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金利「0.5%の壁」

マイナス金利政策の解除をにらむ日銀に「金利の壁」が立ちはだかる。政策金利はバブル崩壊以降ほとんど上げられず、「過去30年にわたって0.5%を超えていない」とのこと。

過去の歴史について、全く知らないので、この日経記事を機に振り返ってみる。

要約文

この記事は、日本銀行(日銀)の現状と、特に金利政策に関する課題に焦点を当てています。日銀は、バブル経済の崩壊後から長期にわたって低金利政策を続けており、その政策金利は過去30年間で0.5%を超えたことがありません。現在、日銀はマイナス金利政策の解除を視野に入れていますが、金利を上げることには多くの課題が伴います。植田和男総裁や内田真一副総裁の発言からは、金利上昇に対する慎重な姿勢が読み取れます。彼らは、急激な政策変更を避け、緩和的な金融環境を維持することを強調しています。

記事はまた、1995年以来の日銀の金利政策の歴史を振り返り、金利が0.5%に設定された背景やその後の金融危機、デフレとゼロ金利政策への逆戻りなど、日本経済が直面したさまざまな課題に言及しています。特に、0.5%という金利が、かつては異例の低さであったにも関わらず、現在では「高い壁」となっている点が強調されています。

最後に、記事は植田総裁が将来的にも金利政策の課題に直面する可能性があることを示唆しており、現在の金利水準である0.25%を超えてさらに金利を引き上げることができるかどうかについて懐疑的な見方を示しています。

要約すると、日銀は長期にわたる低金利政策の解除を検討しているが、過去30年間で金利が0.5%を超えたことがないため、金利上昇への移行は慎重に進められる見込みです。歴史的な背景と現在の経済状況を踏まえ、日銀の政策決定には多くの課題があります。

日経新聞の図引用

公定歩合と政策金利の違い

**公定歩合**は、昔の話ですが、銀行が中央銀行からお金を借りる時に支払う金利のことでした。これは、中央銀行が銀行への貸し出し金利を決める方法の一つでした。

**政策金利**は、今の時代において中央銀行が使う金利です。これは、経済全体に影響を与えるためのもので、お金の借りやすさや貯金の利息など、私たちの日常生活に直接関係しています。中央銀行は政策金利を上げたり下げたりすることで、人々がどれだけお金を使うか、または貯めるかを調整しようとします。

要するに、**公定歩合**はもうあまり使われていない古いシステムの金利で、**政策金利**は今の経済を動かすための中央銀行の主なツールです。

用語の理解

### 1. 政策金利
政策金利は、中央銀行が設定する金利で、国の金融政策の方向性を示します。経済活動を刺激したり、抑制したりするために中央銀行が操作する金利です。金融市場に大きな影響を与え、最終的には一般の金融商品の金利にも影響します。

### 2. 当座預金金利
当座預金金利は、金融機関が中央銀行に持つ当座預金に対して支払われる金利です。中央銀行が金融機関に対して支払う利息のレートで、政策金利の一環として調整されることがあります。

### 3. 基準金利
基準金利は、中央銀行が特定の金融政策操作において適用する具体的な金利です。中央銀行が直接的に管理し、特定の金融政策を実施する際の「基準」となる金利で、政策金利の実施を支える重要な要素です。

### 4. 貸出金利
貸出金利は、金融機関が顧客に融資を行う際に適用する金利です。この金利は市場の状況、中央銀行の政策金利、金融機関の資金コストなどに基づいて決定されます。

### 5. 預金金利
預金金利は、金融機関が顧客の預金に対して支払う金利です。顧客が銀行にお金を預ける際に得られる利息のレートで、金融市場の状況や中央銀行の政策金利によって影響を受けます。

### 関係性
- **政策金利**は金融政策の全体の方向性を決定します。この金利の調整を通じて、中央銀行は経済に影響を与える意図があります。

- **当座預金金利**は、政策金利の具体的な実施手段の一つで、金融機関が中央銀行に預ける資金に対する報酬レートです。

- **基準金利**は、中央銀行が特定の政策操作に使用する具体的な金利で、政策金利の目標を実現するためのツールです。

- **貸出金利**と**預金金利**は、政策金利や市場の状況を反映し、金融機関がそれぞれ融資と預金の取引で適用する金利です。これらの金利は、政策金利の調整によって間接的に影響を受けます。

このように、中央銀行が設定する政策金利は金融市場全体に影響を及ぼし、その影響は金融機関が顧客に提供する貸出金利や預金金利にも反映されます。中央銀行の政策金利調整は、経済全体の資金の流れや消費、投資の活動に直接的な影響を与える重要な手段です。

政策金利はあくまで指標

「140年間の政策金利を表すグラフ」という表現は一部の文脈では正しいとされるかもしれませんが、その表現には注意が必要です。金融政策の概念、特に政策金利の概念は時間とともに進化してきました。歴史を遡ると、現代のような政策金利の形式やその適用方法は存在せず、公定歩合や他の形式の基準金利が中央銀行による金融政策の主要な手段でした。

政策金利という概念が形成され、広く受け入れられるようになったのは比較的最近のことであり、その用語や適用方法は国によって異なる場合があります。したがって、過去140年間にわたる「政策金利」を一貫して追跡するグラフを作成する場合、その期間にわたって政策金利の概念が存在していたわけではないため、実際には様々な金利が政策金利の役割を果たしていたという点を考慮する必要があります。

そのため、140年間にわたる政策金利の変遷を表すグラフを提示する際は、時代や地域による金融政策の手法の変化、そして用語の適用の違いを明確に示すことが重要です。例えば、ある時期には公定歩合が中央銀行の基本的な金融政策ツールであったかもしれませんが、他の時期には異なる金利や政策ツールがその役割を果たしていたことを示す必要があります。このように、時間を通じて金融政策の手法がどのように進化してきたかを理解することが、そのようなグラフを正しく解釈する上での鍵となります。

マイナス金利とは

マイナス金利政策の際によく言及される「マイナス金利」は、主に中央銀行の当座預金金利に関連しています。この政策では、商業銀行が中央銀行に持っている当座預金に対してマイナスの金利が適用され、銀行が中央銀行に預ける資金に対して利息を支払う、つまり保有するコストが発生します。

マイナス金利政策の目的は、銀行が中央銀行に資金を預けることよりも、その資金を貸し出しや投資に回すことを奨励することにあります。これにより、経済活動の促進、消費と投資の拡大、そして場合によってはデフレーション圧力の軽減を図ることができます。

従って、マイナス金利は金融政策の一環として導入され、中央銀行が特定の経済的状況下で使用するツールの一つです。これは経済における資金の流れを促進し、経済成長や物価安定の目標達成に寄与することを目指しています。

意見

金利には様々な種類があります。そのため、政策金利、当座預金金利、基準金利など、具体的にどの金利に言及しているのかを正確に理解することが重要です。特に、マイナス金利政策やその解除について議論される現在、一般に言及されている「マイナス金利」とは、主に当座預金金利のことを指します。この点については、注意が必要だと考えます。

また用語を理解して、改めて図表を見ると面白い。
・1995年 公定歩合が0.5%
・2007年 政策金利が0.5%
・2024年-  マイナス金利解除後に0.5%の壁
→当座預金金利がプラスになっても、政策金利を0.5%にするのには壁がある。

補足

日本の基準貸付金利は、過去に様々な経済状況に応じて調整されてきましたが、マイナス金利政策が導入されたのは主に当座預金金利に関してであり、基準貸付金利自体がマイナスに設定されることはありませんでした。したがって、基準貸付金利は常にプラス(つまり、金融機関が中央銀行から資金を借りる際にはある程度の利息を支払う必要がある)であると言えます。

日本銀行が2016年に導入したマイナス金利政策は、主に金融機関が日銀に預ける資金に対して適用されるもので、これにより金融機関が日銀に預ける余剰資金に対してマイナスの利息が適用されるようになりました。しかし、この政策は貸出に関する基準金利には直接適用されず、基準貸付金利は依然としてプラスのままでした。

結論として、日本の歴史上、基準貸付金利はプラスの状態を保っています。これは、金融機関が中央銀行から資金を借りる際のコストを示しており、経済の流動性や金融市場の安定に寄与するための政策ツールの一つとして機能しています。

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