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まずはすべての家なき人に家を配れ、話はそれからだ、残酷なメロディ、龍、伝説から、C調言葉にだまされんな、おうちでおなろう、目糞微苦笑おみなえし、

四月十五日

わたしは、手も足も頭もない一人の人間を思い浮かべてみることはできる。(頭が手よりも必要なものだなどと言っても、経験によって、そう思いこんでいるにすぎないのだ)。しかし、考えることのない人間は想像できない。そんなものは、石か野獣であろう。

パスカル『パンセ』(田辺保・訳 角川書店)

午前十一時五五分。緑茶、マヨネーズかけマッシュポテト。いまから寝てない自慢をする。寝てないというより、ほとんど寝られなかった。酒と寝る前に豚肉を食い過ぎたせいだ。「いま消化してる感」がハンパなかったせいだ。ゲンキーのカナダポークは安いね。金のない俺は安いものが好き。いつまでもデフレ時代のノリではいられない、なんてのは建前であって、利己的消費者以外の何ものでもない俺はやっぱ安いものが好きだ。出来ることならなんでもロハでほしい。半額シールにむらがる小汚い貧民どもを軽蔑できない。しかし肉を食うたび「罪悪感」を覚える。俺は俺に食われる豚よりもマシな生き物なのだろうか。食われる豚は人びとの栄養になるぶん役に立っている。俺はむしろ害悪を撒き散らしている。ほとんど誰の役にも立っていない。だが俺は日々ものを考えているが、豚は(おそらく)何も考えていない、ゆえに俺のほうがえらい。うぬぼれなチンカスと言われそうだけど実はこれが俺の「真情」。考える紙ストローとしての私。ろくに寝られなかった理由はもうひとつある。早朝(午前九時)から爺さんが二万七千円を返しに来たんだ。死ぬのを待っているだけの独居老人にとって偶数月の十五日はいつも死ぬほど待ち遠しいだろう。さびしい人間はしばしば買い物でそれをごまかす。ギャンブルでそれをごまかす奴もいる。いま「さびしくて学のない人間」、と書こうとしたんだけど、なんかブーメンランになりそうだったのでやめた。考える100均紙ストローとしての私。人間は考えてさえいればあとは何もやらなくてもいい。俺が死んでもこの言葉だけは生きつづけるだろう。これ以上に含蓄のある「名言」を俺はたぶんもう吐けない。爺さんからワードローブを譲ってもらった。クローゼットと言った方がいいか。上に何かを置けるのがいい。ただ染みつきまくっているタバコ臭には閉口。俺はまともな自己愛の持ち主なので服はそれなりに持っている。ほとんど古着屋で買ったものだけど。そういえば近所のセカンドストリートが閉店してたな。いま売りたい服が仰山あるんだけど。メルカリはじめちゃおうか。さっきまで運んだり拭いたりしていたからあつい。いまミラーのタンクトップ一枚。ちょっとうんちしてくる。うんちしてきた。うんちしたら急に寒くなった。でももうこのまま書いてしまおう。そういえば昨日の「よみうり時事川柳」におもしろいものを見つけた。

中日の選手がアレと言い始め

いま首位なんだよね。でも心配すんな。あと一か月もすれば定位置(Bクラス)に収まるだろうから。

森達也・編著『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?(知らぬ間に忍び寄る排除と差別の構造)』(論創社)を読む。
雨宮処凛の寄せた文章が良かった。彼女は貧困の恐ろしさをよくわかっている。「経済の弱者生存不安」というものをよくわかっている。彼女が最近出した『死なないノウハウ』は近く読むつもり。もし食い詰めたら具体的にどんな行動をとればいいのか、という知識は人々にもっと共有されるべき。自殺は思考の放棄だからいまの私はそれを否定する。
本書のタイトルにあるベンチは、いわゆる「意地悪ベンチ」のこと。そういえば去年「排除アート」について書かれた短い本を読んだ。岩波ブックレットだったかな。まことに嘆かわしいことだが、私の散歩ルートにも仕切り付きのベンチやアーチ状に曲がった変形ベンチがたくさんある。みるたび爆破したくなる。寝転べる「普通のベンチ」を置いてくれ。むかしある性豪の知人がアーチ状ベンチはアレをするのにちょうどいい形なので深夜によく利用しているとか言ってたけど、ふつうに腰かけることを拒むベンチなんてそんなふうに使うしかないわな。俺はいずれホームレスになるだろう、という予感は二十代前半のころはあったが今はない。なんだかんだいって俺は路頭に迷わないと思う。制度や支援団体のことをある程度知っているから。他人に「ヘルプミー」と言えるから。「変なプライド」がないから。さっき「普通のベンチ」を置いてくれと言ったけど、ベンチなんかより雨露をしのげるミニシェルターみたいのをそこらじゅうに置いてほしい。それならアパートを追い出されても安心だ。そもそも俺は家賃を支払いたくない。ねんねん増え続けているという空き家を国が出来るだけ買い取って、日本に住んでいるすべての人に無償譲渡すべきである。これはいまからでもできる。おい岸田、アメリカの言いなりになって防衛費なんか増大させている場合か。この売国メガネが。お前は世の中の傘になる覚悟はあるのか。おふくろさんが泣いてるぞ。「強きもの」の暴走を抑え「弱きもの」を助けるのが政治だと、俺は何度も言ってきた。これからも言い続けるぞ。もう昼飯食うわ。モヤシ炒めと納豆。著しく寝不足だがこのあと古書店行こうかな。文圃閣かブックオフか。魔魔魔魔×疏疏。北国の春。良識を失うな。メメント森喜朗。

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