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【小説】駄菓子屋のおじさん①

ある田舎町に県営団地がありその近くに小さなお店がひっそりと佇んでいました。そのお店は地域密着型、団地や周囲に住んでいる人しか知らないいつからあるかも分からないそんなお店があった。店主のおじさんはとても、寡黙で厳格な面持ちだが、優しい一面を持っている人。そのおじさんのお店は色々なものを売っていた。野菜、飲み物、文房具、お菓子、日用品、何でもあった。

ある日、団地に引っ越してきた少女、まだ幼くよちよち歩きの葵、明るく元気にすくすくと新しい家にもなれ育っていった。

葵はたまにお父さんと一緒によくそのお店に行きお菓子を買ってもらった。そのお店にはスーパーには無いお菓子がいっぱいあり、びっくり箱のようなお店だと思っていた。葵はそのお店を「駄菓子屋」と呼んでいた。

それから月日が流れ、葵は今日初めて駄菓子屋に一人で行く、いつもはお父さんに連れてきてもらったが、今日どうしても食べたいお菓子があった葵、お小遣いをもらって、玄関を開けた。いつもお父さんと一緒だった葵はとても怖かった。引き返そうかと思ったが、行くことに決め階段を降りていった。最後の段を降りて右に少し歩くと外に出る。すると斜め前にお店があるのを確認する。葵は小走りでお店に向かった。ドアを開け店に入ると、おじさんは椅子に座りながら野球を観ている。葵はとても緊張しながら店に入りお母さんの大好きなヤングドーナツを1つ取ってレジに行った。すると、「40円」といいおじさんはテキパキと会計を終わらせ商品を袋にいれた。葵は買い物を終え、店を出ると心配していたお母さんがベランダからこちらを見ていた。葵ははじめて一人で買い物が出来たのでとても嬉しく走りながら家に帰りお母さんとヤングドーナツを一緒に食べお父さんのために1つ残した。

次の日も葵はまた駄菓子屋行った。昨日1人で買い物ができたことが嬉しかった葵は調子に乗って今日も行くと決め、昨日よりも軽い足取りで駄菓子屋に昨日と一緒でおじさんはテレビで野球を観ていた。今日は何を買おうか迷った葵、昨日と同じヤングドーナツにするか、違うものにするか悩んだ末、ヤングドーナツと10円ガムを1つ買うことに決めお会計に行った。今日も寡黙なおじさんが「50円」といい葵は焦った。50円がないことに、とても焦る葵、でも100円があったことに気づき焦った葵は恐る恐る「これで」と、渡す。もし、間違ったらたどうしよう?と冷や汗をかいた。するとおじさんは100円を受け取り慣れた手つきでお釣りをくれた。店を出ると今日もお母さんがベランダから見ていてくれた。お会計でちょっと怖い思いをした葵は半分泣きながら昨日とは違う気持ちで走って帰った。

次の日は前日の出来事が頭から離れず怖い思いをしたので駄菓子屋には行く気になれなかった。

それから1週間駄菓子屋には行かなかった葵。すると、お母さんがゴミ袋を買ってきて欲しいと言ってきた。1週間前の出来事が頭から離れない葵は、「嫌、お母さんが行ってきて」といい断った。するとお母さんは「これで、好きな物買ってきていいからゴミ袋買ってきて」と言われお母さんが手を前に出していた。手を見ると、500円玉があった。びっくりした。葵にとっては500円はすごい大金でそんな大金を渡すなんて、本当にお母さんが困っていると思った葵は少し考えて、「わかったよ...」といい駄菓子屋に行くことに、重い足取りで玄関に行き勇気を振り絞ってドアを開けた。いつもどうり階段を降り右に少しどけ歩いて外に出る。すると、斜め前がお店なのを確認して葵は一直線にお店に向かい、店の前で、深呼吸してお店に入った。入るとおじさんはいつも通りテレビで野球を観ていた。いつも通りのおじさんを見て少しほっとしたのもつかの間、葵はあることに気づいた。それは、ゴミ袋の場所が分からなかったのだ、とても焦った葵。でも、動揺を見せたくなかったのかいつものようにお菓子を選んでいる少女を演じた。だか、葵はもうどうしようもないほど追い詰められていた。「どこにあるんだろ?」「もう嫌だ、帰りたい。」と思いながらも、何も買わずに帰るのは失礼だと思った葵は勇気を出して「あの...ゴミ袋ってどこにありますか?」とおじさんに聞いた。もう、心臓が張り裂けそうなくらいバクバク言っている。すると、「なんのゴミ袋だ」とおじさんが言ってきた。最初何を言っているわからなかった。話を聞いてると、葵住んでいる町はゴミによって袋が違うらしい。それを知って、もうダメだと思い。「分からない」と言ってしまった。すると、あの寡黙なおじさんが「じゃあお母さんにもう1回聞いてきたらと?」と優しく言ってくれて、早く家に帰りたかった葵はその提案にのり、すぐに駄菓子屋を出ると、いつもベランダで見ていてくれるお母さんの事も忘れて、一目散に家に帰りお母さんにゴミ袋の事を言った。「ねぇ...お母さんゴミ袋ってどれのこと?」と言うと「ごめん。言い忘れていたね。」と言いお母さんは引き出しから「この、燃えるゴミって言う白い袋ね。」といい。葵に見せた。でも、また行かないといけないのか...と思い躊躇する葵。でも、おじさんにも「聞いてくる」と言ったからには行かないと行けないと思った葵は腹をくくった。お母さんは何かを感じたのか「どうしたの?大丈夫?」と心配してくれた。でも葵は「大丈夫。もう1回行ってくる。」といいもう一度駄菓子屋に行く。

すると、おじさんが待っていてくれた。
おじさんは「お母さんなんて言ってた?」といい。葵は「燃えるゴミの袋ください」とはっきりいった。すると、おじさんはお店の奥に行きお母さんが持っていた袋と同じものを持ってきてくれて、「これのことか?」と葵の前に出してくれた。「うん。これ」といい「ください」とハッキリとした口調で言った。すると、おじさんはレジの方に行きお会計をしてくれた。「200円ね」といい葵はとっさにお母さんに貰った500円を出し、ゴミ袋が買えた。いつもは、それでおじさんとは話もしないけど、今日は何か言いたかった葵は「ありがとう!また来るね」と言うとおじさんは笑顔で「じゃあね」って言ってくれた。その笑顔がとても嬉しく、また、来ることを決意し駄菓子屋を後にし、ベランダにお母さんがいるもの確認してながら走って帰って、お母さんにゴミ袋を渡した。お母さんは「ありがとう。すごね。」と言ってくれてとても、嬉しいかった。でも、葵は大事なものを忘れていたのだ。「あれ 葵、お菓子買ってきてないの?」と言われすっかり忘れていた葵、でも、今日の買い物で自信を取り戻した葵。今日の事、おじさんのあの笑顔をを忘れないためにも、駄菓子屋で買い物した後は絶対におじさんに「ありがとう」と言うと心に誓ったのだった。


ここまで読んでくださってありがとうございます。🙇‍♀️🙇‍♀️少しだけ、小説を書いてみたくて...
誤字脱字や文章が変なとこがあるかもしれません。すいません。💦

よかったら、スキ♥️とコメントしてくださると、嬉しいです。

じゃあまた🍀*゜

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