《あのね、》
「別れよっか。」
もう一度人生をやり直せるなら、わたしはこの人との人生を選ぶのだろうか。楽しかった。確かに楽しかった。たくさん笑った。でもその分、傷ついたこともあったはずなのだ。
これ以上傷つくのを恐れてずっと言えなかった言葉を、あなたはポロッと言った。その時、わたしの内側からは聞いたことのない、妙なリズムで動く何かがあった。
ドクドクドクドク
バクバクバクバク
あなたはモノを、自分でどこに置いたか忘れるから。わたしは常に把握していた。どこどこと探してる姿が愛おしかった。わざと教えないこともあった。それでも見つからないんだから。それでもさ、そんなあなたがわたしを見つけてくれたことは、何かの奇跡だったんだね。
楽しかったのかな
めんどくさくなかったかな
わたしじゃダメだったのかな
ほかに気になる人でも、、
もっともっとわたしの心が大人であればよかったのだ。全てはそれなのだ。でも、あなたのおかげでわたしは変わることができた。少しだけ強くなれた気がした。笑顔が増えた。確かにこれは、あなたのおかげだった。
だから最後はね、
感謝の気持ちを伝えてさよならするね、
「今まで本当にありがとう。ほんとにさ、毎日が楽しかったよ。幸せだった。正直振られた直後は悲しくて別れたくなくて、いっぱい引き止めちゃったけど。ごめんなさい。わたしの方がわたしのことしか考えてなかったね。あなたの気持ちを考えることができてなかった。ごめんなさい。あなた幸せを祈ってます。ほんとだよ?今はそんな気持ちが強いんだ。あのね、大好きだったよ。全部の時間が大好きだったよ。ばいばい。」
家を出た途端、涙が止まらなくなった。
同棲をしていたため別れ話の後もしばらく一緒に住んでいた。その期間は泣かないようにしていた。去るもの追わず。絶対泣かないと決めていた。すがりついていると思われたくないから。どうせなら最後まで楽しく過ごしたかったから。でも、やっぱりわたしの内側の妙なリズムには勝てず苦しくなって溢れ出た。
強くなれたのか。
これでわたしはきっと、強くなれたよね。
あなたとならまたどこかで
会える気がしてます。
またどこかでね。
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