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学会遠征編ショート版 第2話 難波の街並み

午前の部 名古屋→大阪

 朝は7時に起きた。前日まで遅寝遅起きを繰り返し、昨晩に至っては荷物の準備に夢中になって5時間しか寝ていないが、スパッと起きられた。顔を洗い、身なりを整えて、荷物を最終確認した。朝飯はパン一つだ。名古屋駅に行く地下鉄には間に合うだろうと高をくくっていたが、いざその時間が近づくと、意外と焦るものだ。小走りにならないと電車を1本逃してしまう。逃しても次の電車に乗れば問題ないのだが、この旅の序盤、余計な心配でMPを削るのはよろしくない。確かに、予定の電車には小走りでなければ間に合わなかった。それ以上に、少し走ったので今の服装では少し熱い。今回の旅は暖かいところばかり回るのでできる限り分厚い上着を荷物にしたくなかった。そのため、日本での服装はスーツ以外にはTシャツの上にカーディガン1枚。何かあった時のためにコンパクトに収納できる上着も持っていくことにした。最初はその両方を着ていたので暑くなるのも早い。少し見た目がよろしくないので、すぐにカーディガンのみにした。この旅は基本的にこれで行こうと思う。無事に集合することができた。とはいえ予約しておいた特急には30分も時間があるのでしばらくホームで語り合うだけの時間となる。やっぱり1本逃しても問題なかった。りんごはこの発表の資料がまだ先生から認可してもらえず、焦っているらしい。そのため、自分の席でパソコン作業ができる近鉄は都合がいいようだ。新幹線ではなくこちらを提案してきたのはりんごの方である。時刻通り9時に発車した。特急の中では僕は特にすることがないので、資料を見てあげることにした。りんごはB4なので、少し前まで卒論に取り組んでいたようだが、その時も直前まで資料を作っていたようだった。その資料を訂正し、先生にメールで送る。ほっと一息つくのも束の間、5分後に更なる訂正を要求される。どうやらりんごは研究室きっての問題児らしい。さらに訂正して送ったら、今度は何時の新幹線で向かうのかメールで聞かれていた。これは一緒に新幹線に乗って指導しようとしているのではないか、その先に何かあるのではないかと心の底から恐怖していた。りんごは1日中先生からのメールに怯えているようだったが、どうしてこんなに詰められるのか聞いてみたら、何もしてなかったからと答えた。たしかにそれは仕方がない。近鉄で大阪難波まで来て、次の南海線出発までは十分時間があるので、ここで昼食をとることにした。早く到着するために急遽淡路島のバスを使うルートに変えようか悩んでいたようだったが、そんなに恐怖に侵されていても仕方がないので、その先生とは別である、本来のフェリールートを提案した。

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