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エッセイ集「お茶にしましょう」から 古民家カフェ

Amazonのあまりにも深い森の中で、
まるでその中の1本の樹の1枚の葉を探すかのように、
もはや見つけ出すのも困難となり、
いったいどこを探したらいいのやら。
今やひっそりと森の中に埋もれている、
私のエッセイ集「お茶にしましょう」
ここnoteに残しておきたくて、
忘れたくないエッセイをひとつだけ読んでもらえたら。

ー古民家カフェー

情報がたくさんある今の時代いろいろなことが便利になったものの、もしかしたら、そのぶん私達の生活は以前より忙しくなっているのかもしれない。

古民家カフェに行って来た。
山の中にひっそりあるカフェは、車がないと行けない。
カーナビにも載っていないから、道を行ったり来たり。
迷いながらもやっと見つけることができた築100年以上にもなる民家。

早期退職をされたご主人と奥様二人でやっておられるカフェには土間があり、かまどがある。
そんな台所で作られるランチは、自分達の畑の野菜や地元の特産品を使ったシンプルながらも新鮮で、とても美味しいメニューの数々。
かまどで茹でた野菜は味が違うのだという。
手間ひまかけた、日々の丁寧な生活。
お茶を飲みながらゆっくり過ぎ去る贅沢な時間。
そんなお二人の生活に、お金では買えない豊かさを感じた。

今やネット社会。私達はありとあらゆる情報に取り囲まれ、昔なら近所の井戸端会議のような話が日本中、世界中をかけめぐる。
気付けばあっちからこっちから、あれやこれやと様々な情報が入ってくるのだから、そりゃもう忙しいったらありゃしない。

その情報、今の私に本当に必要なの?
その時間、今の私に本当に大切なの?
時として見失いそうになる、何か大切なこと。
縁側で月を眺めながら語り合うというお二人。

古民家カフェから家に帰ったら自分から、かまどの煙に燻された匂いがした。
なんだか、幸せを少しだけ持って帰って来たような、そんな気がした古民家カフェでの一日。

*原文の加筆修正しました。

深いAmazonの森の中に少しだけ、優しい日差しが届きますように。


お茶にしましょう
イチゴ大福と豆大福
どっちがいい?
お好きなのを
今日は中国茶にしましょう

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