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気がつけばカボチャの馬車

時計が真夜中の12時をさす現実。
メリーゴーランドのようなキラキラの馬車は、気がつけばカボチャの馬車。
あの立て髪の美しい白馬は、いったいどこへ行ってしまったのだろう。
時の流れは早い。あまりにも早すぎる。
私はまだ踊っていたかったのに。
ガラスの靴を履いて朝まで踊り明かしたかったのに。
私はガラスの靴をいったいどこに脱ぎ捨ててしまったのだろう。

今や私の靴は疲れ果てボロボロで、服はすでに汚れあちこちシミだらけ。
どんなにアイロンをかけてもヨレヨレで、シワは目立つばかり。
この坂道はあまりにも長くてきついから。
私の荷物はあまりにも重すぎるから。
このどうしようにもない古びたカボチャの馬車を、後ろから誰かにそっと押してもらえたらいいのに。

私ひとりではもう運べない荷物はあまりにも重すぎて、
大切だったはずの荷物をひとつ、またひとつ捨てていく。
キラキラ輝く指輪の思い出も一緒に捨てていく。
今や自分の持てるだけの荷物で充分なのかも知れない。

もうガラスの靴など履けないことは、わかっている。
わかってはいるのだけれど、
もう一度、あのガラスの靴を履いて真っ白なドレスを着て踊ってみたい。
白馬に乗った王子様なんていないことはわかっているのだけれど。
もうお城には行けないこともわかっているのだけれど。
あのメリーゴーランドの白馬は、今も楽しそうにまわり続けているのだろうか。
誰もが笑って踊っていたそんな世界もあったのだと。

そして今日もカボチャの馬車はギシギシガタゴト、グチグチ言いながらゆっくりゆっくり前に進んでいく。
せめても、黄色の小さな花を踏まないように私もゆっくり前に進んでいく。
この道の終わりはまだ見えないけれど、今年もまたカボチャの花が咲くのだろう。


カボチャの種 松の実 くこの実 ミックス

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