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リードデザイナーの眼差しをインストールする|村木諭さん(東京 / 40代)

LIVE DESIGN School の23年度メンバー同士が、根掘り葉掘りするインタビュー企画! 各地で活動するメンバーたちが日々考えていること、そして、LDSの参加を経て見えてきた展望とは...?

プロフィール
 1981年生まれ。中央大学文学部社会学科卒業後、制作会社を経て、2018年日本デザインセンター入社。オンスクリーン本部映像企画室に所属後、現在プロデュース部に所属。
 自身が働く日本デザインセンターの代表・原研哉がLDSの立ち上げに関わっており、企業エントリーで参加。

━━ 日本デザインセンターではどんなお仕事をされているんですか?

代表の原と一緒に動くことが多いですね。原が無印良品のアドバイザリーですので、無印良品のアートディレクションに関わる部分を原デザイン研究所のスタッフと一緒に進めています。ロゴの制作もあれば、プロモーションの部分で関わることもありますし、お店のサイン計画(どういった案内標識を、どこに、どのように設置したらよいのかなどをまとめた計画のこと)もします。企業のメッセージを伝えるビジュアルを作ることもあり、世界中の掃除の風景を取材した、「気持ちいいのはなぜだろう。」のプロジェクトにも参加しました。

━━ LDSのプログラムのなかで印象に残っていることはありますか?

各リードデザイナーのレクチャーももちろん刺激になっているのですが、個人的にはフィールドワークが強く印象に残っています。里山インストールの小林新也さんがフィールドにしている島根県の温泉津(ゆのつ)に伺ったのですが、参加者みんなで山に入り身体を動かし、その後はサウナに行ったり、温泉に入ったりと、汗をかき、五感を使っていろいろ感じたり考えたりする貴重な時間になりました。

━━ なぜ温泉津のフィールドワークに参加されたんですか?

元々の小林さんの拠点が温泉津ではないところが、自分の中では不思議に感じていたんです。地元である兵庫県小野市を拠点にしつつ、どうしてもう一拠点もったのだろうと。聞いてみると、小野は鋳造加工の技術はあるけれど鉄の産地ではない。だからこそその源流を辿って、かつて銀やたたらの産地として栄えた温泉津に行ったとのことで、なるほどと思いました。

しかもそれは、フィールドワークを通して現場の空気を感じてより納得しました。小林さんのフィールドをみて、自ら重機を操縦し、山を切り開いていく様子を目の当たりにして、小林さんのパワーをすごく感じました。あと温泉津の面白さは、地に足がついているというか、そこにあるものの素朴な力強さが印象的でした。こういうこともやはり現場に足を運ばないとわからない感覚でした。

━━ 村木さんは撮影や取材などでいろんな地域にいかれると思うのですが、意識して見ていることなどありますか?

市場やスーパーマーケットに行くのが好きなんですよ。道の駅とかもそうですけど、日用品を買うようなお店は、海外への取材のときも見るようにしています。もちろん商品のパッケージの違いだとか、色使いとかのデザイン面を見るのも好きですし、生鮮食品コーナーはとくにそれぞれの土地の特性がみえてくるので面白いですね。市場やスーパーは暮らしと地続きの場所なので、そこで生活する人たちへのイマジネーションが働くようになります。

━━ 面白いですね! ちなみにLDSのレクチャーを受けて、普段のお仕事で活かしていることはありますか?

リードデザイナーの方たちが、どういう視点、どういう眼差しで物を見てるのだろうとか、課題への取り組み方、詰め方だったり、話の節々から滲み出る個性みたいなものを感じられるのが楽しいですね。自分も真似られたらなと思いつつ話を聞いています。いま、自分の目の前にあるこの状況において、このリードデザイナーだったらどう考えるだろうみたいに、彼らの眼差しや思考をインストールしてみたりとか。

あと、皆さんやっぱりポジティブだなと思って。見えないところでの苦労もたくさんあると思うんですけど、それに屈さず必死に手を動かしている姿をみると、自分も頑張らねばとなりますね。

━━ 最後にLIVE DESIGN Schoolはどういうかたちになっていくとより面白くなると思いますか?

スクールという以上は、やっぱり卒業があるのかなと思っていて。何をもって卒業なのかと考えたとき「これで何かやれるぞ」と独り立ちするようになったときなのかもしれないと思っているんです。でもそうやって巣立っていった人たちも関わりが切れずに、困ったときに相談したり、新しい参加者に自分の経験を伝えたり、そういう循環がおこる、温かい場に育っていったらいいなと感じています。

(聞き手|運営局 田渕)


地域で必要とされる「広義のデザイン」について、各地のデザイナー陣と参加者どうしが学び合う場として始まったLIVE DESIGN School。現在、24年度のエントリーを受付中です!デザイナー(志望)はもちろん、イラストレーター / 大学生 / 行政職員 / 地域おこし協力隊 / 販売員 / 製紙業 / 百姓!などなど多様な肩書きの方にエントリーいただいています。詳細はこちらから!

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