【富士山お中道を歩いて自然観察】番外編 イタドリとオンタデ
富士山の火山荒原では2種類のタデ科タデ属の多年生草本を見ることができる。
イタドリ
イタドリは低地の雑草として馴染みがあるが、富士山では火山荒原での代表的なパイオニア植物である。
お中道付近で見られるイタドリは、低地のイタドリが高山タイプに変異したものと言われ、メイゲツソウとも呼ばれている。
背丈が低く30~50cmくらい。葉は丸く小さく茎は赤い。花は白~赤色。 花期は7~8月。
オンタデ
高山帯の砂礫地や崩壊地に生える多年草。イタドリと異なり低地には出現しない。5合目の火山荒原ではイタドリとともに最もよくみられる。
背丈は低く30~50cmくらい。葉は手のひらほどの大きさ。花は7月頃咲き始め、黄白色。
名前の由来は木曽の御嶽山(おんたけさん)で発見されたため。近縁種ウラジロタデとの違いは葉の裏が白くない点。
オンタデの根は地中深さ2mまで達し、長い根でスコリアの移動に耐える。また肥大した根は、春に生え変わる地上部の栄養源になる。
イタドリとオンタデの分布
高い山ほど夏は短く、草本の生育可能な期間も短い。
5合目ではイタドリとオンタデが同時にみられるが、低地起源のイタドリは、生育可能な期間内に発芽から種子の成熟までを完了できる限界が標高2,600mとなるため、それ以上の標高では見られない。
一方、北方起源のオンタデは短い夏に合わせて3ヶ月半で終える生活サ イクルを持っており、標高3,200m付近まで分布している。
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