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出会い、そして結婚

統合失調症と診断された2018年。その1年後の2019年妻と出会う。
SNSを介して出会い、メールを交わし、会う事になった。最初は2人の家から中間ほどの距離にある駐車場。
その駐車場がその後の待ち合わせ場所となり、通る度に当時の記憶が思い起こされる。「最初はここで待ち合わせしたよね」と今でも会話に出てくるくらいだ。
あの頃妻はまだ車の運転をしていた。夜は運転を控えていたようで、会うのは日中。僕が休みの日。ドライブが好きというので、適当に県南の方へ車を走らせ、お互いの様々なことを話した。名前、出身校、部活、好きな音楽、趣味、職業などなどなど。

職業に関して言えば、僕は最初妻に会社員と言っていた。何回か聞かれたと思うけど「会社員だよ」「ただの会社員なんだよねー」を繰り返していた。あまりにも漠然とし過ぎていて妻はどんな会社なの?と繰り返し聞いていた。
そりゃそうだ。流石に会社員だけじゃ怪しすぎる。
対妻に限った事ではないが、僕は初対面の人には会社員とかサービス業なんですと答えている。職業が与えるイメージが先行したり、その後のよくあるフレーズへの回答が面倒だったりするからかも。あとは僕自身相手がどんな職業かはあまり気にしていないというのが大きいのかも知れない。

妻に職業を伝えたのはその日の最後だった気がする。その間妻は、いろんな職業に就いていた事を話してくれたし、元彼との話もしてくれていた。教師や自衛隊、お坊さんとの恋仲だったなどなど。
そしていまだに「なかなかお仕事何しているか教えてくてなかったよね」と振ってくる。

数日し、妻から今後どうすると話があった。
その時、自身が統合失調症である事を教えてくれた。
すごい勇気が必要だったと思う。精神疾患というとマイナスなイメージを持たれがちだから。それでも話してくれた。こんな自分でもよければ付き合いたい。そう僕に伝えてくれた。

とても悩んだ。

この先とても大変になる。自分の好きな事やしたい事をできなくなるだろう。イライラしたり、ストレスが溜まったりもするだろう。
恋人とはお互い自立し相手の時間を大切にし、楽しさを共有し、何かつらい事があれば思いやりたい。そう思っていたが、彼女と付き合うという事は、自分が一歩引き冷静に務める事が増える。自分の考えがあっても精神的に不安になるような事は伝えるべきではない。その生活を僕はやっていけるのか。


付き合おう。

妻には、不安要素を打ち消すだけの気持ちの優しさと自身の事よりも周囲の人を気に掛ける思いやり、日本的文化を大事にする人間的魅力があった。

付き合いだして半年ほど経ち同棲することになった。物件を選び、家具や家電、生活必需品を購入。入居日から数日はテーブルが届かないため、段ボールをテーブル代わりにし食事をしていた。あの使った段ボールが丈夫なものでよかったとつくづく思う。
物件は鉄筋コンクリートで、都市ガスの2階の部屋。廊下からの足音などはたまに聞こえるものの、隣りの生活音はほとんど聞こえてこない。

後にこの物件にしておいてよかったと思えることがいくつも起きる。
それはいつか描くアパートでの生活編で記そうと思う。

付き合い同棲し春になるまでは妻の調子はすごく良かった。受診は月に一回だったし、幻聴や不安感、無気力など症状はほとんどなかったように感じていた。だから少し早いとは思っていたが、再度妻の友達が誘ってくれた介護の現場に復帰する準備をした。もちろん当時の主治医にも相談し、最初は働く時間が1時間でも2時間でもいいからねと話してくれた。施設の方も8時間勤務は大変だろうと、基本は6時間勤務とし体調に合わせて勤務時間を調整しようと言ってくれた。

春、再出発。

初日は無事に研修を終えて帰ってきた。働く前に妻が言っていた、愚口を聞いてねって事もできた。久々の仕事で相当疲れたんだと思う。その日はいつもよりとても早く寝たのを覚えている。

二日目以降数日間出勤はするが、2時間くらいで帰ってくるようになった。帰ってきては、いられなかったと泣いていた事が昨日のことのように思い出される。慣れない環境、介護経験者ということもあり、じっくり一緒になって指導してもらえる環境ではなかったようだ。
それからは出勤前にお休みの連絡をすることが続き、受診も週に1回になっていたと思う。先生には診断書を書いてもらい、1ヶ月の休職。それが3ヶ月続き、退職となった。

夏、妻の自信がなくなる。

この頃は死にたいとかはなかったが、幻聴は不安感、ソワソワした感じ、黙っていられない、発狂したくなる事が多くあった。自分はダメな人間なんだと涙ながらに話していた事が印象的だ。

秋、僕たちは結婚した。

妻の状態は決して良いものではなかったが、その中でも体調を見ながら準備を進めた。結婚の挨拶や両家顔合わせ、入籍日の決定。
そして婚姻届を提出し、晴れて夫婦となった。
安定した場所ができたことに妻はとても喜んでいた。その頃はよく「妻だから」「奥さんだから」と嬉しさが溢れ出ていた。
その思いとは裏腹に、体調は崩れていく一方。新婚旅行として2泊3日でディズニーランドとディズニーシーに行ったが、その時だけ調子は良かった。昔からディズニーが好きだった妻は、楽しみが症状を抑え込んでいたのかも知れない。

冬、入院。

忍び寄る病魔に何か月も耐えてきたが、流石に自分の力ではどうすることもできず入院。

春、退院。

現時点では結婚1年目が一番体調が悪い。あの頃と比べると今はまだ良いのかも知れないが

結婚3年目
僕たち夫婦の第2章が始まろうとしている。

笑顔がある生活が1日でも多く訪れますように。2299

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