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100倍、身につく国語力(84)帰国子女篇

❤小~高校生と,母親向けのレッスン

(1年間で国語力の悩みが解決できる!)

帰国子女編 ⑥
 
【帰国子女の言語感覚】
 (6) Yさんのアメリカ滞在経験
 先に、アメリカのニューヨークの現地
校に10年以上滞在した、T君(中1)
の日記を分析しました。今回は、ほぼ同
じ頃にシカゴに10年ほど滞在したYさん
(中1、女子)の例を紹介したいと思い
ます。
 
 帰国子女の日本語能力は、語彙、漢字、
文法、発音などの面から、何らかの問題
を抱えていますが、Yさんの場合には、
それらの要素を含めた日本語の表現力と
いう面から、ほとんど問題は見られませ
んでした

 
 実はこれは驚くべきことで、ある意味
ではありえない現象だといえます。なぜ
なら、日本で生まれ育ち、普通に日本の
学校に通っている子どもであっても、
学力不足の生徒はたくさんいるからです。
それが、日本の教育環境や日本社会とは、
遠く離れた外国にありながら、Yさんが、
日本人としての教育やしつけなどもしっ
かり身につけてきたという事実に、一人
の国語教師として称賛しないわけには
いきませんでした。

 そこで、ここでは、Yさんがなぜその
ようなすばらしい生徒に育ったのかと
いう秘密について、少し迫ってみようと
思います。
 
 まず、その秘密を解く大きなカギは、
家庭教育にありました
。特に、母親は
しっかりとした教育観があり、子ども
の将来を見据えた上で、日本語力の保持、
育成に多くの努力が払われたということ
です。
 
 たとえば、普通はシカゴの現地校で、
アメリカ式の学校生活を送れば十分な
はずですが、週末の土・日には日本人
補習校に通いながら、日本の学校と同
じ教材を使って集中的に勉強を続けた
ということです。

ネットのイラストより転載


 
 これは言うは易しいけれど、それを
実行することはなかなか難しいことな
のです。まだ小学生なだけにきっと遊
び盛りだったはずで、子どもは親の思
い通りにならないのが普通だと思う
からです。
 
 さらに驚くのは、Yさんは一日も欠か
さずに日本語で日記を書き続け、お母
さんがそれにチェックをしたり、励まし
たりしていた
そうです。これは日本語
力を保持するには最適の方法で、それ
が後になり大きな効力を発揮すること
になったのです。
 
  また、本人が元々本好きだったこと
もあって、英語の本だけでなく日本語
補習校から日本語の本を借りてきて、
どんどん本を読んでいたことも幸いした
ようです。Yさんは、帰国後の戸惑いは
あったものの、年齢相当の学力という
面では、ほどんど格差はありませんで
した。
 
 これは、現在でも子どもの国語教育
の課題の一つとなっている、文章力と
読解力を先取りしていたわけで、実に
先見の目があったといえます。さらに
アメリカ人より英語の本を読んでいた
くらいで、正真正銘のバイリンガル
だったのです。しかし、これは自然に
そうなったのではなく、他人の何倍も
の努力でそうなった結果であり、単に
「バイリンガルでいいね」と言われる
性質のもので、それは母子の涙ぐまし
い努力の成果だと、高く評価できます。

ネットのイラストより転載


 
 その意味では、Yさんの場合日本語
力不足を補うというよりは、逆に英語
力をどのように保持するのかという
課題が生じたくらいです。そこで、少
ない予算の中から中学生向け英語原書
の副読本を買い揃えたところ、喜んで
図書室から借りて読みふけっていました。
 
  実は、彼女は本校であるN女子校の
試験に合格した後、帰国子女特別学級
で約1年間指導を受けていたのです。
その期間に個人指導でじっくり教育し
た成果があり、本校に復帰後の高3頃
には、トップクラスの成績を収める
までになりました。
 
 ただ、Yさんはこの特別学級にいる
間、ずっと少人数クラスだったために、
ときどき本校の学校行事に参加させて、
交流を図るようにしていましたが、
それではとても十分ではありませんで
した。Yさんは、友だちが沢山ほしかっ
たと思いますが、そんなことはおくび
にも口に出さず、明るく振る舞って
いました。今もときおりその明るい
笑顔や活発な行動を思い出すと、忘れ
られない生徒の一人として私の記憶に
深く残っています。

 ❤これは余談の話になりますが、
  つい先日、この生徒と母親と
  も50年ぶりに連絡が取れて、
  楽しく話すことができました。
  Yさんは結婚していて、今で
  は二人の娘さんに恵まれ、上
  のお嬢さんが、もうすぐ結婚
  する予定だと聞いて、思わず
  昔の彼女を思い出しながら、
  懐かしくなりました。
  
  アナミズ (2024.05.05)


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