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【富士山お中道の植物観察日記・番外編】 積雪期の御殿場口登山道
ふだんは山梨県側富士スバルライン付近(登山口で言うと富士吉田口)にあるお中道の自然について紹介していますが、今回は静岡県側御殿場口登山道のお話です。
御殿場口登山道とは?
富士山の静岡県側南東斜面には、1707年の宝永山の噴火の堆積物が広がり、300年以上たってもまだ遷移の初期の状態で植生の回復が遅れています。
他の斜面の森林限界は2200 m~2500 mにあるのに対し、御殿場口では1400 mと低く、ヤマハンノキ、ミズナラなどの落葉広葉樹林からなっています。
積雪期
2022年2月末の御殿場口登山道の様子です。早春を感じる柔らかな青空でした。
御殿場口では森林限界が低く、山頂までの標高差2300 mもの広大な雪の斜面が広がっています。
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御殿場口登山道は、かつての富士山測候所の勤務交替の際に夏・冬ともに使われていました。
1932年から2004年まで山頂の測候所に職員が常駐し、気象観測とレーダー観測が続けられてきました。冬季にこの斜面を登下山するのは、大変な御苦労だったと思います。
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側火山
宝永山は、富士山でもっとも知られている側火山でしょう。
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側火山とは山腹や山麓にある火山のことです。かつては寄生火山と呼ばれていました(今はこの用語は使わないそうです)。
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御殿場口には、宝永山の他にも二ツ塚と呼ばれる呼ばれる側火山があります。
上二ツ塚と下二ツ塚があるので双子山とも呼ばれています。
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展望
籠坂峠の向こうに山中湖がみえます。その向こうは丹沢の山々です。
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南山麓の御殿場の町の向こうは箱根の山々です。
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森林限界
日が傾いた夕方の森林限界です。
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森林限界の林の中には "シカ" の足跡がみられました。
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富士山には、シカ科の「ニホンジカ」とウシ科の「ニホンカモシカ」どちらも分布しています。
この足跡がどちらの "シカ" のものかわかりませんが、足跡があるので "たシカ" に最近ここにいたことが分かります。
ヤマハンノキに近づいてみると、去年の堅果と冬芽を見つけました。
ヤマハンノキの花は、春一番早く、あと1か月もすれば、冬芽がゆるみ、やがて雄花が伸びてくるでしょう。
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今(2024年)の様子は?
このように2022年は広大な雪の斜面が広がっていましたが、近年は冬季も根雪とならない年が多く、今年(2024年)も標高2000m以下では、積雪のない期間が続きました。
2月中旬になって、ようやく積雪がみられます(参考:国交省のライブカメラで様子が見られます)。
御殿場口登山道は、距離が長く、特に冬季は強風、凍結、雪崩、ガスが濃い時の道迷いなど、登山には危険が伴います。
過去には遭難事故が起きています。くれぐれも安易な登山は控えてください。
富士山お中道を歩いて自然観察」の連載はこちら↓
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