【富士山お中道を歩いて自然観察】5 白い絨毯の正体
森を抜けると視界が一気に開け、カラマツがまばらに生えている。森林限界だ。
辺りを眺めると、遷移初期のカラマツ群落の周辺には、一面に白っぽく絨毯のように広がっているものがみられる。
これらは、シモフリゴケとミヤマハナゴケである。ともに「コケ」と名付けられているが、シモフリゴケはコケ、ミヤマハナゴケは地衣で、まったく異なるグループに属する。
地衣とは菌類に藻類が共生したもので、菌類は藻類から光合成産物をもらって生活している。
コケの仲間、シモフリゴケ
葉の先端が白色・透明な透明の「尖」になっていて、ここで太陽光を散乱させ、強い光から細胞を守っているといわれる。水分を十分に吸収すると緑にみえるが、乾くと白く見え、これが霜降り状に見えることからシモフリゴケと名付けられている。
乾燥に大変強く、極限環境の極地や高山に地球規模で分布している。
地衣の仲間、ミヤマハナゴケ
目の荒いスポンジ状であり、柔らかそうにみえて触れると硬い。色は白色や淡黄色。高山帯でよくみられる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?