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【富士山お中道の植物観察日記】 2024年6月12日
新緑のお中道
梅雨入り前の晴れた日、関東地方も30℃を超える暑さが記録されましたが、富士山お中道付近の正午の気温は13℃ほどの涼しさでした。
夏至間近の強い日差しに、新緑がまぶしく輝いていました。
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富士山の雪も融け、山麓は緑も濃くなりました。林の中では初夏をつげるエゾハルゼミが鳴いていました。
おすすめ!
下記リンク「NHKシチズンラボ(セミ大調査2024)、エゾハルゼミ」では動画で鳴き声を確認できます。
大沢駐車場(標高2,020 m)の脇では、4月のスラッシュ雪崩で、数百メートルにわたり樹木がなぎ倒されました。今でも、その威力を見ることができます。
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富士山では毎年のように、規模に関わらずスラッシュ雪崩が起きています。
たびたび起こるスラッシュ雪崩や表層雪崩は、富士山お中道の植生に興味深い影響を及ぼしています。
その様子は、お中道を散策することで観察できます。
詳しくは、以前の記事をご参照ください↓
この1か月あまりで、お中道付近の林も、すっかり新緑になりました。
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林からはメボソムシクイ、ビンズイ、ルリビタキのにぎやかな声が聞こえました。
おすすめ!
下記リンク「サントリーの日本の鳥百科」では、メボソムシクイ、ビンズイ、ルリビタキを検索すると動画で鳴き声を確認できます。
ホシガラスが餌を加えて、近くのカラマツの枝に止まったのですが、残念ながら鮮明な写真は撮れませんでした。
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落葉樹の新緑
落葉樹は、まだ開葉中や開葉したばかりでした。
ミネヤナギはすでに種子をつけていました。もうすぐ綿毛をつけた種子が飛ぶことでしょう。
1700mの樹海台駐車場付近では、綿毛がフワフワと漂っていました。
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ナナカマドの葉は出たてで、まだ柔らかそうです。
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ミヤマハンノキは開葉とともに雌花・雄花が咲きます。
枝先にある上向きの小さい房が雌花序で、その下で垂れ下がる大きな房が雄花序です。
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昨年7月に堅果(花が咲いてできる果実の一種)をつけていたダケカンバですが、今年は花をつけませんでした。
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枝の先に堅果が見える
ツツジ科の花
お中道ではツツジ科に分類される植物が多く見られます。
ハナヒリノキとウスノキは落葉低木です。ともに開葉直後は、赤いアントシアン色素によって、強光から光合成系を守っているといわれています。
やがて葉が成熟すると、強光から守る仕組みも完成し、緑色の葉になっていきます。
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まだ花が出来たてで、もう少し花序は伸びる
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ぼんぼり型の花
ハナヒリノキやウスノキに対して、コケモモとハクサンシャクナゲは常緑の低木です。
コケモモは矮性低木で、樹高10 cmほどなので足元を探してみてください。
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こちらもぼんぼり型の花
ハクサンシャクナゲは、去年は当たり年でお中道付近では沢山の花が咲き、楽しむことができましたが、今年は裏年のようで、花芽はごくわずかしかついていませんでした。
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昨年の花の跡が枯れて垂れ下がっている。枝の先端では今年の葉芽が伸びてきている。
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針葉樹
シラビソは、多くのマツ科の樹木と同様に、2年間かけて種子が成熟します。
去年の春に見られた雌花が、今年の春には球果として少し大きくなりました。秋には種子が散布されるはずです。
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シラビソの新葉はまだ出始めでした。
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通常3方向に枝が伸びるので、新芽も3個づつつく
コメツガもシラビソと同様に、去年の雌花が球果となっていました。
秋には種子が散布されるでしょう。
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まだ球果が木化していない
カラマツは、去年に引き続き、今年も雌花・雄花がつきました。
雌花は、大分、球果らしくなってきました。
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枝に乗っかるようにつく大きな雌花と、枝から垂れ下がるようにつく小さな雄花
草本植物
オンタデは、開葉と同時に花芽がつき、まもなく花期となります。
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イタドリは地上茎が伸び始め、葉が開葉を始めています。
オンタデとイタドリは同じタデ科の植物ですが、イタドリの花期は遅く、7月中~下旬です。
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この時期は、アントシアン色素によって赤く見える
岩の隙間にフジハタザオの花を見つけました。
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シロバナノヘビイチゴも咲いていました。白い花は目立ちます。
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林床では、小さなミヤマフタバランが葉を開き、花茎を伸ばしていました。
花が楽しみです。
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この日、お中道では、近隣だけでなく、東京都、神奈川県からも何校もの小・中学校の生徒さんたちが自然観察に訪れていて、終日にぎやかでした。
先月(5月)のようすはこちら↓
富士山お中道を歩いて自然観察」の連載はこちら↓
「富士山お中道の生物図鑑」の連載はこちら↓
今回の登場人物たちの紹介もあります。
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