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「やりたくないことをやらない」は難しすぎる

好きなことがなにかわからないときは、やりたくないことをやらないように生きていけばいい

1年前にコロナが蔓延し、7歳からずっとやってきたバレエができなくなってしまった。

ちょっと無理をすればできたのだけど、バレリーナとして収入を得ることが難しくなり、生活を続けていくうえで大変になったので辞めたという方が正しいかもしれない。

コロナが猛威を振るい始める少し前、わたしはタイミングが良かったのか悪かったのか、ジョージアという東欧の国に行き、ライターをしながらヨーロッパでバレエのオーディションを受けようと思っていた。

だからその前にいたオーストラリアでの仕事を全て辞め、思い切ってジョージアに行ったのだった。

ジョージアについて1か月後には街がロックダウンとなり、バレエのレッスンができなくなったところにライターの仕事がどさっと降りてきて、家に引きこもって仕事ばかりしていた。

ライターという新しい仕事も、ジョージアでの暮らしも楽しかったけど、バレエやカフェで働いていたときに比べると仕事をしている中での充実感をあまり見いだせず、なんとなく「ずっとこの生活はしんどいなあ」という考えが3日に1度は浮かぶ。

かといって今自分が何をやりたいのかもよく分からなかった。

そんなとき友人に相談したら「やりたくないことをやらないようにすればいいんだよ」と言われた。

たしかにやりたいことが分からなければ、やりたくないことをしないようにすれば自分にとって心地いい生活ができるはずだ。

そう思ったのもつかの間、やりたくないことをやらないことは、やりたいことをやるよりも私にとっては難しかった。

もともと他人に何かを頼まれたり勧められたりすると断れない性分なのに加えてバレエという大きな幹がなくなってしまったので、新しい仕事の話がくると「これも経験」と軽い気持ちでいろんなことに手を広げてみた。

ジョージアの物価が安いとはいえ家賃や食費などの生活費は稼がなければ生活できないので、仕事が必要だった。

それで続けたのがライターと、それにライブ配信なのだけれど、心の底から楽しいとは到底思えない。

エッセイやnoteを書くのは好きだけど、SEOライティングでまったく興味のないジャンルや難しいジャンルを書いてクライアントや上司に褒められてもちっとも嬉しくないのに、仕事になる案件はそんなのばっかりだ。

勧められて始めたライブ配信も、面白い世界だなあと思うものの、配信が好きかと聞かれると首をかしげてしまう。

こんな感じで自分が好きじゃないことをわかっているのに、わたしは現在もSEOライティングの案件とにらめっこしているし、ほとんど毎日ライブ配信をしている。

自宅で仕事ができるという利点と、始めた手前なかなかやめづらいというよくわからない遠慮が未だに状況を変えられない理由である。

***

世の中にやりたくないことをやっている人はどのくらいいるのだろうか。

仕事に限らず、たとえば洗い物や洗濯、電車に乗るという行為だってできればやりたくはない。

今まであまり気づかなかったけど、実は世界にはやりたくないことで溢れている。

そしてそのやりたくないことを見ないふりしながら、どうにかこうにか日常を続けている気がする。

だから友人が言っていた「やりたくないことをやらないようにする」というのはものすごく難しい。

難しいけど、心の中では何をやりたくて何をやりたくないかが段々とはっきりしていく瞬間が確かにあるのだ。

そしていつか我慢できなくなって、たぶんやりたくないことを全部やめてしまう日が来るだろうなと感じている。

その「感じ」があるからこそ、今はまだやりたくないこともやれていることを、ちゃんと自分がわかっている。

友人に相談したころとは違う明確さが自分の中にあるうちに、心境をnoteに書いておこうと文章にしているが、結局残っている仕事は全く楽しくないし、フィードバックで落ち込むこともあるし、時刻はそろそろ午前5時を迎えてしまう。

「やりたくないことをやらない生活」に向けて思いっきり舵をきりたい。

ふつふつと込み上げる願望を胸に、今日もなんとか乗り切って、そのうち好きなことだらけで過ごせたらいいなと思いながら仕事に戻ろうと思う。


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