆候がでてきたら疲れていることを自覚し、業務量を減らすなどの職場への交渉をすべきだったと思います。

あることがきっかけで一気にメンタルダウンしていく

メンタルダウンしていく過程を書く前に私自身のプロフィールや鬱について簡単に整理します。

鬱は遺伝要因があります。病院のカウンセリングにて親族に鬱を発症している人間の有無が聞かれます。私は母の兄が鬱で自殺しているため、遺伝要因有りとなる。誤解しないで頂きたいが、あくまで遺伝要因があるものの親族から必ず遺伝するわけではない。

性格は完璧主義で責任感の強い性格である。一般的に鬱になりやすい人の特徴として挙げられる完璧主義で責任感の強い性格という特性を有している。綺麗に当てはまりますね。あくまで鬱になりやすい人の特徴であり、全員が鬱になるわけではない点は強調しておきます。

このセクションのタイトルの「あること」とは婚約者の自殺である。このセクション冒頭の「主査業務の状況」にて書いた通り、それなりに大変な状況ではあったものの、主査業務だけではメンタルダウンしなかったと思う。
仕事の忙しさにかまけて彼女のSOSサインを見逃した。主査業務のやりがいと修了考査対策に燃えて舞い上がっていたのだろう。血まみれの浴室と冷たくなった彼女の体に触れたあたりから記憶の欠落が激しい。次に記憶が残っているのは彼女のご両親に土下座しているあたりだろうか。これ以上の記述はしないが、人生でワーストに入るショッキングな出来事だ。大変な主査業務に加えて大きな心労が重なった。このような過度なストレスでメンタルダウンするケースが多いだろう。かくして私は他人事であった鬱になりメンタルダウンした。

思考の変遷

次にメンタルダウンしていくにつれての思考の変遷を辿っていくこととする。

この思考の変遷の分析にあたり直接の引用はないが、参考にした書籍があるため紹介したい。「自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術(朝日新書)」である。本noteでは私の経験ベースの記述であるものの、本書籍では鬱に至る人間がどのような思考を辿るのかという過程の分析が恐ろしく的確である。鬱は風邪のように咳がでたり熱がでたりと症状は様々であるものの、極端な思考をしがちなど共通する部分も多くあるため、多いに参考になるはずだ。鬱の傾向分析や鬱を防ぐ観点からも読んで損のない書籍だと感じた。

メンタルダウンの原因の1つに精神的な疲れがあるが、厄介なことに知覚しにくい性質がある。例えば、20km走ったというような肉体的な疲労は知覚しやすい反面、精神的な疲労はどうだろうか?精神的な疲労が多く積み重なった結果、ようやく疲れてるかもと知覚できる位だろう。だから、気づいた時にはメンタルダウンなんてこともある。しかしながら、日常生活になんらかの形としてサインが出るためこれを見逃さなければ、大事には至らないだろう。私の場合は、朝起きた時にベッドから起きられないという体の重さだ。私は現在31歳。10代20代と異なり、1日寝ても回復しきれず加齢を感じている。メンタルダウンして初めて頑張りすぎず、疲れていそうならしっかりとブレーキを踏む大切さを実感している。

前置きが長くなったが、メンタルダウンしていく人間がどのような思考を辿るのか書いていく。
前述のとおり、主査業務・修了考査の勉強・婚約者の自殺が重なった。休職する半年前に婚約者が自殺した。思い返せば、この頃から異常な思考や行動が目立ってきたと思う。

精神的な疲労が重なってくると、①体②人間関係③行動④心の4つに表面化してくる。

①の体は健康面である。
長時間労働の常態化で体に異変が起きる。不眠などである。

②の人間関係は仕事の人間関係である。
赤字クライアントだとスタッフに恵まれず、指示した監査調書の完了をしてもらえないので巻き取ります。
普段の私であれば、他人に期待していないので「作業ありがとうございました。あとはこちらで対応します。」で終わるところ「J2ですよね?舐めてるのか?簡単な作業ですし、しっかり終わらせて下さい。」と当たりが強くなったことを覚えています。人間だし怒ることもあるか程度に考えていましたが、今思うと既に異常だったと思います。
冷静な判断ができる私であれば、パワハラに該当しそうな発言は絶対にしないですし伝え方の工夫をしたはずです。それなのにできなかった。冷静な判断ができない位に脳に異常をきたしていたんですよね。
周囲の人から異常性について指摘されたら、軽く流さいように。他人から指摘される時点でかなり異常性が際立っていることになります。別人のように思考回路が変わってしまうため、自覚症状がない分他人からの指摘があったら内省しましょう。

③の行動は仕事をする際にとる行動です。
主査を降りたい旨など関係各所に相談するも、解決できなかったことから自分の殻に閉じこもりました。相談しても取り合ってもらえず、誰も信用できないと考えました。相談の仕方によっては相談された上司としてもそんなに深刻だと思わなかったというケースもあるでしょう。継続的に相談すればいいのです。
なぜ一度相談しただけで殻に閉じこもったのか?脳の機能が異常をきたし既に思考できるような状況ではなかったのだと思います。もう誰も信用できない、とにかく頑張るしかないと。これを読んでバカなのか?休めよ、と思った方。大丈夫です。あなたは正常な思考ができています。お風呂上りにハーゲンダッツでも食べて明日からまた元気に仕事してください。脱線しましたが、このようにメンタルダウンしていくと難しい思考ができないので、「とにかく頑張る」という脳に負荷のかからない現状維持な思考をすることになります。

④の心は①②③の結果、鬱として表れるということである。
とうとう始業時間になってもベッドから動けない日が訪れ、病院へ。
ドクターストップがかかり休職しました。

こうしてせむはメンタルダウンした。

おわりに

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

本note投稿時点では休職中であり、リハビリの一環でメンタルダウンした過程を書いた。現在は社会復帰に向けて情報収集している。


精神的な疲労の性質上、知覚しづらく気づいた時には。。。なんてこともある。
時には無理が必要な場面もあるが、年を重ねると段々と無理が効かなくなるのと回復のしづらさもあるので、上手くブレーキを踏みながらキャリア形成していきたいですね。
鬱でメンタルダウンした私は、今後のキャリアアップの道は閉ざされました。

昨今の監査環境は大変ですが、鬱でメンタルダウンすると更に厳しい現実が待っていますので、健康にキャリア積めることを陰ながら願っております。

健康第一!!!


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