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名もなき家事

私は普段の生活の中で、家事を担っていた。

炊事、洗濯、掃除、買い物などが主な家事になるが、これに分類されないもの、いわゆる「名もなき家事」が意外とたくさんあるわけです。

これらのことは、家事を担ってみないと、なかなかわかってもらえないなと思っています。


例えば、夫の場合。
ある日「今日は、燃えるゴミの日だから、ゴミ出しお願いね。」と夫に頼みました。

台所にある、45リットルのゴミ箱の、生ゴミなどが入ったビニール袋を取り出して、口を結びます。

そして、そのゴミ袋をゴミ収集場所まで持って行ってくれました。
これが夫のゴミ出しの認識でした。

イヤイヤイヤ。
それだと、ゴミ出し評価30点だよ。

まず、ゴミ箱は台所にだけあるわけでないの。洗面所、リビング、各部屋にもゴミ箱は存在するのよ。

そして、空のゴミ箱に、新しいゴミ袋がかかっていないのは、かなり残念。

夫と暮らし始めて、20年以上になる。その間に、ゴミ出し行為を幾度となくやってきた。私のその姿を夫は見てくれていると思っていた。

でもそうではなかった。

私がゴミ出しの仕方を、手取り足取り教えていなかったのが悪いのかな?

これまでゴミの日は、私が家中のゴミを1つにまとめて、そのゴミ袋を玄関まで持っていくところまで行っていた。

夫は出勤時に、その玄関にあるゴミ袋を持ってゴミ収集場所に行く、だけ。

それが、日常になっていた。


「ミステリと言う勿れ」というドラマの第1話で、朝のゴミ捨てをしても、奥さんに感謝されないと嘆く刑事に対して、主人公の久能整くんが発した言葉を思い出す。

是非ググってみてほしい。
他にも、久能くんのセリフには、名言がいっぱいある。

その後は、意識的にゴミ出しの日は、なるべく夫に、ゴミを集めるところからやってもらっている。

それでも「新しいゴミ袋をゴミ箱にかける」ことを忘れてしまうことが多かった。

そして何故か、ゴミ箱の蓋はちゃんと閉まっているのだ。

それを知らない私は、いつもの様に、生ゴミをゴミ箱に捨ててしまってから、ゴミ袋がかかってないことに気づく・・・という悲しいことがしばしば起こる。

それも現在は、できるようになってくれた。


今回、私の足関節脱臼骨折からの長期入院、という事態となり、夫と子供たちで、全ての家事を担わなければならなくなってしまった。

家族会議をして、家事を分担して乗り切ろうということに。

洗濯係、掃除係、炊事係、買い出し係、飼っている文鳥のお世話、観葉植物の水やり、などなど、大まかに担当者を決めて、取り組み始めたようす。

 
入院生活がスタートし、しばらくすると、家族から私にLINEが入ってくるようになる。

・ボディソープのストックはどこ?
・シャンプーの詰め替えはある?
・漂白剤スプレーが見当たらない。
・掃除機のヘッドの掃除の仕方は?
・柔軟剤がもうすぐなくなるよ?
・おしゃれ着洗いの洗剤ってある?
・アイロンとアイロン台ってどこ?
・麦茶のパックの予備ってある?

などなど、名もなき家事に当てはまるものがほとんど。

娘は、洗濯係を担当したようで、私へのLINEに愚痴が綴られていた。

「Tシャツとか下着類が、いつも裏返しに脱いだまま洗濯機に入ってるの。乾いたあと、毎回それを直すのが、もうイヤになったから、裏返しのまま、引き出しに戻しているよ。」

「やってみてわかったけど、家事って大変なのね。細かいことが多すぎる。」

とも書いてあった。

そう、そうなんだよね。
やってみなきゃわからないし、気付かない。

私がこれまで、自分がやらなきゃと思っていた家事。

家族にお願いしたり、お手伝いを促すことがうまく出来なかったのも私。

今回の私のケガをきっかけに、家族には大変な思いをさせたが、家事を担うという体験をしてもらえたのは、怪我の功名だったのかな。


退院後、できる家事はボチボチやっている。でもまだ私が松葉杖を使用中なので、夫が夕飯作りを担当してくれている。

このままずっと夕飯の献立決めから、調理まで担ってくれないかしら。と心の中で思いながら、今日も有り難く夕飯をいただいている。

みんな、ありがとう。





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