ラグビーワールドカップ2023 決勝戦 ニュージーランド対南アフリカ 両国の国歌について

 ラグビーワールドカップ2023 決勝戦を戦う両国国歌について書きたい。以下個人の感想です。

 これまで書いてきた通りニュージーランド代表オールブラックスと南アフリカ代表スプリングボクス、そのラグビースタイルは対照的。そしてその対照的なスタイルの最高峰にいるのが両国である。だから私はこの両国の代表チームが好き。その対戦が、ワールドカップの決勝戦で見られる。こんなに興奮する試合はない。

 好きが高じてこの両国についてはその国歌も好きになった。両国歌とも旋律がとても素敵である。ニュージーランド国歌は、厳かな雰囲気ではじまり後半は情熱的に、最後はまた厳かに終わる。一方の南アフリカ国歌は、厳かな雰囲気で始まり、そこから勇敢な雰囲気に変わっていく。そして最後英語の歌詞は、人種融合に共に立とうという強い意志が表現されている。
 また一つの言語だけではなく、複数の言語で歌われるのも興味深い。
 ニュージーランド国歌「God Defend New Zealand」あるいは「Aotearoa」(神よニュージーランドを守りたまえ)」は、まずマオリ語で、次に英語で歌われる。法的には「God Save the King」が国歌であり、第二の国歌という位置づけにあるが、ニュージーランドの賛歌として歌い継がれてきた経緯から、スポーツの国際試合などの国歌斉唱では「God Defend New Zealand」を歌うのが通例となっているそうだ。
 一方の南アフリカ国歌「神よ、アフリカに祝福を」は5つの言語で歌われる。現在の南アフリカ国歌はネルソン・マンデラ大統領が1997年に制定した国歌で、人種間の融合を願い「神よ、アフリカに祝福を」と「南アフリカの呼び声」の2曲が一つの曲として編曲された。「神よ、アフリカに祝福を」はもともと讃美歌として作曲されたが、黒人解放運動で盛んに歌われたため「反逆歌」として歌うのが禁止された過去がある。タンザニアやザンビアの国歌にも採用されている。コサ語ではじまり、ズールー語、ソト語と続く。後半部分の「南アフリカの呼び声」はアフリカーンス語、そして最後は英語で歌われるが、英語で歌う歌詞は人種間融和の促進を願う内容に変更されており、私のもっとも好きな箇所でもある。

 国歌斉唱をする両国選手も対照的に見える(以下、個人的な感想です)。オールブラックスは、人種問わず厳かな雰囲気で斉唱しているように感じる。一方のスプリングボクスは人種により濃淡がある。白人選手の一部は先生にいやいや歌わされている高校生のようだし、対照的に黒人選手の熱唱ぶりには心を打たれる。特に黒人選手として初めてスプリングボクスのキャプテンに選ばれたシヤ・コリシの、目を閉じ天に向かって大声で歌うさまは、人種の壁を越えチームを高みに上らせんとするキャプテンの想いが伝わってきて試合前から目頭を熱くする。

決勝戦はいよいよ明日。どんな試合が待っているのか、楽しみでならない。




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