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【富士山お中道を歩いて自然観察】2 大木についた傷

(この記事は、観察マップ地点2 についての解説です)
溶岩流跡を過ぎると暗い森の中に入っていきます。暗い森の入り口あたりに地点2があります。地点2以外ではこの現象は見られませんので、見落とさないように注意深く探してください。

森に入って数歩進んだら後ろを振り返ってみよう。縦に大きな亀裂が入ったシラビソを見ることができる。これは凍って幹が裂けた跡だ。これを凍裂とうれつという。

シラビソに入った凍裂

冬季に幹の水が凍ると体積が増して、幹が割れて樹皮が裂ける。

気温が-30°C~-40°C以下の冷え込む夜に、遠くまで届くような大きな音がして割れるといわれているが、近年は温暖化によりお中道付近の気温も-20°C以下に下がることはほとんどない。したがって、ここでみられる凍裂は何十年も前のものとみられる。

なお凍裂は、シラビソなどモミ属にのみ起こり、カラマツ、コメツガ、トウヒなどにはみられない。これはモミ属の幹の含水量が多いためといわれている。

次回は番外編第1弾として、シラビソやカラマツが属するマツ科針葉樹の富士山での振る舞いについて紹介します。


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