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駄菓子屋さん

駄菓子屋さんと言えば私には今まで人に言えなかった暗い過去があります。刑法で言えば重犯罪に当たる大罪です。私がまだ小学校の低学年だった頃、悪がきのリーダーに従って偽百円硬貨を作り、目の悪いお婆さんがやっていた駄菓子屋でそれを使ってお菓子を買ったのです。

当時粘土を型に入れて出来たものに色を付けて景品をもらう遊びが流行っていました。遊びと言っても実は校門の前の道端に座ったオッサンがそれを商売にしていました。その色粉の中に銀色の色粉があり、それを使って穴無しの五円玉を銀色に変えて百円玉に見せたのでした。

犯行はすぐにバレ、親と一緒に謝りに行ったことを今でも忘れることができません。何故そんなことをしたのか、やらされたのは確かですが、やめようとしなかったことも又確かです。

さて懐かしいでもちょっとほろ苦い思い出もある駄菓子屋での句を詠います。

指で出す小さきおもちゃや風車(かざぐるま:三春)

昔の駄菓子屋にはたてよこにそれぞれ7〜8個くらい箱が並んでいて中にはおもちゃが入っていました。今で言うとガチャみたいなもので、どれか一つを潰して中からおもちゃを取り出します。もちろん中身は運次第です。その横には風車も何本か詰め込んで売られていました。「指で出す」で駄菓子屋のおもちゃと想像するのはほぼ不可能ですが、このおもちゃの箱を知っている人にはもしかして分かるかなと期待しての老人句です。風車で少し昔の子供たちを想像してもらえたら嬉しいです。

春興やサイコロキャラメル口いっぱい(しゅんきょう:三春)

今でもしぶとく生き残っているサイコロキャラメルですが、子供の頃私の大好物のお菓子でした。なんとも言えない甘さが口一杯、ほっぺもサイコロキャラメルで膨らみます。これはキャラメルのお陰で中八になりました。でもサイコロキャラメルは現代人にも理解可能ですね。

春みぞれ試験管めく色駄菓子(はるみぞれ:三春)

これはこんな駄菓子があったことを伝えるだけの句ですね。それは試験管のようなガラス容器に入った毒々しい色のぬるりとした食べ物です。それを竹ひごで掬うようにして食べるのです。いや舐めるのですね。今でもあれは何だったのかわかりません。

いちご飴糸で占う春日和(はるびより:三春)

駄菓子屋には糸の付いた苺の形の赤い飴が大中小といろいろな大きさになっていて、束ねた糸の中から一本引っ張ると自分の飴がだんだん上がって来ます。大きいのを引けば今日はラッキー!きっといい日になります。

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