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春の嵐

桜色の雫が
落ちて飛び散った
いくつも いくつも
それらは花の数だけは
あっただろう
花々を散らして
一面桜色の絨毯になった
そしてまた更に
たくさんの花々を散らす

風が軽々と
重くなった花びらを
吹き上げていく
巻き上がるように
いくつもの渦を巻いて
それらは宙に舞った

老木は耐えた
その古い幹はしなって
またたくさんの花々を
散らす
桜色の雫を
撒き散らしながら

いつの間にか
月が出ていた
まだ浅い夜に
仄白く浮かび上がる
その老木は
孤独な闇の中
ただ静かに佇んでいた




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