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ウクライナ紛争、3年目へ

ロシア軍によるウクライナ侵攻は2月24日で丸2年となり、3年目に突入します。戦況は膠着しており、停戦の兆しは見えません。今年は3月のロシア大統領選に続き、6月の欧州議会選、そして11月には米大統領選と、戦闘の行方を左右しかねない選挙が相次ぎます。

キーウから生配信で今後の見通しを解説するとこのとで非常に興味深い。

米大統領、23日に対ロシア追加制裁

米国のバイデン大統領は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して、侵攻2周年の節目である24日の前日、23日に追加制裁を発表すると明らかにしました。この発表は、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の死亡とウクライナ侵攻の継続を受け、ロシアに対する厳しい姿勢を示すものです。追加制裁の詳細は未発表ですが、西側諸国は既に経済制裁を実施しており、その効果が注目されます。

ウクライナ軍はドネツク州アブデーフカからの撤退を完了し、米国はウクライナ支援のための緊急予算案をめぐり議論を続けていますが、下院での成立は不透明です。ウクライナは支援の不足に直面しており、前線での弾薬不足が問題になっています。サリバン大統領補佐官は、ロシアの攻撃がウクライナの防衛力を弱体化させていると指摘し、議会に追加支援を求めています。北朝鮮はロシアへの軍事協力を強化しており、中国もロシアへの支援を行っていると懸念されています。

経済制裁効かぬロシア

ロシアの経済制裁が効果を発揮していない状況が報告されています。プーチン大統領は、制裁下でもロシアが「友好国」への原油輸出を増やし、経済収入を確保していることを強調しました。特に、中国やインドへの輸出が拡大しており、西側諸国からの原油輸出比率は大幅に減少しましたが、ロシア経済への影響は限定的であるとされています。2023年のロシアの財政収支は石油・ガス収入が減少しましたが、24年の予算では国防費が大幅に増加しており、経済成長も見込まれています。しかしこの軍事中心の経済成長は、人手不足や経済社会構造の不安定さを引き起こしており、プーチン氏は米国との交渉を呼びかけています。さらに、北朝鮮やイランとの関係強化も模索しており、ロシアは国際社会における孤立を避け、経済制裁への適応を急いでいます。

揺るがぬロシアの論理とウクライナの覚悟

ロシアによるウクライナ侵攻が2年を迎え、侵攻3年目に入ろうとしていますが、戦況は膠着状態にあります。プーチン大統領は侵攻を通じて領土を獲得する自信を深めたものの、西側諸国の経済制裁や反ロシアの国際的な包囲網に直面しました。それにもかかわらず、ロシアは中国やインドなどグローバルサウスに接近し、経済制裁の影響を限定的に抑え、国内総生産(GDP)を前年比でプラスに転じさせるなど、対応に成功しています。

プーチン氏はウクライナを「人工的な国家」と位置付け、ウクライナの「非ナチ化」を目的として侵攻を正当化しています。また、ウクライナの再統合を目指すとの意向を示しています。

一方、ウクライナは戒厳令と総動員態勢を延長し、国際社会からの支援を強化しつつ、ロシアとの対峙を続ける覚悟を示しています。英国や独仏との安全保障協力協定を結び、ロシアへの抑止力を高めるとともに、経済面では国際的な支援が不可欠となっています。

NATOの事務総長はウクライナ支援の強化を訴えていますが、一部の西側諸国ではウクライナが領土の一部を譲ることでの停戦を提案する意見も出ており、ウクライナのNATO加盟がその条件とされています。米国の大統領選の結果次第では、国際支援の動向に変化が生じる可能性があります。

プーチン大統領、29日に年次教書演説

ロシアのプーチン大統領は、2月29日に年次教書演説を行うと発表されました。この演説では、ロシアの外交や経済政策に加え、ウクライナでの「特別軍事作戦」についても触れられる予定です。また、3月15日から17日にかけて実施されるロシア大統領選において、プーチン氏は5選を目指しており、この演説が選挙戦の重要な一環となることが予想されます。教書演説は憲法に基づき年に一度実施されており、前年の演説では、ロシアと米国間の新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を表明しています。

日商がウクライナと会合

日本商工会議所とウクライナ商工会議所は、ウクライナのEU加盟を視野に入れつつ、再生可能エネルギーとインフラ開発などの成長分野での協力を確認するための「ウクライナ復興・ビジネス交流会」を東京で開催しました。この会合は、安全保障と両政府による環境整備の重要性を強調しつつ、日本とウクライナの企業が参加しました。特にエネルギー分野では、ウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKが再生可能エネルギーへの積極的な投資を進めており、日本企業との提携の可能性も探っています。この交流は、ウクライナ復興に向けたビジネス機会の拡大を期待していますが、安全性の確保や汚職対策などの課題も指摘されています。また、多くの企業が企業名の公表を避けるなど、ロシアを刺激しないためのリスク管理の必要性も浮き彫りになりました。

ナワリヌイ氏死亡に抗議

ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の死亡を受け、欧米はロシアに対する追加制裁を検討しています。EUとバイデン米大統領は、ナワリヌイ氏の死に対する代償を科すことを表明しました。ナワリヌイ氏は民主化を唱える活動家であり、ウクライナ侵攻への批判や政権の不正を訴え続けていました。EUやリトアニアの大統領はロシア政権の責任を非難し、ドイツやスウェーデンはロシア大使に抗議しました。ロシア当局はナワリヌイ氏の遺体の遺族への引き渡しを拒否しており、不信感が高まっています。ナワリヌイ氏の死因については、独立した調査が求められています。

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