紅葉と黄葉
落葉樹は秋になると、クロロフィルの分解が始まり、葉柄のつけねに離層が形成され始める。同時に赤い色素であるアントシアニンが合成され緑の葉が紅葉する。
アントシアニンを合成できない植物は、クロロフィルの分解に伴い、もともと緑葉に含まれていたカロチノイド(カロテノイド)が目立つようになり黄葉する。
クロロフィルには大量の窒素が含まれている。植物がクロロフィルを分解して回収するのは、植物にとって大切な窒素を落葉前に枝や幹に一旦貯蔵し、翌春の成長に備えるためである。
一方でミヤマハンノキは・・・
ミヤマハンノキは放線菌から窒素を含むアンモニアを供給されるので、クロロフィルを分解して窒素を落葉時に回収する必要がない。
このため葉にはクロロフィルが残り、緑葉のまま秋を迎え、その秋の最初の霜が降りたときに茶色に枯れる。
このようにミヤマハンノキは、残念ながら美しい紅葉・黄葉を見ることはできない。しかし、ミヤマハンノキの落ち葉は窒素に富むので、土壌の富栄養化に貢献し、土壌を形成して遷移を進める役割を果たしている。