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愛して。勇気出して。

撮影前の緊張は意外だった。
出かける前、眉の手入れをしているときに、はじめて鼻を切ったのも今思えば緊張だったのかもしれない。
旧友が撮影のアトリエの近くにいたので、かなり久しぶりに再会してリラックスしていたつもりだった。
別れて待ち合わせの時間が近づき、メイクをしていると左手が震えてきた。

持ってきてください。と言われていたランジェリーを、使わないだろうという確信があったわりに
私はしっかりスリップ3着と新品のカシミアの腹巻、透けるボレロなど用意していった。

案の定用意していったものには全く手も触れずに撮影は進んだのだが。笑

「見せたいと見られたくないは表裏一体」だと、東さんのブログにもあった。
私も、脱ぎたいはずが、
どこかでは、性器や胸を隠したい。女性を象徴する場所を覆いたい。

撮影で足を開くその時までそう思っていたと思う。

ダンスとセックスと美容が、女が笑うには大事だとこれからも言い続けると思う。
私にとってこれらはごくプライベートで、好きに動いているにすぎなかったので
撮影では「絵にする」と意識しすぎて、布との戯れがぎこちなくなってしまったりもした。

まぐあう私をみせる。

わずかな時間だったけれど、できたように感じるのはそれだけだった。
ニコル(膣)とペレ(子宮)が本気出してきた。笑
やっと日の目を見て張り切って、喜んでいた。

切なさと、喜びの入り混じった、からだの声を出せたような解放感と、
そのままを受け止めてもらっている安心感。

エロスが私のすべて。いのちのすべて。

それでいい。


表現という冒険は大好きだ。それによって自分を再発見する。
自分から何が出てくるか、ギャンブル性もいい。
チャレンジする勇気も行動力もある。

東さんは「traveler of time」時空の旅人、と名をくれた。
別名 帰ってこなさそーな人。笑 
幼き日の長女に、どこかから帰宅するたびに「帰ってきてくれてありがとう」と言われる母である。 

撮影数日後、銭湯で水面と虹色のかげにゆらめく体に見とれながら
太陽から受け取った言葉に、おもいがけず涙が出た。

愛して。 勇気出して。

勇気しかないような私が、愛するのにどれほどの勇気が必要か。

愛の広さ深さを覚悟する。
失い別れる時がくる悲しみをやりすごす。
出会えた奇跡をかみしめる。
多くの人と関わることを恐れない。
自分の美点を出し惜しみしない。

「もっと自由に愛したい。」

昨年、初めてそんな自分の思いに気づけた。

私は私を愛しているし、みんなを愛している。

伝えたいのはそれだけなのかもしれない。

父が最後に私にカメラを向けた、成人式に着たワンピース。
それを脱ぎ去る写真を「父に似た息子」のような人に撮ってもらうことになった。笑

愛したいように愛を表現する、新しい旅が始まる。

ありがとう。

2022.2.16記

写真(作品部分) TETSURO HIGASHI  https://tetsurohigashi.com/ 
共同作品 上記HP内 TRAVELER OF TIME シリーズ

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