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新卒で発達障害の僕が旅に出るまで⑥運命の感染編

 前回、意気揚々と東京に行く気満々だったぼくもどういう風の吹き回しかコロナに感染してしまう。

4月 地域おこし協力隊へ
5月 保守
6月 配置転換
7月 地獄の夏期間
8月 東京にいくかもしれん
9月 運命の感染←今回!
10月 焦りと女
11月 いざ札幌へ
12月 危険作業
2023
1月 無能、露わに
2月 無職と旅
3月 夢と生活(現在)
4月 行ってくる

1.実質有給やん!
2.祖父母の背中
3.友人の言葉

 8月の下旬のある日、夜からちょっと具合が悪くめまいがしたり少々の吐気に襲われていた。その時は、夜に作ったウルトラスパイスカレーの影響なのかなとさほど気にしてはいなかった。そんでもって起きてても気持ちが悪いだけなのでとりあえず寝ることにした。

 その日の夜中、唐突に目が覚めた。視界が揺れ、身体もあんましいうことをきかず、少しよろけてしまった。
 具合が悪かったとしても寝れば回復するような体質なのでかなり驚いた。驚きつつも、とりあえず水を一杯のんで再び横になった。
 朝になっても体調は変わらなかったので体温を測ってみることにした。確か38℃とかだったと記憶している。こんな状態では出勤出来るわけがない。とりあえず休みの連絡を職場に入れ、家にあったコロナ検査キットを試してみた。すると黒い線が二本表示された。つまり陽性である。
 普通は落ち込むのだろうが、このときの僕はイケイケドンドンだったのでむしろ有給ゲットだぜ!程度の感じで、言うことを聞かない身体とは対象的に心は結構元気だった。

2.祖父の背中
 コロナになって、前からみたかった仮面ライダークウガをみたりなんだりしてめちゃくちゃ元気だったが、みるみる体温は跳ね上がり、ついには40℃を超えた。
 そんなとき、インターホンがなった。そう、祖父母が物を届けに来てくれたのである。というのも、コロナへの感染が判明したと同時に一応近くに住む祖父母には連絡を入れといたのだ。そんな祖父母が気を聞かして食べ物を持ってきてくれたのである。
 ドアを開けると祖父の後ろ姿が見え、目線を下に向けると食べ物が置いてあった。喉の調子はイマイチだったが「ありがとう」とかって言った。すると祖父は手を上げてそのまんま車に乗り込んでいった。
 確か去年くらいで80歳になる祖父がわざわざ車を運転して食べ物を届けてくれた。今でもあのときの祖父の後ろ姿や天気だとかは脳裏に焼き付いている。
 この一件があっていこう急速に東京への熱が冷めてしまい、むしろ東京なんて絶対行きたくないとまで思うようになった。留学感覚で東京へ行こうとしていたコロナに感染する前までの自分が嘘のようだと感じた。

3.友人の言葉
 この心の変わりを通じ、僕は友人の言葉を思い出した。その友人は「コロナに感染すると人格が変わりめちゃくちゃ臆病になって、飲み歩いたりしたい気分でなくなる」なんてことを言っていた。この言葉を聞いたのはコロナに感染する前だったので、あまり気にもとめてなかったが、上記の心変わりをえて、この言葉は心の奥に強く引っ掛かっている。
 そのせいか、東京なんて行かなくてよかったと本気で思っている。でも、あの感染がなければ東京なんて行ってなかっただろうから、あれは運命の感染だったんだと思う。


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