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階段の呪いが解けた日

入院28日目
リハビリ21回目

本日は、担当してくれている理学療法士さんがお休みのため、別の方がお迎えに来てくれた。

リハビリ室までの移動が難しい方の場合は、ベッドに腰掛けながらリハビリを行なったり、フロアー内を歩行したりと様々だ。

大体毎日、同じ時間帯に行われるが、患者のお風呂や面会などの予定で、前後することも多々ある。 

外来のリハビリもあるので、理学療法士さんは毎日のスケジュール調整が大変そうだ。

「お迎えに行ったけど、お風呂で不在だったよー。」
「レントゲン撮影に行ってていなかった。」

という理学療法士さんの声が、たびたび聞こえてくる。

今日、担当してくれる理学療法士さんは女性。女性の方は初めてだ。

「よろしくお願いします。」

挨拶を交わして、リハビリ室まで移動する。

移動中に、シーネが取れてからの足の状態や、苦手な階段下りの事を伝えておく。

今の病室から、リハビリ室に行くまでの道筋に、外来受付と待ち合い場所がある。そこを通って行くのだが、これが意外と緊張する。

午前中は、特に外来患者で混雑していて、病院スタッフの往来も激しい。人に接触しないように、気をつけながらゆっくり進んで行く。

そして通行時、視線を感じるのだ。

病衣を着た松葉杖のおばさんが、ソロリソロリと目の前を通過したら、そりゃ見ちゃうよね。

自意識過剰なのかな・・・緊張する。

その待ち合いギャラリーを通過すると、リハビリ室まではあと少し。

今日もリハビリ室は大盛況。

いつものように横になって、右足首周辺の強張りをマッサージでほぐしてもらう。

最後に足首の可動域を確認する為に、足の裏を握られ、手前にグーッと倒されるのだが、無意識にいつも身体が力んでしまう。

力を抜いてと言われてもこれがなかなかできない不思議。

痛いのかと聞かれると、そんなことはないのだ。

痛みとは異なって、アキレス腱のツッパリ感が強い。腱がちぎれそう、という感覚。

腱がちぎれないのは、頭ではわかっているが、身体の防御本能で足に力が入ってしまうのだろうか。

はたまた、踵の脱臼を不意打ちで整復された時のトラウマなのかな?

今日の結果、角度は90度。
これをあと15度ほど、足首を手前に倒せるようになるのが目標である。

そして、恒例の階段昇降。

リハビリ室の練習用階段で、動作の確認をする。上って下りてを2往復。

すると、理学療法士さんから、

「下りの時、上半身が前に倒れすぎているのかもしれないですね。だから着地の時のバランスが崩れやすくて怖いのかも。」

とアドバイスをもらう。
確かに下りは恐怖心があるので、踏み外さないように、足元をすごい凝視していた。

次に、理学療法士さんが松葉杖を使って、実演してくれた。

今までも、階段の上り下りを実演してくれたことはあったのだ。しかし、足の運び方に注視しすぎて、上半身の状態なんて見てなかったよ、不覚だった。

視線を正面にして上半身を立てて、松葉杖で身体を支え、健側の膝を曲げ重心を下げておき、足先をストンと落とすだけ。

なるほど。安定感がある。

何度か実演してもらって、頭でイメージトレーニング。

さて、実践だ。

何度か練習をしているうちに、下りのコツが少し掴めたかも!何しろ恐怖心が薄れている自分に気づく。

えーー!嬉しいんだけど!
嬉しすぎて泣きそう。

だって階段の下りはもうこれ以上、上達できないかもと思っていたから。

理学療法士さんも喜んでくれた。

これが成功体験なのだな。
「強い恐怖心」から「できるよ大丈夫」に、うっすらだけど、上書きできた。

次回、本物の病院の階段でやってみてどうなるか・・・ちょっと前向きな自分がいた。










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