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【ココロ】自己判断力、自己責任能力を持つ子を作り出すー①「未来思考の教育」

  ①未来思考の教育
  ②信じる教育

50点の子を作り出す「間違った褒める教育」”“奴隷を作り出す「体罰/暴力、暴言の教育」”とシリーズのように書いてきました。

暴言はダメ、間違った褒め方をするのはダメ。

何かを批判することは簡単です。重要なのは「じゃぁどうすればいいのか?」ということ。

指導や教育の目標は、個人的には、自己判断のできる子、自己責任を持てる子を作り出すことだと思っています。

それには未来を想像して考えて行動する「未来思考」が有効です。


想像力を養う

「この世の中に、私と彼だけ生きていればそれでいい。私たちは二人だけで生きている。他には誰も必要ない。」

と本気で言っていた人がいます。感情的な話なのでしょうが、真面目にツッコミを入れるとすれば、人との関係を切って生きることはできません。今目の前にあるコーヒーカップ、着ている洋服、ほとんどのものがたくさんの人の手によって作られ運ばれてきたものです。

デザインする人がいて、材料を集める人がいて、作る人がいて、大量生産する工場で働く人がいて、それを運ぶ人がいて、売る人がいる。

その人たちは全く自分とは無関係かというとそうではありません。人のつながりを辿っていくと世界中の人と繋がります。「友達の友達はみな友達だ」という懐かしい言葉もありますが、まさにそれです。わたしの友達の友達の友達の友達の…と辿っていくと自分にまた戻ってくるでしょう。

「わたし」というたった一人の行った何かは、必ず誰かに影響を与えます。それが世界中に広がっていくのです。そしてぐるぐる巡って自分に返ってきます。

大きな話で例えると、現役だった頃の野茂英雄元投手とお話をする機会がありました。渡米した頃にいただいた、アメリカの大学に在学していた日本人ファンからの手紙。「これまで人種差別を受けていましたが、野茂さんが活躍するようになってから“日本人もなかなかやるな”と差別をされなくなりました。ありがとうございます。」という内容だったそうです。「自分のしていることが、思ってもいないところで役に立っていて嬉しい」とお話しされていました。

些細な例ですと、近所のスーパーで買い物をした時、レジの女性が笑顔で「ありがとうございました。」と言ったので私もニコニコしながら「ありがとうございます。」と答えると、その女性はさらにニコニコになり、私ももっとニコニコになり気分がとてもよくなりました。「やっぱり笑顔はいいなぁ」とその日一日気持ち良く過ごすことができました。

大小に関わらず、そして良し悪しに関わらず、自分の言動は必ず誰かに影響を与えます。

【敵はいるのか?】
実際にある小学生チームに話した内容の一部です。
トレーニング中に、気合が入りすぎて罵声が飛び交っていました。彼らの言う「指摘」私の言うところの「罵声」です。
そこで一旦練習を休止して「敵はいるのか?」と言う話をしました。地域チームから選抜されて県代表のチームとなるとき、これまで敵だと思っていた選手が味方になります。都道府県対抗だと思っていたら、そこからまた選抜されてナショナルチームができます。そのうち銀河系での大会が起こったらチーム地球ができるかもしれない。そう考えると敵になったり味方になったり。敵はいないのではないか?と言う話です。
チームの仲間は強い方がいい。だとしたらいつか味方になるかもしれない敵も強い方がいい。友達が自分より上手だと思ったら、蹴落とすのではなく、その子より上手になりなさい。その子より強くなりなさい。上手な選手が集まった方が強いチームができる。だから互いに応援しなさい。
練習に戻るとみんな大声で「がんばれ〜!」「できるよ!」と応援し始めました。


判断力を養う

想像する:「これからする」言動の結果はどんな未来を引き起こすのか?誰にどんな影響が及ぶのか?

未来に何が起こる?

行動や言動の結果は一つだけではありません。できるだけ多くの結果を予測して、それでもそれを行うかどうか判断します。

最近「迷惑行為」が何かと話題になります。記事を読むと「アクセス数を稼げると思った」「こんなに大事になるとは思わなかった」と書いてあります。「自分のこと」しか想像出てきいません。

研究者は、自分の楽しみだけに研究をしているのではなく、研究が成功すれば多くの人を助けられるだろう、喜ぶ人がいるだろう、環境を良くなるだろうと考えているに違いありません。

以前、あるアスリートが「食事を気にするあまり何を食べていいのかわからなくなってしまった。友人と遊びにいき、ケーキを注文していいのかどうか悩みに悩み、罪悪感を抱えて食べたから楽しめなかった」と言う話をしました。
ケーキたった一つ食べたところで、何が起こると言うのでしょうか?たった一つでパフォーマンスが劇的に低下するような練習しかしてこなかったのでしょうか?
「今目の前のこと」にとらわれすぎて未来が見えなくなると、判断力が鈍ります。

「未来」を先に設定すると今するべきことがわかる

判断力を磨くために有効なのが「未来」を先に考える「未来思考」です。

過去から今日まで、毎日繰り返してきたことの結果が現在です。
これから毎日繰り返すことの結果が未来です。

とすれば、先に「理想の未来」「望む未来」を先に設定します。それを実現にするには今何をすればいいのか判断できます。

未来思考

1年後の大会で優勝したい。なら今から何をする?
10年後起業して大手の会社と契約を取りたい。これからどのように行動する?
世界の自然環境を守りたい。自分にできることは何?誰に会いに行けばいい?

以前、ある人から今がとても辛いと相談をされました。その原因もよくわからないけどとにかく辛いと涙を流すのです。
「今、何がしたいですか?やりたいことはありますか?」と聞くと
「わからない。」
「では、1年後どうなっていたいですか?」
「笑っていたい。」
「今の生活を繰り返した1年後、笑顔になっていると思いますか?」
「思いません。」
「では、どうしましょうか?何かやってみたいことがあるといいですね。」
“1年後”“未来”と言うキーワードを出した途端に泣き止み、何やら考えだしました。この日の会話はここまでだったのですが、次に会った時には
「実は〇〇ができるようになりたいと思ったいた」
「やってみてはどうですか?」
その次は、
「やってみたのですが、何か違ったみたい。今度は〇〇に挑戦してみようと思います。」
「そうですか!気づけてよかったですね。ぜひ次にチャレンジしてください!」
そうしていくつかのチャレンジをして、やりたいことを複数見つけ出しました。
今では、泣いて辛いと言っていたことなんて覚えていないのではないでしょうか。


自己責任能力を養う

想像する:「これからする」言動の結果はどんな未来を引き起こすのか?誰にどんな影響が及ぶのか?その結果に責任を持てるのか?

結果は一つではありません。予測できる結果を全て出し、どの結果にも責任が持てるかどうか考えます。「責任が持てる」自信があれば行動する決断をします。

結果に全ての責任を負う

「俺が責任をとる」なんてカッコよく聞こえるセルフですが、真面目に突っ込むと、個人で責任を取れるような結果しか予測できないのですか?と言いたいです。それがなんであれ、予測できる最悪の結果が個人で責任を負える程度のことであれば、大した仕事ではありません。もし、莫大な損害を出してしまう可能性があるのであれば、その人が土下座をしようが会社をやめようが損害はどうにもなりません。よって個人で責任は取れません。予測できる最悪の結果を招かない手段を徹底して考えることの方が大切でしょう。

結果に対する責任を他人に転換する人がいます。
「本当はやりたくなかった」「〇〇がやれと言ったから」
自分自身で判断していない人に多く見られます。

自分で考えて、自分で判断・決断をして、その結果に自己責任を負うことは、中学生になる頃にはすでに知っておいた方がいいと思います。

だいぶ前の話ですが、ティッシュボックスの横においてある置物を壊されてしまったことがあります。ある人が勢いよくティッシュを引っ張った時にボックスが動いて、置物が床に落ちたためです。高価なものではありませんでしたが、いただきものでしたので大切にしていました。それでもわざとではないし、咎めるつもりも全くなかったのですが「あれ?壊れちゃった?」「でも、こんなところに置いておくからだよね?」と言われた時にはとても驚きました。些細なことですら責任転嫁するとなると、大きな仕事は一緒にしない方が身のためだと“判断”しました。


まとめ

想像力が養われなかった理由は2つ考えられます。一つは親/保護者が全て先回りをしておこなってしまうパターン。考える必要も判断する必要もなく、ただそれに従っていればいいだけ。これでは想像力も思考力も育ちません。こういった人たちは大人になってから苦労することが多いようです。自分では判断できないため、ネットの情報に惑わされたり、騙されたりします。もう一つは自己中心的な大人(親、保護者など)が周囲を取り巻いていたパターン。周囲の大人が「今」しか見ず、すぐに結果を求めているようでは想像力は育ちません。迷惑行為をしてしまうのはこちらのパターンではないでしょうか。

何かしら悩んでいる人に「未来どうなっていたいか?「それにはどうしたらいいと思うか?」と質問をするだけで、勝手に考えをめぐらせます。こちらの意見など必要ありません。想像力を養うには「未来に対する質問をする」だけでOKです。すぐに答えは出ないかもしれませんが、質問は頭の片隅に残り気になり、そして考え、パッと閃きます。

次回は「②信じる教育」について説明します。

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