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【富士山の見える山】 早春の明神山

前回に引き続き、明神山(標高1290.8 m)を紹介します。

富士山の雪融けも進み、山中湖周辺ではフジザクラが満開です。
明神山にも春が来ました。

前回の記事はこちら↓

ところが、明神山山頂ではススキが焦げて全面黒くなっています。

明神山山頂の様子

下から見上げても、ススキの原が黒焦げになっていて、淡いピンクのフジザクラと対照的です。

火入れ後の明神山とフジザクラ

火入れ と 植生

明神山に連なる稜線の西側(山梨県側)では、平野入会組合によって毎年、火入れ(山焼き、野焼きともいわれる)が行われています。

今年(2024年)の明神山では、4月17日に火入れが行われたようです。

広大な焼け跡

草原を維持するためには、早春の火入れが欠かせません。

ススキの葉が出る前に、枯れ葉を焼くことで樹木の成長を阻止し、病害虫を予防するといわれています。
枯れ葉の層が少なくなることで、多くの草本が育つことも可能になります。火入れの際に、枯れ葉層は高温になりますが、地表より下では、高温にはならないので、ススキの地下部は守られています。

ススキの根元の焼け跡

地図を見ると、明神山の山梨県側は全面にわたって草原が広がっていることが分かります(Google マップでは、明神山の山頂は「鉄砲木ノ頭」と表記されています)。

それに対して、明神山の神奈川県側や周辺の山は森林に覆われています。火入れを行わなければ、森林となっていくのです。

放置するとすぐに樹木が侵入する

県境の幅広い登山道が、防火帯の役を果たして、ここで延焼が止まっていることがわかります。

火入れの境界。境界より左側ではカラマツ(高木)が生育している


神奈川県側の林では・・・

神奈川県側の林では、カラマツの芽吹きが始まり、フジザクラが満開でした。

フジザクラ(左)とカラマツの芽吹き(右)
フジザクラ

林床では、沢山の春の花がみられました。

タチツボスミレ
キジムシロ
クサボケ
フデリンドウ

まもなく、周辺の山では、ブナの芽吹きが始まり、本格的な春がやってきます。


富士山お中道を歩いて自然観察」の連載はこちら↓

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