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孤独な会話 今日も猫は公園のベンチでお昼寝をしている

お散歩にちょうどいい季節。
近くの公園までお散歩に行った。
こんな時は、ニャンコよりワンコが居てくれたらと思う。

「お散歩行こう行こう」ワンワン
「ほら、お花が綺麗だね」
「ちょっと待って!写真を撮るから」

公園のベンチで、背中を丸め一人座っているおじいさんの姿が見えた。
近づいてみるとその周りには、3匹の猫がいる。
まるでおじいさんと会話をしているかのようだ。

1匹はグレーのロシアンブルーのような毛並みの猫。
きっとその昔は飼い猫だったのだろう。
もう1匹は少し薄汚れた白猫。
洗ったら真っ白くふわふわになることだろう。
そしてもう1匹は大きなサバ猫。
その風格から、この公園のポスなのかも知れない。

3匹ともさくら耳。
去年もこの公園で見かけた猫達だ。
寒い冬をどこかで無事に過ごしたのだろう。

「おまえたち、今日は飯を食ったのか?」
「腹は減っていないのか?」

「おばあさんが、どっかに行ってしまったにゃ」
「施設には連れて行けないんだよ」って。
「施設ってにゃに?」
それ以来おばあさんは帰ってこない。

すでに認知症ぎみのおばあさんには、どうすることも出来なかったのだろう。
おばあさんは「ご飯まだだったね」と、日に何度もご飯を用意してくれた。
今食べたばっかりなのに。

老後多くの蓄えがあれば、それなりの場所にペットを引き取ってもらえるのかも知れない。
あるいはペットと一緒に過ごせる施設に入れるのかも知れない。
しかし、おばあさんにはもうそんな余裕なんかない。
自分が施設に入るのが精一杯だったのだろう。
その日まで猫たちは、一人暮らしのおばあさんの唯一の会話相手だったのに。

「そうか~お前達は置いていかれたのか~」
「世の中はな、人間だって厳しんだよ」
猫と会話するおじいさんも寂しげだった。

空き家に残された猫達は自分の力で生きて行くしかない。
それでもたまに餌を持って来てくれる人もいる。
公園の野良猫に餌をやってはいけない。
それはわかってはいるのだが。

2040年頃には、日本の単身世帯が全体の4割ぐらいになるのだという。
そんなに遠くないこの先の数字に驚いてしまう。
結婚をしない人も増え、離婚も今では当たり前。
歳を取れば死別だってある。
そう思うと何だかわかるような数字でもあるのだが。

社会から離れてしまえば、毎日会話する人もいなくなる。
コンビニやスーパーのレジはセルフレジだし、
宅急便の荷物は、置き配や宅配ボックスに届けられている。
困りごとで電話をすれば自動音声だ。
1日誰とも話さない日があり、やがてそれが1週間、2週間となって行く。

会話の相手は犬や猫。
そしてこれからはAIとの会話が当たり前になるのだろう。
なんだかそれが、孤独な会話に聞こえてしまうのは私だけだろうか?

私はおじいさんに声をかけてみた。
「猫かわいいですね」
「去年もいましたよね」
おじいさんは下を向いたまま、少しだけうなずいて、寂しそうにニコリとしたような気がした。

そして今日も猫達は公園のベンチで、日を浴びながらお昼寝をしている。


ヤギさんミルクのチーズケーキ

お茶にしましょう
チーズケーキにはコーヒーがいいかしら
ヤギさんの絵が可愛いでしょ
思わず買ってしまいました
メェ〜 ウメェ〜〜


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