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渚にて (創元SF文庫) ネビル・シュート

友人に貸してもらった、「渚にて」 ネビル・シュート著を 読了しました。

北半球が核戦争により4700発の核爆弾がさく裂して滅び、あふれ出した放射能が南半球にじわじわ迫りくるという状況の中で、豪州に住む群像がいかに日常を最後の日まで過ごすかという話。

この読書時点でも随分ささったが、もっと自分が年取って同様に自分の終末が近い状況で読み返すと耐えられないかも・・と思った。
でも・・この日常を維持しようとする群像を、一文一文を読み返すことで穏やかな気分になっていくのも確か。

起こるであろう暴動、略奪シーンはこの小説では描かれない。勧めてくれた友人に、それが無いのは

「舞台となる豪州という地域も影響あるのかな?これが米国だとそうもいかんやろし。」

てな具合で聞いてみると、友人は概ね同意し、

「米国はプラグマテックやからな。」と回答したのが耳に残る。

★プラグマテック→私の理解では現実的もしくは合理的

しかし思い返してみる

「でも群像のなかの米国の潜水艦艦長はプラグマテックでもなかったような・・。」

なお思い返すと

「いやいや自分で頭がおかしくなったと言ってたな・・。」

せつない気分になり、思わず作中で、その艦長に想いを寄せるヒロインのセリフを心の中で呟いてみた。

「ふつうよ・・頭がおかしいわけではないのよ。」

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