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米山隆一議員による「蓮舫議員の二重国籍問題(私見)」について(2)

ファクトチェック歓迎します。

の続きです。


米山議員の論考

を読んでいて、おそらく、米山氏がお気づきで無いだろうと思われた点。(前回書いたように「カニンガムの法則」を意図していらっしゃるのかもしれませんが・・)

「外国人の場合」と「日本国民の場合」の差異

⑤2016年10月7日 戸籍法106条に基づき国籍喪失届を出すが不受理(日本政府の公式見解において台湾は国籍ではない事によると思われる)。

 と書いていらっしゃいます。(「国籍喪失届」⇒「外国国籍喪失届」)
 既に日本国民である蓮舫氏が、台湾当局発行の国籍喪失証明を添付して提出した「外国国籍喪失届」は受理されなかったということです。
 でも、外国人と言う立場の「在日台湾人」が、日本の役所に、台湾当局発行の書面を持参して、手続きをする場合は、「台湾当局発行の書面」が、なんら問題なく受け付けられます。
 なんなら外国人と言う立場の「在日台湾人」が日本に帰化手続きをしようとする場合は、まさにこの「台湾当局発行の国籍喪失証明」を持ってこい、と法務局に要求されるくらいです。
 つまり
>(日本政府の公式見解において台湾は国籍ではない事によると思われる)
ということより、当人が「日本国民」か「(在日)外国人」かでの、扱いの違いに注意を払うべきかと。

語られない事実、部分的拡大された事実

故・瀧本哲史氏に「詐欺師が嘘をつくときは・・」という名言があります。

今は投資の話ではないですが
・何が語られておらず
・何が「部分的拡大」
されているかを注意してくと詐欺師のレトリックが見えてくると思います。

攻撃側が、「台湾籍」が「外国国籍として扱われている」として挙げるのは、注意して見ると、「台湾籍を有する日本国民」に関しての話ではなく「外国人」としての立場の「台湾籍者」に関する話ばかりですね。
「部分的拡大」されるのは「外国人」の立場の人の扱いに関する話です。外国籍の有無など、外国人の場合の扱い事例を持ち出して、日本国籍保有者に無理やりあてはめる。日本国籍を取得した後は、その人の台湾籍の扱いが変わるのだけど、それは「語られない事実」ですね。
 ちなみに、台湾籍の人が日本に帰化した場合、新たに作成される日本の戸籍で、その人の「原国籍」は決して「中国」ではなく「無国籍」と記載されるそうです。こんなこともまた「語られない事実」です。

出せば受け付けられる国籍選択届のトリック

 これももう一つの語られない事実。
 中央大学の奥田安弘教授は、2017年7月13日放送TBSラジオ荻上チキ・Session-22という番組の中で、国籍選択届に関して

《この国籍選択届の用紙には「従来の国籍」を記入する欄があります。しかし、ここに「台湾国籍」と書くわけにはいかないので、「中国国籍」と書くことになります。ということは、中国国籍があると法務省が判断しない限り、国籍選択届は「不受理」となります。(以下略)》

(引用元「蓮舫氏の『二重国籍』は問題なし。説明責任は法務省にあり/奥田安弘×荻上チキ」 - SYNODOS - https://synodos.jp/opinion/politics/20135/
とまで断言した説明をされていました。
 ところが、直後の7月18日の蓮舫氏記者会見で受理された旨が公表された。不受理じゃなかったわけです。

 奥田教授からは、これを受けて7月26日付で次のような補足がされています。

《国籍選択の宣言日が記載された戸籍は、国籍選択届が受理されたことを示しています。しかし、日本が承認した中華人民共和国政府の国籍法によれば、蓮舫氏は、国籍法14条1項にいう「外国の国籍を有する日本国民」に該当しないので、国籍選択届は、本来「不受理」とすべきです。それを受理したということは、違法な行政処分の可能性があります。
いずれにせよ、台湾が未承認だからといって、外国国籍喪失届を不受理としておきながら、その未承認の台湾の国籍法を適用した場合にしか認められない国籍選択届を受理したことは、どのように説明がつくのか、それを明らかにする責任は法務省にあります。》

まあこれが、「ほれみろ、やっぱり出せば受け付けられる」奥田先生の「不受理になります」という説明は間違いじゃないか・・!
 と攻撃側を勢いづけてしまった。

 でもこれはトリックがあります。
昭和59年11月1日付法務省民二第5500号通達(訓令通牒録 8綴10564の3頁)この通達の「第3 国籍の得喪に関する取扱い」の「5 国籍選択の届出」(10569頁)には、次のように記載があります。

《(1)新国籍法第14条により、外国の国籍を有する日本人(以下「重国籍者」という。)は、一定期間内に国籍の選択をすべきこととされた。日本の国籍の選択の宣言をしようとする者は、市区町村長に対してその旨を届け出なければならないが(法第104条の2)、その届け出があった場合には、明らかに外国の国籍を有しないものと認められるときを除き、届出を受理して差し支えない。》

つまり、国籍選択届(日本国籍の選択の宣言)については、実際に届出人が重国籍者であることを確認したうえで届け出を受理するのではなく「明らかに外国の国籍を有しないものと認められるときを除き」受理してしまうとする扱いであったことが分かります。
 奥田先生が書いていらした「中国国籍があると法務省が判断しない限り、国籍選択届は「不受理」となります。」というような説明は、不正確だったことがこの通達から明らかですし、蓮舫さんの届けが、出せば受理されたというのも、この通達を踏まえれば当然のことであったといえます。

まあ、実はこんなトリックがあった、ということも、「語られない事実」の一つだと言えるでしょう。

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