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59.小説と映画化とドラマ化と

映画はもともとそれほど見るほうではなかった。野球のテレビ中継と映画は時間が長いのが苦痛だった時期がある。映画館の暗い空間と、途中で抜けられない拘束感が苦手なのもあった。単に子どもの頃、それほど映画に行ってなかったというのもあるかも。

何事も経験で、高校生頃より映画を見る機会が増え、映画館を出た直後体調不良におそわれることもありつつ、自分なりの対処法もみつけ、今は何なく映画を見て楽しむようになっている。行く先の知れない人生、娯楽があるのは助かると思っている。

最近読んでいた本が映画化されていたり、これから映画化になるものが続いていたので、小説と合わせて映画も(Amazonプライムで)観てみた。
そんな感想のつらつらを綴ってみた。


1.舟を編む

再読したのがドラマ放送と同時期だった。先に映画化になっている。
キャストを見ると、映画化の方はなんか凄い感じだったが、ドラマの方も人選悪くない。映画の方は見てないのでドラマの感想。小説自体ドラマ化しやすい題材だと思う。小説とは、主役(焦点を当てる人)が変わっていたのも楽しめてよかった。MVでも見るようなのだけど、文字をビジュアル的に表示するのは、映像ならではの技法で面白かった。

2.蜜蜂と遠雷

小説を読む時に、Spotifyにあったリストを聴きながら読んでいけたのが良かった。特に、指定の曲を離れた第三次予選では演者のカラーが浮き彫りに感じられた。だけど、本選のオーケストラとの共演では、演奏を耳で聴くだけでは、ピアニストの姿が見えにくくなって限界を感じた。この部分は映像が一緒にあるといいなと思っていたら、映画化の方は第二次の共通の曲を弾く部分と、本選がメインで「そうだよね!」と思う構成で良かった。

また、演奏の記述は別として、ストーリー展開がメインだった小説の中で、印象的な情緒的な部分。雨音に「雨の馬が走ってる」と亜夜が子どもの頃感じていたことを映像化して差し込んでいるのはよかった。これは映画ならではの表現。でも原作読んでない人には伝わりにくいのかな。

残念だったところは、映画化ゆえか、映像としてのタイピングを重視したのか、映画で主役的に(小説でも十分主役感を感じたが)扱われていた栄伝亜夜とマサルの曲が入れ替わっていたこと。私がSpotifyで第三次まで聞いていた亜夜のピアノはそういう感じでなく、音色や音の強さ(強弱)などで「なぜか涙の出てくる」演奏だったから。
そして、その曲はやはりマサルでしょ、の思いがあったから。

あと、原作を知る故の部分で、本選の衣装が変わっていたこと。映画が亜夜のトラウマ的な部分をクローズアップして子どもの時の衣装と合わせたと思うし、映画で奏の出演がカットされるのはありかと思っうけど(情報量の面で)、奏とのからみがある衣装であってほしかったというのはあり。

3.ある男

小説の中にマルグリットの「複製禁止」が出ていて、映画でもその絵画が登場。また、それを踏まえてか、後ろ姿のカットが度々出てドキッとする。この後ろ姿のために妻夫木聡が採用されたかと思うくらい。原作が盛りだくさんの内容だったので、映画では扱わない部分も多いかと思ったが、アレンジはありながら、死刑囚の美術展、ヘイトスピーチのカウンターデモ映像などしっかり差し込んであったし、大祐と理枝の関係のくだりや、事件の映像などむしろ加わっていた部分に背景に厚みがつけられていてよかった。

4.本心

11月8日(金)公開で映画化。先日6月21日(金)キャストが発表されました。妻夫木聡、仲野大賀が、『ある男』に続いての出演で、監督は違うものの平野啓一郎原作の連作感があっていいです。間違いなさそうな豪華キャストです。
映画も映画監督も詳しくはない私ですが、
 石川 慶 監督→『蜜蜂と遠雷』『ある男』の監督で
 石井 裕也監督→『舟を編む』『本心』の監督 だったのに軽くびっくり
『舟を編む』の映画も見ておこうかな

そしてプロフィール見ていて
 石川 慶  6月20日生
 石井 裕也 6月21日生
 平野啓一郎 6月22日生  と発見!
ちなみに、監督は双子座、平野氏は蟹座になります。

あとキャストの 
池松壮亮、水上恒司、妻夫木聡は 福岡出身
北九州市出身の作者に合わせてるんですかね(笑)

まとめ

小説ー映画ードラマ は時間的な尺の違いがあるので、小説そのものを映画にするのはむずかしいし、そのものの特性を思うと、ただそのまま再現するものでもない。ドラマについては、一回の時間は限られても、トータルで長くなるので、冗長的になる部分があるのは必然。違うものとして楽しむのがいいと思うのだけど、原作・作者の思いに対してのリスペクトは大事にした作品であってほしいと思う。

その心配がある人は見ない方がいいのかな。原作読まないで見るというのもあると思うけど、私は2作の映画を見て、原作読んでから見たのが良かった。原作の中で、ここを汲み取ったとか、セリフなどはないけど、あそこが反映されていたとかで楽しめたので。あーこうしたかというのも出てくるけど、それが作品として成り立ってるなら、原作からインスピレーションを受けた作品として楽しみたいと思う。

とりあえず、『本心』は心配なく見れそうに思うので、原作再読して観に行きたいと思ってます。



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