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文系院生がざっくり分かるファイナンスを読んだ感想

読む目的
一企業の社員として働く上で、ファイナンスを学ぶことは重要であると感じたため。なぜなら、ファイナンスはビジネスを継続していく血液とであり、企業は事業に投資し、リターンを継続的に得ていく営みであるため。特に、これまでにマーケティングを主に学んできたが、各論、戦術的な側面を強く感じてきた。事業ポートフォリオの一部分の差別化、など。他方、ファイナンスは経営の成長戦略を描く上で欠かせない、根幹をなす部分である。将来的に事業を担う存在となることが目標である以上、持続的に影響力をスケールしていくためにファイナンスを学びたかった。

学び
企業活動は、俯瞰で見ると投資・リターンを最大化させる営みであると感じた。事業に投資し、企業価値を最大化させることが、一義的に大事なこと。なぜなら価値あるサービスも継続、スケールさせることができないから。資金運用と調達の両輪で経営されていく。特に資金調達には、有利子負債と株主資本がある。前者は銀行からの借り入れ、後者は株式発行などによってなされる。この際、貸し手から見たリスクが高ければ高いほど期待するリターンも上昇する。借り手から見るとこれは資金調達コストが高くなることに他ならず、いかに調達コスト(WACC)を下げるかが経営上肝要である。
さらに、お金には現在価値、将来価値という時間軸で見る必要がある。将来生み出すCFを評価する際に注目され、それがリスク評価、調達コストへとつながっていく。
結局、よい経営者は上手に資金調達し(低い調達コスト)、企業価値を最大化させていくことが最重要である。その際、冷静な視点で、最適な方法論を選択する必要があり、ファイナンス的視点はそのためのツールである。

稲盛和夫との共通点
ROICを上げるだけでなくWACCを下げることも重要である。しかし、多くの企業家が前者にばかり注目する。20%の増収増益のために2倍の資本を投下する、といったことが起こり得る。

この両輪の視点は、稲盛和夫の実学でも度々強調されていた。利益を最大化し、コストを下げることが経営の王道だと氏は述べていた。
ファイナンス的視点と少しずれる部分もあるが、根底に本質的な企業価値創出における共通点があると感じた。

所感
ファイナンスの知識は、新社会人というよりは起業家や事業に責任を負う管理職にこそ必要な知識であると感じた。新社会人として企業の仕組みを理解することには役に立ったが、知識の活用、という点では正直イメージがわかなかった。突き詰めると、個人として企業価値を独自に評価できるようになると感じた。

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