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【富士山お中道を歩いて自然観察】番外編 萌芽能力を持つミヤマハンノキ

広葉樹の多くは、幹が伐採されると根元から何本もの若い幹が伸びて再生する能力をもっており、これを萌芽更新という。

ミヤマハンノキは高木に育つことはできないが、萌芽を出す能力が高く、萌芽によって増えていく。富士山の遷移初期には雪崩や強風などにより、幹が損傷を受けることが多いので、このような萌芽能力は生育する上で有利である。

ミヤマハンノキ
亜高山帯~高山帯に生える落葉低木。富士山の火山荒原では下部からたくさんの枝を分けた低木状の薮をつくる。葉は紅葉せず緑色のまま落葉する。花期は5~7月。

スラッシュ雪崩の跡を観察してみると、えぐられた砂礫(スコリア)が1m近く堆積していても、萌芽能力の高いミヤマハンノキは元気に生育していた。一方、萌芽能力の無いダケカンバはほぼ枯れてしまった。

新シーズンになるとミヤマハンノキは新たな葉をつけたが、ダケカンバは枯れ、葉が出ることはなかった。

次回(地点12)は、ミヤマハンノキのもう一つの特殊能力についてのお話です。

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