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100倍、身につく国語力 (12)

【悩み相談ベスト⑤】


 作文の宿題がいつも間に合わない
 ので、困っていますが、どうすれば
 いいのでしょうか。

 
 これは国語の相談の中では、かなり多
く耳にしますが、親が困っているのは確
かのようです。その解決のための一方法
として、この「100倍、身につく国語力」
シリーズの (6)~(11) の中で、四コマ・
マンガの『コボちゃん』(植田まさし作)
を素材として「コボちゃん作文」の書き
方を紹介してきました。この200字作文
について、みなさんはその大切さに気づ
かれたでしょうから、ぜひ、コボちゃん
方式を試しにやっていただければと思い
ます。
 
 もし十分ご理解いただければ、子ども
の作文嫌いは、大幅に軽減されるはずで
す。要は、親が子ども関心や好みを的確
に把握し、あたかも「もの作り」のよう
に、一緒に対応してくださることが大切
だと思われます。
 
 現在、学校での国語の授業の中では、
作文を書く時間的な余裕がないために、
どうしても宿題として課されることに
なりがちです。特に、夏休みや冬休み中
は、読書感想文が必須の課題となること
が多いのです。子どもたちは作文が宿題
となったその瞬間から、それがが彼らの
心理的な負担になるのも、しごく当然で
はないでしょうか。
 
 実は、作文は本人の創作に対する意欲
がなければ、まず鉛筆を手にして文章を
書き出すことはできない性質のものなの
です。もともと書くことが好きな子ども
でも、はじめからそういうタイプの子ど
もはあまりいません。「習うより慣れろ」
といわれるように、日ごろから書き癖を
つけるという練習が、いかに大切なのか
がわかります。

 従って、子どもが作文で頭を抱えるの
は、ある意味で同情を禁じえませんが、
そんな場合でも以下の点にあるのに着眼
すれば、問題は意外に簡単に解決できる
といえます。  

 <問題の着眼点>  
  ① だれに対して書くか。  
  ② どういう内容を書くか。  
  ③ 何字ぐらいで書くか。 

 これはいずれも単純なテーマなのです
が、意外にネックになっていて、子ども
はなかなか作文を書かず、提出期限を迎
えてしまいます。 そこで、なぜそうなる
かを考えてみる必要があります。先生は
よく「何でもいいから、思ったことを
自由に書いて」とおっしゃいますが、実
はこれが曲者なのです。「何でも、自由
に」というのは、何も縛りがないようで
すが、あまりにも漠然とした定義になり、
子どもが焦点を絞り込めない状況になり
ます。 

 ですから、そういう場合はできるだけ
要点を絞ることから始めます。つまり、
①は、一人あるいは複数の友だちに対し
てか、親あるいは一般の大人に対してな
のか、というように書く相手を絞り込む
ようにします。なぜなら、不特定多数に
向けて文章を書くことほど難しいことは
ないからです。  

 このように書く対象者が決まれば、自
ずから②の内容を、どのように展開するか
が決まってきます。内容的には、童話、
小説、物語、日記、文芸、紀行、記録、
説明、評論、生活文などのように、さま
ざまな分野があるので、ここで子どもの
関心や興味がどこにあるかを、早く見つ
けるのが早道でしょう。 そして、字数の
制限は普通、400字の原稿用紙で1~2枚
の800字程度の制限になるでしょう。

 そこで、コボちゃん方式の200字で、
何本も書く練習を積んでいれば、その
倍数の字数は苦もなく書き上げることが
できます。

 つまり、このコボちゃん方式で完全に
書ければ、どんな長い文章でも書ける
ようになるし、もちろん小論文なども
きちんと書けるようになることは、私の
教え子が何人も証明してくれるはずです。
 
 その証拠に彼らは希望の大学に入って、
もう立派な学生になっているにも関わら
ず、いまだにコボちゃん作文は忘れられ
ない、と言ってくれるのですから、教師
冥利に尽きます。
 
アナミズ (2024.02.23)

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