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嫌な隣人を呪い殺す壺が欲しい

六月十日

想像すれば、私には見える。わざわざ旅などして、それ以上なにをするというのか。感じるために移動しなければならないのは、想像力が極度に脆弱な人間だけだ。

フェルナンド・ペソア『不穏の書、断章』(澤田直・訳 平凡社)

正午起床。爺さん在室。起きて早々こんな奴に言及しないといけないことが情けない。こんな生き物が隣に存在していることを忘れたい。このジジイが存在していることを思い出すたび涙がとめどなくこぼれる。胸が締め付けられる。吐き気頭痛。鳴き声だすな、煙吐くな。「健康で文化的な生活」を送らせてくれ。ほんま隣に住む人間を愛せたためしがない。どいつもこいつも極度の非常識人間ばかりだから。「まとも」で「理性的」なのはつねに俺だけだ。これこそが俺の不幸。世界にはアホしかいない。これはどういうことか。しかしきのう寝る前どんだけ壁クンクンしただろう。今日もすでに二度している。煙のレイプ魔どもをどう退治していくか。「ピアノ殺人事件」のようなことでも起こせば自分らがどれだけ嫌われているかが分かるかもしれない。広く話題になってこの喫煙加害の問題が議論の対象になるに違いない。これぞ山上徹也戦略。「タバコ殺人事件」の日はそう遠くないだろう。オッケーグーグル、銃のつくりかた教えて。

有田芳生『改定新版 統一教会とは何か』(大月書店)を読む。大月書店といえばマルクス=エンゲルス全集を出している出版社。統一教会(世界統一家庭平和連合)といえば「反共」を掲げる国際勝共連合。納得。
きょねん安倍晋三が射殺された要因の一つに、統一教会がある。山上氏の母親がこの教団に一億円以上も献金していたという。ああ蹴り倒してえ。教団が自民党(保守系)議員のもとに秘書を送り込んでいたとか、組織的に選挙応援をしていたといった「統一教会問題」が、あの事件以来、国民の注目を浴びることとなった。かくしてこの統一教会をむかし取材していた有田芳生の仕事は激増した。選挙で落選したばかりなだけに内心ラッキーだったでしょう。デモクラシータイムスでも横田一(見た目からして本田勝一に憧れているのが分かる)が「統一教会問題」に執念を燃やしている。この人の出る番組はだいたい政局中心だから詰まらなくていつも途中までしか見ないのだけど、ときどき二塁打や三塁打を打つので侮れない。宗教法人への「解散命令」は「信教の自由」の直接的侵害は当たるのか、とかいう専門的議論はもう少し勉強してみないと分からない。ただ、統一教会がほとんど宗教の衣をまとった詐欺集団であるとしたなら、そういう議論自体が滑稽なものにならざるを得ないだろう。
大きな事件は「こうしたこと」を表沙汰にする効果を持ちうるのだ。それを教えてくれた山上氏に俺は敬意を表したい。いま壁クンクンしてきた。やっぱ気になるんだ。さっきジジイは外出した。このまま帰ってこないことを満腔で祈る。嫌な隣人を確実に呪い殺すことの出来る印鑑や壺があるなら一万くらいでも買いますよ、統一教会さん。どうか連絡を。もっとも三日以内にジジイが死ななかったらクーリング・オフしますけれど。

きのう午後二時半から、友人と三時間ほどお喋り。そのあと閉館までカンタン・メイヤスー『有限性の後で』を読んで、帰宅。悪天候でなかったので買い物ができた。豆腐、もやし、納豆、鳥皮、焼きそば。

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