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[読書感想]汝、星のごとくを読んで。正しくある必要ってある?

誕生日プレゼントに本をいただきました。
普段は実用書ばかり読んでいるので、こういうプレゼントはとても貴重です。

※こちら、ネタバレ要素大きく含むので、
まだ読んでない方、内容を知りたくない方はこれ以上読まないでください。

以下感想です。

夫婦という固定観念をぶっ壊された。

登場人物が、一番なりたくない姿にならざるを得ないという最低で最高な人物の描き方が唸るほど面白い。

大衆の正義感から凹凸のない状態が良しとされ、外れた人間は対象のネタとして裁かれることから、
無意識にその枠の中に収まるように自分の意思や思考をコントロールされてしまっているのが、おそらく多くの人間の心理状態なんじゃないかと思う。

瞳子の、
誰に後ろ指を指されるか分かっていても、
自分の気持ちに素直に従っていて、
いかにもアウェーな価値観に身を置き、
胸を張って愛を示している姿に圧倒される。

北原先生の間違うことを自ら望んで選んだという発言。

櫂が病気だと聞き、ようやく手に入れた安堵の日々をなんの迷いもなく手放した暁美。

作品を通して、
「正しくあることの価値とは、なんだろう。」
と考えさせられる。

大人になると、何が正しくて、
何が評価されるのかがおおよそわかるようになり、
大衆の価値観からそれないように、
無意識に自分の思考や行動にルールをつけ、
年を重ねるたび自分を縛りつける縄が増えて身動きが取れなくなっていくことが多くなる。

自分の気持ちにすら蓋をして、
「こうしたい!」という気持ちより、
「こうすべきだ」
と思うことを重視してしまいがちだ。

物語の構成としてよくある上げて下げてまた上げるの上げる部分の、最後の出来事としては櫂の死になるので、
とても笑顔で終わるハッピーエンドではないが、
暁美が、
最後は
「自分で選んだ人生に満足して一歩一歩毎日を生きていることによる幸福感」
が作者が用意したエンディングだと考えると

たとえ選ぼうとする選択がいかにも愚かな道であったとしても、
自分で選んだ人生が、自分にとっては正しい。
という主張を感じた。

反対意見を出してみたいが、ぐうの音もでないし
そうやって、自分の望んだ人生を生きたいとすら思える作品だった。

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