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学会遠征編ショート版 第17話

概要

 徳島のあれやこれやを楽しんだ3日目。4日目は四国を離れ、次のバンコクの学会に参加するため、体制を整えなおす1日となる。

起床

 朝起きて、朝食をとるところまでは3日連続同じ流れだ。もはや実家だ。ゆっくり食べる僕の隣に座る若い2人は、観光客だろうか。昨日1日で写真を50枚くらい撮ったと見せ合っていた。僕のアルバムは、近々整理した方がいいだろう。容量はまだ大丈夫そうだが、写真を見返すのに時間がかかりそうだ。さて、今日の予定はある程度決めてきた。9:15の高速バスで徳島から脱出し、日中は淡路島を観光、夕方に明石に行き、21時前後に関西空港に到着するという算段だ。大忙しだが、移動時間も多いので、昨日よりは休める時間が多いのだろう。

さらば徳島

 荷物をまとめてチェックアウト手続きをした。ホテルに物を忘れて諦めるというようなミスは度々やらかしてきた人生なので、冷蔵庫の中やベッドの下など入念にチェックはしてきた。そして外に出た瞬間にふと思う。これからバンコクか…暑さ対策してないなと。あるとき、研究室のメンバーがタイ旅行に行ってきたようで、当時は日本が冬の時期であるにもかかわらず、「半袖でいい」くらいに暑かったと聞いていた。半袖の服なら持ってきておいたのだが、日焼け止めは持っていない。これでは焦げ死ぬと思い、進行方向逆側にあるコンビニで買うことにした。ついでに、paypayに5,000円だけチャージしておいた。今回はもう慣れているので大通りではなく最短ルートで行くことにした。その道を選んで曲がった瞬間、闊歩するねこさんに出くわす。僕の判断は間違っていなかったようだ。とてもうれしかった。意気揚々とスーツケースを転がしていたらすぐに徳島駅にまで着いてしまった。徳島駅を拝むのはかれこれ8回目だ。さすがに勝手がわかってきた。しかし、慣れ親しんだところで別れがやってくるものだ。さらば徳島、さらば四国。
 バスに乗ろうと思ったところで、乗り場がわからないという致命的な問題に直面した。ここかな、とじっとしていたが、一向に来る気配はない。なんなら、周りに人がいないので、どうしたものかとあたりを確認してみたら、ここは降り場だと書かれていた。大恥ではないか。何事もなかったかのようにすました顔で戻ってくるが、スーツケースを引いているので無知な観光客だと思われたかもしれない。気にしないことにして、本物のバスターミナルへ向かった。案内所があったので聞いてみると、正しい乗り場を教えてくれた。9:15のバスになら乗れそうですよ!と教えてくれたので意気揚々とそのバスを待ち、乗り込もうとしてみたが、運転手が名簿を持っていることに不審に思った。もしや、名前がないと乗れないのか?事前に登録しろってこと?その通りだった。この高速バスは完全予約制なのである。こんな初見殺しに捕まるとは思っていなかった。駄々をこねても結果は変わらないので、みすみすこの便を逃すこととなってしまった。こうなれば、予約を取らないことには四国を脱出できない。がんばってネット検索をし、予約のサイトを開いたが、自分の乗ろうとしている「大磯号」の予約フォームにたどり着けない。駅近のコンビニのマルチコピー機ならなんとかできるのではと駆け込んだが、そもそも支払う前の段階で躓いているので何も解決できない。駅内の観光案内所はどうだろうか。9時台はまだ空いていなかった。困ったなともう一度サイトを凝視すると、小さい字で「大磯号はネット予約できない」と書いてあった。先に言えよと思いながらも待合室に入った。チケットの取り方がわからないので窓口に問い合わせたら、「この便はうちではない。隣のバス会社だ。」と言われ、またもや択を外した気分になった。隣に聞いてみたら、よくわからないという感じでとぼけられて、なんじゃこりゃと言わんばかりに呆れてしまった。こちらの伝え方が悪かったのかもしれない、もう少し自分で頑張ってみようと思い、近くにあった券売機らしきものを触ってみることにした。仕組みがややこしかったが、調べたバスの便と同じ時刻が示されていたので、多分これが成功法なのだろう。9:30で予約しようかと奮闘してみたが、世間はそれほど優しくなかった。もう満席で撮れないのだ。仕方がないので次の10:30で予約を取り、チケットを発券した。そう、1時間以上ここに拘束されるのである。暇ができてしまったと駅周りをうろちょろしてみるが、もう見飽きた景色である。ここまでくるとさっさと四国を脱出したい気分の方が勝っていた。駅の中は、まだ早い時間だからかあまり店が営業していない。
 次に四国に来ることがあれば、自分の車で行きたいと思った。淡路島や瀬戸大橋などから走って通行するか、フェリーで運搬してもらうなど方法は何でもいいが、交通の便に振り回されることなく、自分のペースで色々見て回りたいと思った。僕の地元もそうだが、車が前提の生活をしている文化圏なので、このような形になってしまうのも仕方がない。車で乗りいれた後輩がなんだかんだでいちばん正解に近かったのかもしれない。

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