『完璧美男子(腹黒)×無表情メイド(毒舌)+変態JK(ペット枠)の日常』 第1話


日本 某県 某市 4月 朝 9時

「・・・あっ///・・・そんな///・・・そんなに見せちゃって///えへへへへ///」

ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・・

ピピピピ!!!ピピピピ!!!ピピピピ!!!

カチッ

目覚ましの音が私を眠りから覚ます。

「─────う・・・う〜ん・・・起きなきゃ・・・早く・・・バイト・・・面接・・・ある・・・」

あぁ〜初めての一人暮らし・・・

つい浮かれ過ぎて連夜に渡る深夜アニメの疲労が此処にきて出てしまうとは・・・

はぁ・・・行きたくないなぁ・・・休もうかな

「─────っと、いけない!いけないよ、私!バイトするって言って1人暮らしさせてもらってるんだから。体を鞭打ってでも行かなきゃ!」

甘くとても魅力的な罠に引っかかりそうになるのを既の所で思い止まる私、流石!・・・でも

「美女が鞭打ってくれたら行く気満々になるのに─────」

『ホラホラ、香里奈さん?早く行きなさい、行かないとこの鞭が貴女を痛めつけるわよ?それとも何?私の手練手管のテクがお好みか☆し☆ら☆』

「是非お願いします〜えへ///えへへへへ///・・・はっ!?」

いけない!いけないよ、私!

つい、いつもの妄想癖が!・・・そうだ風呂!

風呂入って頭を落ち着かせよう!

それにしても・・・えへへへへ///

──────
────
──

「よし、時刻は9時50分。出掛ける準備万端!電気よし!戸締りよし!鍵閉めよし!じゃあ、行きますか!」

私はそう言って自宅を出た。

面接時間にはまだ早いけれど、この町を見回る為だ。

なんせ、引っ越して早々アニメ三昧だったせいでろくに外出て無かったからね。

さて、見回りながらではあるけど、遅ればせながら私の自己紹介といこう!

私の名前は加藤香里奈、現役JK!

まぁ、入学式は明日だから厳密にはまだJCだけど細かい事は気にしない。

親に無理を言ってなんと!なんとなんと高校生にて1人暮らしという漫画的展開を絶賛満喫中!

まぁ、満喫し過ぎてバイトするの忘れて昨日急遽申し込んだのだけど・・・

そして、一番の特徴は・・・まぁ皆さん薄々勘付いていると思いますが・・・そうです、私は百合です!

女の子が大好き!

女の子とお付き合いがしたい!

女の子達と身体を絡めたい!

そんな事を随時夢見る乙女なの!

・・・え?何故男と付き合わないのかって?

だって男の人は苦手で・・・汚くて・・・怖いし・・・何より変態で・・・

その点、女の子は良いよね、綺麗!可愛い!最高!

あ〜もうだめだ!妄想しただけでも鼻血が・・・えへへへへ///(※ブーメランが突き刺さってます)

でもでもでも〜私が明日から通う学校は共学なんだよね〜↓

なんで共学なんだろうね〜↓

まぁ、全部私が悪いんだけど・・・

最初はね・・・最初は女子校に行こうと思ってた!

 * * *

中学3年 担任との二者面談時・・・

『先生、私黒紫女学院に行きます!』

『・・・・・・貴女は・・・馬鹿ですか?』

『えっ?なんでいきなりそんな事?・・・はっ!?・・・先生///いきなり・・・そんな・・・確かに私はちょっぴりMですけど・・・ここは職員室ですよ///』

『貴女の学力で県内でも随一の偏差値の黒紫女学院に行けるわけないでしょ?寝ぼけるのも大概にしなさい』

『いや〜///でも先生のような美しい人に罵倒されたら私・・・私は///』

『いい加減にしないと男子校送りにするわよ』

『すいません、マジ勘弁してください!』

 * * *

あの後、自分の学力に合った女子校を見つけるも何故か反対され、結局共学の青蘭学園に通う事になっちゃって・・・はぁ・・・憂鬱

っていうか青蘭ってのがもうダメだと思うの!

何故かって言えば、私最初に聞いた時・・・

『えっ?セイラン高校?・・・せいらん?星乱?星が乱れる?・・・性・・・乱・・・はっ!?性乱高校!!とんだ変態学校じゃない!?そんなとこ行く生徒なんて変態しかいないわよ!(※ブーメランが突き刺さる)』

とか思ったりなんかしちゃったりして・・・

でも、転んでもタダで起きないのがこの私!

共学に行くに渡り、私の必死の熱弁により1人暮らしが許可された!

これが今の私唯一のアドバンテージと言っても過言ではない!

それにそれに男が居ても無視すれば良いと思うの!

例えば彼氏持ちの彼女を誘惑して寝取っちゃえば良いもんね・・・えへへへへ///

明日が待ち遠しいなぁ〜どんな子がいるのかなぁ〜

清楚系?委員長系?妹系?それともギャル系?ヤンキー系も良いなぁ〜

いっそハーレムいっちゃう?楽園目指しちゃう?

そんな妄想に馳せていると白髪メイドが視界に映る。

そうそう、メイドさんを侍らせるのも良いよね〜














・・・・・・えっ?メイドさん?

つい二度見・・・三度見・・・四度見までしてしまった。

視界に映るは、まごう事なき白髪美少女メイド。

まるでアニメの世界からそのまま飛び出して来たかのような異彩を放っている。

一言で・・・彼女を一言で言うならば・・・

「エロい(綺麗)(※思考と言葉が逆になってます) ────」

何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ!!!

完璧ド真ん中160キロストレートが私の心の臓を抉りとるかごとく貫いた。

横顔だけど分かる・・・綺麗過ぎない!?可愛い過ぎやしない!?そしてそしてそして何より何より何よりも・・・

エロ過ぎやしないかい!!!

メイド喫茶は人生で一度は行ってみたいと夢見ていたけど、入る勇気は無かった・・・

何度か行こうと思い立つも、いざ入ろうとした瞬間に足がすくむ事が多々あった・・・

そして、いつしかそこは私の中で幻の桃源郷となってしまった。

しかし、しかし、しか〜〜〜し!!!

いる!私の視界にいる!視線の先にいる!推定約10m先にいる!

メイドが!生メイドが!生のメイドが!麗しの生々なメイドが!

あぁ〜!!!夢にまで見たメイド服・・・黒のワンピースと白のエプロンのコントラストが眩しい!!!

あ・・・あぁ・・・あぁぁぁぁぁぁぁ///

ダメダメこれじゃあ妄想が捗ってしまう!!!

「えへ///えへ///えへへへへ///」

「・・・・・・!」

あっ!?こっち見た!?こっち見た!?!?こっち見た!?!?!?

真正面だと更に綺麗に可愛くそして、エロく見える!!!

ダメ、ダメよ!私自制しなきゃ怪しまれちゃう!

でも、無理、無理よ!メイドさんを生で見て自制なんて出来っこない〜!!!

私はもう完全に妄想の海へとダイブしてしまっていた。

「すいません────」

こうなってしまった今の私はしばらく潜ったままだ。

「貴女────」

海の底に到達するまで私の意思は現実に戻ら────

「人の話を聞きなさい、豚」

「へ?」

今、何かとてつもない悪意に満ちた名称で呼ばれたような気がしたのだが・・・気のせいかな?

「ようやく反応出来るようになりましたか・・・どうなされたのですか?」

「いや、何にもないです・・・うん、何でもないです」

・・・ていうか目の前には無表情のメイドさんに話しかけられたという事実。

「えっ!?わわわわ私に何か御用でしょうか!!!」

話しかけられた!?話しかけられた!?話しかけられた!?こんな綺麗な人に!?

これはもしかして・・・もしかして建っちゃった?

メイドさんとのフラグ早くも建築しちゃった!?

「いえ、そちらから私の事をエロ親父のように舐め回す視線・・・いや、アレは視姦ですね。視姦に遭ったので何か知らないかと思いまして」

「は・・・はぁ、そんな事が・・・」

気付かれてた!!!

バリバリ見てる事気付かれてた!!!

ってかエロ親父って私そんな目で見てないよ(嘘)

いや、そう悲観するな私!まだ、私がどうかは決まってない。

仮に私だとしても気付かれなければ良いんだ!

これはメイドさんと会話という神イベントと思えば良いんだ!

「いっ・・・いや〜知りませんね、そんなの見てないですね」

「そうですか、見ていないのですか・・・ならば必然的に貴女が私を視姦していた事になりますが────」

「見ましたね!まごう事なき、ハッキリと、この目で見ましたね!男は・・・あぁぁぁっちに走り去って行きました!!!」

私はそう言って明後日の方向を指差す。

何やってんの私!?そりゃそうツッコまれるよね!?

現に視線感じてるって言って誰も見てないんじゃあ『私が犯人で〜す!』って言ってるようなもんじゃない!!!

怒ってるかのような無表情が辛い・・・

「・・・そうですか、走り去ってしまいましたか。ならば仕方ありませんね。すいません、呼び止めてしまいまして」

「いえいえいえ、とんでもないです!?逆に話しかけられてラッキー?みたいな感じです!」

ラッキーどころの騒ぎじゃないよ!天にも昇る心地良さだよこれ。

声も全てが透き通るような感じ・・・ステキ。

それに・・・なるほど、このメイドさんは無表情系なのか、うん・・・すっごく良い!!!

「そうですか・・・じゃあ私はこれで失礼します」

「まっ・・・待って下さい!・・・あ・・・あの〜今暇ですか?良ければお茶でも一緒にいかがでしょうか?」

よし、よ〜〜〜し、よくぞ誘えたぞ、加藤香里奈!

こんな美少女メイドさんに話しかけられるイベントなんてもう2度とないだろう。

ここは是が非でも友達ならなければ!

そう、始まりはただの友達という関係に持ち越そう。

やがてそれが友達以上の関係に・・・ああ、どうしよう。

ニヤニヤが止まらない、胸がドキドキしてとまらないよ〜///

「ごめんなさい、私は今仕えている方がいらっしゃるので」

「あ・・・そうですか・・・すいません」

私の夢・・・見事に霧散する・・・

そうだよね〜・・・メイドさんだもんね〜・・・言い方変えれば使用人だもんね〜主様いるに決まっているよね〜

・・・いや、ちょっと待ってこれはこれでアリなのでは!?

私には見える!主従を超えた関係が・・・百合的展開が!!!

 * * *

『お嬢様、今夜もなさいますでしょうか?』

『当たり前じゃない。それとも何?貴女はしたくないの?なら別に良いわよ、しなくても』

『えっ!?いや・・・私はそのような事は無く・・・』

『クスクスクス、分からないわね?ちゃんと言ってくださらないと・・・何が御所望なのかしら?』

『よ・・・夜伽を・・・したい・・・です///』

『フッ・・・よく言えました。良いわよ、来なさい、今夜は私が貴女を快楽の海に堕としてあげますわ・・・さぁ、来て///』

以下 香里奈の脳内妄想が続きます・・・

 * * *

う・・・う・・・うひゃぁぁぁぁ!!!

良い!凄く良い!!!良すぎる、主従関係の百合!!!

でも、これは私の妄想だ。具体性に欠ける、どんな主なのか訊かなくては・・・

「あ・・・あのう・・・主さんってどんな方なんですか?」

「・・・知らないんですか?もしかして、引っ越してきた方ですか?」

おお〜と?予想斜め上の反応・・・

この言葉から導き出される答えとしてはこの町では有名の人なのね・・・

つまり、町内が認める百合関係!?

この町の住民といい市長も中々分かってるわね

「私の仕えている方は凄い方ですよ」

凄い・・・それはアッチのテクがって意味ですか!?

「完璧・・・でもありますね」

それもアッチのテクが・・・ですか!?

「一言で言えば・・・完璧美男子ですね」














「─────え?美男子?」

「はい、そうですが」















「美男子って男の?」

「はい、男のです」















「美しい男のように見える少女・・・ではなく?」

「それは美少女ですね。美男子です、見えるではなく男です」















「あの胸が無い?」

「はい、あの胸が無いです」















「あの竿が付いてる?」

「はい、あの竿が付いてます」

な・・・な・・・な・・・なんでだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!

なんでなの!?なんでなの!?一体全体なんでなの!?

なんで男!?どうして男!?なにゆえ男!?誰得なの男!?誰も得しないよ男!?意味わからないよ男!?訳わかんないよ男!?

こんな可憐で綺麗で美しいメイドさんがお使えする主がよりにもよって男だなんて!?

男如きに・・・男如きに・・・男如きにぃぃぃ!!!

許せん!許せん!万死に値する!!!

いや、ここは落ち着くのよ、加藤香里奈!!!

逆に考えるのよ、加藤香里奈!!!

恐らく・・・いや、確実にこのメイドさんはその男野郎にこき使われているに違いない!!!

ぞんざいに扱われ、いつもいつも掃除洗濯といった無理難題を押し付けられてるのよ!!!

まるでシンデレラのように!!!そう、シンデレラのように!!!

そして、挙げ句の果てに・・・奴隷に・・・ナニとは言わないが、恐らくナニ奴隷になっている事も確かなのよ!!!

だって私だったら絶対そうするし・・・

ここはこの私が寝取────ゲフンゲフン

助けるしか他ない!!!

「あっあの・・・私は加藤香里奈って言います!!!貴女のお名前はなんと言いますか!?」

「・・・田中花子です」

田中花子さん!?なんか想像していた名前とちょっと・・・ていうかだいぶ違うけど・・・まぁ、悪くない、なんか逆に親近感が増しました!!!

断っておきますけど、別に田中花子っていう名前をディスってる訳じゃないよ

「田中さん、合わせて下さい貴女の主に!!!私は貴女の主に言う事があります!!!」

主とか関係ない!!!男なんか関係ない!!!

ガツンと言ってやる!!!

この薄汚いエロ親父め!!!・・・と!!!

「・・・そうですか・・・やっぱり知ってます?私が仕えている方の事?」

「何言ってるんですか?知る訳ないですよ。私、つい最近この街に引っ越してきたばかりなんで」

つーか、知りたくもないよ、変態エロ親父のことなんざ・・・

「そうですか・・・なら良いんですが・・・あっ、来ましたね」

来たのか・・・ついに来てしまったのか

まぁ言っちゃ悪いけど、ブクブクに太った豚が来るんじゃない?

『ブヒーブヒー・・・僕ちゃまのメイドたん何処に行ったのブヒー』

とかのセリフが合う奴でしょう─────

「水無月、悪いな待たせてしまって─────」
















瞬間、香里奈の目の前が色付いた・・・

まるで今までの世界がモノクロのように感じるものだった・・・

今まで見てきた色彩は愚かなまやかしである事に神奈は肌で感じとってしまった。

これが・・・これが本物の色・・・神が創造した色彩である事を・・・














・・・なっ・・・なっ・・・なっ・・・

何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ!!!

先程、抉られた160キロストレートよりも遥かに速く、重く、そしてとてつもなく大きな球が神奈の全身を抉り取った。

なんだというんだあの男は!!!

あれが男なのか!!!

あんな男がいるのだろうか!!!

一言で言うならば・・・一言で・・・

カッコいい・・・///

─────はっ!?いけない!いけないわ、私!

私は百合なのよ!!!

『美少女大好き〜!』な百合なのよ!!!

それを・・・それを・・・男を見てカッコいいだなんて!!!

こんな男見たって平・・・平・・・へいき・・・

カッコいいなぁ〜///お付き合い・・・してみたいなぁ〜///

・・・って、うぎゃああああ!!!死ね!死ね!この煩悩がぁぁぁ!!!

私はそう心の中で叫んで地面に顔を打ちつけた。

「ええ〜と・・・この随分と個性的な女性は一体?」

「さぁ?知りませんね。先程、気味の悪い視線を感じたのでこの方にお話をしただけなので」

「そっ・・・そうなのか?・・・って、君!?大丈夫か!?頭から血が流れているぞ!?」

死ね!死ね!死ね!この煩悩───あれ?

なんか誰かに頭を持ち上げられた?

恐る恐る目を開けると、視界いっぱいに先程のイケメンが・・・

はぅぅぅぅぅ///近い近い近い!!!

えっ!?何!?もしかしてキス!?キスされちゃうの、私!?

ファーストキスは美少女って決めてるのに!?

ちゃんと断らないと!ほら、言うのよ!早く言うのよ!

・・・・・・言えない!!!なんで言えない!!!口が動かない!!!

ダメ!完全に受け入れ準備万端な私がいる!!!

でも、こんなイケメンにキスされるのも・・・悪くはないなぁ///

「いけないよ、女性が顔を痛めつけるなんて。ほら、これで拭いてあげるよ」

そう言ってイケメンは私の顔を優しく撫でるように拭いた。

うひゃぁぁぁぁぁ///触った!!!触った!!!イケメンが私の顔を触った///

って違う!!!私は百合!百合なのよ!!!

女の子と女の子が絡め合うのが大好きな百合なのよ!!!

ちょっと優しくされたからって傾いてるんじゃないよ、私!

「さて、血もだいぶ引いてきたみたいだ。次からはこんな事しちゃいけないよ。君の顔、可愛いんだから」

イケメンに!!!

こんなイケメンに可愛いって言われちゃった!!!・・・何もしかして私に気があるの!?

そーよ!絶対そうよ!そうでなきゃこんな事言わないわよ!!!

でも、ごめんなさいね、私百合なのよね〜!!!

でもでも、どうしてもって言うんだったら付き合ってあげなくもないようなないような!!!

「え・・・えぇ///そうかなぁ///そんな事ないと思いますけど///ありがとうございます///」

「それで、何が俺に用があるのかな?」

「え?」

「え?水無月が言うには用があるって言うから」

「いやいや、そんな大した御用とかじゃないですよ!!!」

いっ・・・言えない!!!貴方のメイドさん、田中さんを寝取ろうとしてました、なんて言えない!!!

「・・・っていうか水無月って?」

あれっ?そう言えば・・・さっきもなんか泉って名前出てるけど誰のことだろう?

「え?いや、彼女の名前だよ。『水無月 泉』って言うんだ。てっきり名前教えてるのかと思ってたけど」

そう言ってイケメンはメイドさんを紹介した。

「え?水無月?泉?田中花子さんじゃなくて?」

「そんなの嘘に決まっているでしょう。見ず知らずの方においそれと名前を言うほど私は常識知らずではありません」

嘘つかれてた!?

って言うか、それは遠回しに私が常識知らずと言っている様に聞こえますけど!?

「あぁ、なるほどね。水無月、この通り綺麗だからよく不審者に話しかけられるんだ。だから、君の事も不審に思ったんだろう。ウチのメイドの無礼を許してくれ」

「いや、こちらこそごめんなさい!・・・え〜と?」

「暁、『東雲 暁』だ、よろしく」

「あっはい、加藤香里奈です!この街には引っ越してきたばかりですが、よろしくお願いします」

そう言って握手する、私と東雲君・・・いや、東雲さんと言った方がいいかもしれない。

それにしてもなんて素敵な手、握手・・・いや、handshakeが素晴らしい。

柔らかくて繊細であるのと同時に力強さを持ち合わせている感じで・・・まるで心まで優しく包み溶かし、守ってくれるような・・・あぁ、カッコ良くもあり、優しい方なのね・・・

「加藤香里奈さんか・・・いい名前だね。ふ〜ん、引っ越ししてきたばかりなんだね・・・・・・通りで俺の事を知らない訳だ」

「えっ?今なんて?」

最後なんか呟いたように聞こえたけど・・・

「いや、何でもないよ。それより、引っ越して来たばかりなんだよね?もし良かったら、この街の事を案内するよ。時間あるかな?」

「ぇえ!?えぇぇえあぁああぁ!!?!?ぜっ・・・全然有ります!時間山ほど有ります!」

・・・って、ついつい二つ返事で答えちゃった!!!

私百合なのに!!!私百合なのに!!!私百合なのに〜!!!

こういう時はメイド服の水無月さんを見るのよ!そして、心の中で戯れる妄想をするの!

「フッ・・・加藤さんって面白い方ですね。そうですか、じゃあ行こうか?」

「はい!!!」

でも・・・良いよね!偶には!

偶には男も悪くないよね!イケメンも悪くないよね!

それにメイドの水無月さんも居るみたいだし、大丈夫大丈夫、問題ない。

そうそう、これはノーカンノーカン。男という敵を知る為に仕方なくだ、仕方なく行くのだ!

って言うか、何かやろうと思ってだんだけどなぁ〜・・・何だったっけなぁ〜・・・う〜ん、全然思い出せない。

「加藤さん、行きますよ」

「はい、分かりました!」

まぁ、別にどうでも良い事だよね!イケメンとメイドさんとの街案内に比べたらね・・・うふふふふふ///















「・・・悪いな、折角のデートなのに」

「いえ、これは仕方のない事です・・・でも、この埋め合わせはしてくれないと怒りますよ?暁」

「分かってるよ、泉」


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